鉄道ホビダス

12年ぶりのライン河上流工事事務所。(第7回)

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第7回:“日本人管理者”としてのライン河。
改めて言うまでもなく、ラインの堤防には実に緩やかな時間が流れています。ウォーキング、日光浴、犬の散歩…誰もがこの大河との時間を慈しみ、大切にしているのです。
▲東岸、西岸本線ともに数箇所に国道(?)を横断する踏切がある。いったいどうやって列車検知しているのか判らないが、列車が接近すると蛍の光ほどの信号が点滅し、やがて警笛とともに最徐行で列車がやってくる。ハタから見ていると関心するが、気付かないほどささやかな踏切信号が点滅すると、パタッとクルマの列が停まり、しかもエンジンをストップする。写真後方に見える橋が国道(?)で、実はこのやっかいな列車の通過を待って結構な渋滞が発生している。'05.9.24

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架線終端でもある東岸のローディング・ポイントは機回し線があるだけのささやかな線路配置ですが、なかなか面白いギミックが隠されていました。

盈車列車を牽いてきた機関車は最初の貨車が取り卸しシュートの位置にくると列車を解放、単機で機回線終端のポイントまで進むと、やおらそこに放置(?)されているワイヤーを端梁のフックに引っかけて機回し線を戻ってきます。そして取り卸しシュートの位置まで戻ると一旦停車、このワイヤーを外して去ってゆくのです。最初は意味が理解できなかったのですが、どういうことかというと、機関車が去った後、取り残された貨車列をシュートに合わせて移動させるための巻き上げ機が設置されており、ワイヤーはその曳索だったのです。つまり、V字型に張られたワイヤーの折り返し点の滑車が機回し線終端にあり、どうせ機回しするなら使い終わったワイヤー端をシュート位置まで持って帰ってもらおうという寸法なのです。
▲鍋トロの盈車列車がまさに到着、右側の小屋でラジオを聞きながら待機していたおじさんが迎え出てしばしの歓談。機関車はポールを降ろしてエンジンを始動させ、機回し線終端へと向かう。'05.9.26

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このローディング・ポイントには取り卸し要員のおじさんが待機しています。機関車が去った後、さきほどの曳索を使ってシュートに合わせて貨車を移動、1輌1輌ダンプさせてゆくわけですが、見ているとこの一連の作業はいくばくもなく終わってしまいます。すると件のおじさんは小屋に戻ってラジオを聞きながらまったりとした時を過ごしはじめるのです。

このおじさんに限らず、最初は「いやー、のんびりしていていいなぁ」と思っていたのですが、しばらくすると日本人の悪い性で、どうもあれもこれも気になって仕方がありません。おじさんAとおじさんBが二人がかりでこの現場にいる必要はないのでは…、おじさんCをこちらに回せばもっと省力化できるのでは…、いっそのことこのダンプ作業は機械化すれば…、次々と「改善提案」が浮かんでしまいます。でも、思えばそんな世界と無縁だからこそ、今もってこのアナログな軌道システムが生き続けているわけですし、それにともなうワークシェアも確立しているわけです。
▲ダンプシュートは鍋トロ1輌分しかない。手作業で鍋をひっくり返すと、ご丁寧におじさんが引っ掻き棒のようなもので底をゴシゴシと掻き出す。'05.9.26

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▲半世紀に渡って機関車も変わっていなければ、システムそのものも大きくは変わっていない。あまりにアナログな手法だが、スイスとオーストリア両国は、環境、雇用、歴史、さらにはもっと形而上の要素まで考え抜いて、きっとこの軌道を使い続けているのだろう。'05.9.27

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