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元祖「丸窓電車」は今…。

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昨日お伝えしたラッピング電車“まるまどりーむ号”ではなく、ホンモノの「丸窓電車」モハ5250形は現在3輌が保存されています。2輌(5251・5252)が別所温泉駅構内、もう1輌(5253)が中塩田駅構内だったのですが、今年になって中塩田の5253号が綺麗にレストレーションされて別の場所に保存されたと聞き、案内されるままに行ってみることにしました。

場所はかつての西丸子線(下之郷?西丸子)の御岳堂駅の近く、「長野計器」という会社の丸子電子機械工場の入口です。下之郷からは県道で一ツ木峠を越えた辺りとなります。
▲幾度となくファインダーにおさめた5253号とうれしい再会。この角度で見るとまるで「現役」のようにさえ見える。'05.12.18

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予備知識のないまま、どうせ中塩田から移設して軽く化粧直しした程度だろうと高をくくっていたものですから、新車と見まごうばかりの5253号を前にして目が点です。いやはや車体はもとより足回りまで舐めたようにピカピカではないですか。しかもこの手の保存展示ではあまり例のない架線まで張られています。それも雰囲気のある木製架線柱や信号まで用意されているのですから恐れ入ります。
▲工場入口に鎮座する5253号。置かれている場所は傾斜地だが、しっかりと足場が組まれて線路が敷設されている。画面には写っていないが、何と右側には見学者用のトイレまで設置されている。

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さらにびっくりしたのは室内です。空調完備の客室内は「丸窓電車資料館」となっており、木製の床やシンボルの丸窓、それに日除けや座席のモケットなどもオリジナルのまま修復再現されています。座席の片側は展示スペースになっており、乗車券やサボなどの各種資料のほか、最初に廃止になった路面区間・青木線を含めた昭和10年頃の鳥瞰図など、ふたつとない貴重な資料も展示されています。しかも説明員さんが懇切丁寧な対応をしてくださり、帰りには丸窓電車をテーマにした長野計器さんのカレンダーまでいただいてしまいました。
▲決して原形を崩すことなく見事に修復された客室内。天井の大型モニターでは丸子線のさよなら列車の貴重な映像や、5253号がトレーラーで搬送される際の映像などが流されている。

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聞けば今年の2月に長野計器さんが東京証券取引所に上場を果たしたのを記念して、企業メセナの一環としてこの保存が決まり、3月に中塩田からこちらに移設されたのだそうです。長野計器さんは1986(明治29)年創業の圧力計をはじめとした各種計測機器の大手メーカーで、「のぞみ」や「あさま」などの新幹線をはじめとした車輌用双針圧力計、さらには最近では台湾新幹線にも同社の製品が使用されており、その技術力は内外で高い評価を得ています。
▲長野計器製の双針圧力計を備えた5253号の運転台も綺麗にレストアされている。

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5250形にも長年にわたって同社の圧力計が使用されており、さらにはこの丸子電子工場の前をかつての西丸子線が走っていた縁もあって、地域発展につくした歴史と文化を語り継ごうと今回の保存プロジェクトを立ち上げたとのこと。中塩田からの搬送は大型トレーラーですが、レストレーションは社員の方々が手作業で行ったそうですからこれまた驚きです。

“保存”とひと口に言っても、その大半は見るに耐えない悲惨な有様となってしまっている中で、この長野計器さんの保存展示は、国内はもとより国外にも胸を張って誇れるレベルと言えましょう。なお、車内の見学は基本的に4月から10月までの土日の9?16時となっているようです。詳しくは同社の「長野計器丸窓電車資料館」をご覧ください。
▲室内に備えられた中塩田からの移設・修復の記録写真アルバムの横にはRMライブラリー『上田丸子電鉄』も備えられている。

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