趣味の総合サイト ホビダス
 
 

レイル・マガジン編集長自らが作る編集日記。

2009年2月22日

安比奈線再訪。(下)

090222n001.jpg
▲大袋付近の雑木林を貫くシーンとともに安比奈線のハイライトとも言えるのがこの池部用水橋梁。40数年前までは、この橋梁をウェスチングハウスやGEの輸入電機たちが行き交っていたはずだ。'09.2.21
クリックするとポップアップします。

安比奈線のように、40年以上にもわたって廃止届けが出されずに休止状態が続いている路線はほかに例を見ません。それだけに、沿線住民にとっても“列車の来ない線路”はすっかり日常の光景と化してしまっているようです。

090222n002.jpg起点の南大塚は、橋上駅舎化にともなって駅そのものの位置が移動しており、安比奈線の分岐部分は以前ほど判然としませんが、それでも住宅街の中を西側に大きくカーブを描いて行く線路跡…いや“跡”ではなく休止線を容易く見出すことができます。国道16号線と交差する0.5キロポスト付近までは市街地の中に軌道が続いており、一応「立入禁止」の立て札があるものの、多くは沿線住民の通路や、時としては家庭菜園として活用(?)されています。考えてみれば40年という歳月は、線路端に居を構える齢50の人にして、幼い頃列車が通ったのを見た記憶があるかどうかで、それほど遠い過去となってしまっているのです。
▲池部用水橋梁上り方の線路はバイパス道路によって分断されてしまっている。画面前方が終点・安比奈方。'09.2.21
クリックするとポップアップします。

090222n003.jpg
▲ひたすら直線で続いていた線路は、池部用水橋梁を過ぎると入間川の河原を目指して緩く左カーブを描く。画面前方が起点・南大塚方。'09.2.21
クリックするとポップアップします。

090222n004.jpg国道16号線を渡った軌道は、農家の点在する畑の中をひたすら一直線で進みます。木製の架線柱もしっかりと残されており、茫洋とした風景の中を架線柱だけが建ち並んでいる姿は一種異様でもあります。線路はこののち1キロポスト付近で赤間川橋梁、葛川橋梁を続けて越え、なおも直線で進みます。ちなみにこの付近は線路に並行した道路が少なく、探索の際はたびたび大迂回を強いられることになります。
▲ほぼ全線にわたって架線柱も残されており、一部には架線も残存している。'09.2.21
クリックするとポップアップします。

090222n006.jpg
▲安比奈は歴史的古レールの宝庫でもある。写真は2.5km地点で見つけた極めて珍しいアメリカ・イリノイ州のジョリエット製鉄(JOLIET Iron Steel)1887(明治20)年製のレール。'09.2.21
クリックするとポップアップします。

090222n008.jpg2キロポスト手前で鬱蒼とした雑木林を抜け、2.2キロポスト付近で池部用水橋梁を渡ります。この付近が比較的単調な風景の安比奈線随一の見所といえるでしょうか。この橋梁からしばらく先で、ひたすら直線で進んできた線路はようやく緩やかに左カーブをきり、入間川河川敷へと向かってゆきます。ただ、現在では途中に入間川を渡る八瀬大橋へのアプローチ道路が出来てしまい、安比奈線はこの道路築堤でいったん途絶してしまいます。休止線ゆえ、万が一運転再開する際にはこの部分はいったいどうなるのでしょうか…。
▲入間川を跨ぐ八瀬大橋から河川敷に続く軌道を見下ろす。前方彼方が安比奈駅構内。'09.2.21
クリックするとポップアップします。

090222n007.jpg
▲開業から84年、その長い歴史の後ろ半分はずっと“休止”のまま、安比奈線の線路は今日も入間川河川敷へと続いている。'09.2.21
クリックするとポップアップします。

終点の安比奈駅構内は今ではすっかり河川敷に戻ってしまい、かつて賑わったであろう駅関連施設はまったく目にすることはできません。かつては所沢工場の移転先として候補に上がったり、大規模宅地開発にともなう復活旅客線化が取り沙汰されたりしたこともあったようですが、歳月の中でいずれも夢幻と消え、安比奈線は今日も“休止”のまま取り残されています。

wagakokutetujidai022.jpg