鉄道ホビダス

「スピグラ」余話。

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先日の「大判の落日」で、かつての報道写真の定番=スピード・グラフィックについて、万歳三唱している間に2枚切れるのが当時の新聞社写真部員の条件と書きましたが、ご覧になった方からもっと凄い話を聞きました。曰く、大相撲取材の際、砂被りでスピグラを構えているカメラマンは、たとえ力士が自分の方に倒れてきても瞬間的にピントを合わせられる鍛錬を積んでいる。いやこれには驚きました。4×5inのフィールドカメラを扱った経験のある方なら、ビューカメラほどではないにせよ、そのピント合わせがどれほど面倒かはお分かりのはずです。どう考えても倒れ掛かってくる被写体に瞬時にピンを合わせることなど不可能にしか思えません。

何かあると歩行者がこぞって携帯を掲げて写真を撮る現在と違い、かつては写真を撮るという行為そのものが限られた専門職の、つまりはプロの仕事でした。ライカ使いとして知られる著名な写真家は、とっさに正確にカメラを構える鍛錬と筋肉の強化のために、片手でレンガを持ち上げて構える練習を繰り返したと聞きます。もうこうなると“修行”の一種にさえ思えてきます。

余談ながら、ライカのLマウント・Mマウントのレンズの一部はフォーカシング・リングに指かかり(インフィニティストッパー・レバー)が付いており、真下にきた時に焦点距離3mとなっています。慣れると指先の感覚で瞬時にピンを合わせることが可能で、下手なAFレンズよりよほどスピーディーにスナップ撮影をすることができます。
▲ここ数年“惰眠”を貪っているわがスピグラ。果たして本線復帰を果たす日はくるのだろうか?

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