鉄道ホビダス

12年ぶりのライン河上流工事事務所。(第10回・最終回)

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最終回:さらば、ライン河。
日本は言わずもがな、ヨーロッパでもナローゲージ、とりわけ実用軌道としてのインダストリアル・ナローゲージは急速にその数を減らしつつあります。十年ほど前までは数十ヶ所を数えたドイツ、オーストリア・エリアのピート軌道も今や見るかげなく、それだけに「ライン河上流工事事務所」がこれだけの規模で運転を続けているのが奇跡的にも思えるのです。

いつかは再訪を…と思いながらついに12年。ようやく思いかなって訪れたライン河は、驚くほど変わっていませんでした。コルバッハの煉瓦庫、ルスティナウの工場、そしてハイジやシンプレックスたち。どれもがまるで12年の歳月などなかったかのごとくそのままです。唯一、博物館などの啓蒙施設が充実したことが変化といえば変化かも知れませんが、それは逆に、この軌道がまだまだ将来にわたって重要視されてゆくことの証左でもあります。
▲ラインの一日が終わろうとしている。乗客を降ろしたエクスカーション・トレインが暮れなずむ土手上を引き上げてゆく。'05.9.24

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帰国便のチューリッヒ空港発は13時過ぎ。せめて最終日、6日目の午前中は市内でトラムの撮影や模型屋めぐりでもしてゆっくり…と空港近くのホテルを取ったのですが、やはりライン河への思い断ち難く、片道所要2時間としても朝のうちに往復できないことはないと、結局5時起き。まだ真っ暗な高速を最後のライン河へとクルマをとばしたのです。
▲陽が西に傾く頃、コルバッハ採石場も急に静寂に包まれる。発破や削岩機の喧騒が嘘のように静まり返った積み込み線には、明日の一番列車で送りだされる平トロや鍋トロが並ぶ。'05.9.26

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あれほどの好天続きが嘘のように、天気は急速に崩れつつありました。それでもボーデン湖ローディング・ポイントへのファースト・トレインを押さえ、ルスティナウの工場へ戻ってくると時計の針はすでに9時近くを指しています。戻らねば。何ものにも代えがたかった日々。ライン河に掛かるルスティナウの大橋を渡り終える寸前、眼下の河川敷に東岸本線の軌道がまっすぐに延びてゆくのが見えました。

数時間後、私が機上の人となった頃、きっと午後のレギュラー・トレインがこの路を辿るはずです。
さらば、ライン。

▲「ライン河上流工事事務所」の軌道はいつも人々の生活の中に当たり前のように溶け込んでいた。土手上をゆくナローが当たり前の日常…それこそが12年ぶりの再訪で一番体感したかった情景にほかならない。左のクルマは合計1200キロを走ってくれたレンタカー、ルノー・クリオ。'05.9.24
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※10回に渡った「連載」の最後に、ほんのわずかですが動画をご覧にいれましょう。コルバッハ採石場付近の国境の専用橋をスイス側西岸からオーストリア側に渡ってくる”ハイジ”の牽く本線列車の姿です。なお、万が一、来シーズンこの軌道を訪れてみようと思われる方がおられたら、編集部宛にご連絡いただければレクチャーをいたします。
[ご注意]クリックすると自動的に動画が再生されます。音声付きですので、クリックする前に周囲の環境(オフィス?)を確認してください。

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