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レイル・マガジン編集長自らが作る編集日記。

2009年2月27日

『昭和の鉄道と暮らし ~エコーモデル・その世界~』発売。

090227n001.jpg一ヶ月ほど前にエコーモデルの阿部敏幸さんと片野正巳さんの対談をご紹介した際(アーカイブ「片野さん、阿部さん おおいに語る」参照)にも触れましたが、今年で創業36年を迎えるエコーモデルが築き上げてきた独自の世界をあらゆる方向から一冊に凝縮した『昭和の鉄道と暮らし ~エコーモデル・その世界~』が本日発売となりました。この単行本、80分の1に縮小された模型の世界のみならず、「昭和」をキーワードに、実物ファンの皆さんにも充分楽しんでいただけるコンテンツがいっぱいです。

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▲今はなき伝説の「城新鉄道」の全貌がはじめて詳らかになる(左)。のちに映画「ALWAYS 三丁目の夕日」に協力するエコーモデルのスタンスはこの「城新鉄道」時代からまったく変わっていない。(『昭和の鉄道と暮らし ~エコーモデル・その世界~』より)
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▲“記録魔”の阿部さんゆえ、「城新鉄道」建設のプロセスは1961(昭和36)年の着工時点から克明に残されている。今回はそのアルバムから完成までの歩みを詳細に紹介。(『昭和の鉄道と暮らし ~エコーモデル・その世界~』より)
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『鉄道模型趣味』誌1966(昭和41)年5月号(№215)でいきなり「ドラムカンの利用」を発表され、以後、ご自身のレイアウト「城新鉄道」にまつわるさまざまなシーナリィやストラクチャーが同誌誌上を飾ってきた阿部さん。その一連の記事が当時ホームレイアウトを夢見たモデラーにどれほどのインパクトを与えたかは計り知れません。ところが意外なことに、これまで「城新鉄道」そのものがまとめて発表されることはありませんでした。技術的にもマインド的にも常に“進化”してゆくなかで、既設の「城新鉄道」にご自身として不満が生じてきたからにほかなりませんが、今回は日本のレイアウト史上にきちんと記録されるべきと“説得”し、今は解体されてしまったその全貌と製作工程を詳細にご紹介しております。

090227n011.jpgさらに注目いただきたいのが、阿部さん撮影の実物写真の数々です。「私の鉄道趣味の中で軸足を置いているのは常に模型であり、写真はその資料を得るため、また再現したい情景をフィックスするための程度…」(本書より)とおっしゃる阿部さんですが、なかなかどうして、そのカメラアイは驚くべきものです。「エコーモデル“原点”への旅」の章では、信じられないバイタリティーで全国を行脚されていた1960年代の鉄道情景の数々が、次第に非電化ローカル私鉄へと傾倒してゆく「城新鉄道」への思いとシンクロしながら展開してゆきます。
▲エコーモデル前夜、阿部さんは魚の行商を思わせる25㎏もの撮影機材を背負って全国を行脚していた。「“原点”への旅」では後年エコーモデルのバックボーンとなってゆく情景をふんだんに紹介している。(『昭和の鉄道と暮らし ~エコーモデル・その世界~』より)
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▲全国のローカル線、地方鉄道を巡る撮影行は、次第に車輌そのものより駅周辺の情景やストラクチャーへと向けられてゆくようになる。(『昭和の鉄道と暮らし ~エコーモデル・その世界~』より)
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090227n004.jpg「阿部敏幸が見つめた“昭和の東京”」の章も必見です。撮影旅行で全国を行脚される合間にも、阿部さんは昭和30年代から地元・東京の日常を丹念に撮影されてこられました。その被写体は鉄道のみならず、路上の靴磨きから板塀、垣根、物干し、はたまた白木屋デパートのストッキング売場にいたるまで、よくぞこんなもの(失礼!)にまでカメラを向けられたと思うさまざまな「昭和」が誌面を埋め尽くしています。
▲昭和30年代から40年代初頭にかけて、阿部さんは実に細かく「東京」を写し込んでおられる。その名も「昭和の東京」では、32ページにわたってその貴重な記録をダブルトーン印刷で再現。(『昭和の鉄道と暮らし ~エコーモデル・その世界~』より)
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▲今はなき日車蕨工場内で撮影された新幹線試作車の木製モックアップ(左)。はとバスの外国人観光客や駅頭の両替所など、見逃されがちな情景がきちんと記録されているのは驚き。(『昭和の鉄道と暮らし ~エコーモデル・その世界~』より)
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あらためて本書を通観してみると、阿部敏幸さんが、そしてエコーモデルが追い求めてきたのは、鉄道模型にとどまらない、趣味と人生の幸せな関係の作り方…だったのかも知れません。モデラーの皆さんのみならず、広く多くの皆さんにご覧いただきたい一冊です。

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