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レイル・マガジン編集長自らが作る編集日記。

2009年1月24日

片野さん、阿部さん おおいに語る。

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▲驚きとともに嬉しかったのは、片野さんがお持ちくださった阪神電車尼崎車庫入換用の奇怪な単車のモデル…そう、この『編集長敬白』で紹介(アーカイブ「阪神の奇怪な電動貨車たち」「“阪神の奇怪な電動貨車”によせて」参照)した高橋 弘さん撮影のあの単車をさっそく模型化してくださったのだ。'09.1.23

昨年6月、丸善丸の内本店で「エコーモデル・その世界展」を開催して広く注目を集めたエコーモデルの阿部敏幸さんと、『1号機関車からC63まで』『吊掛讃歌』でお馴染みの片野正巳さんのおふたりに、鉄道模型の昨日・今日・明日をおおいに語っていただこうと、昨晩ささやかな会合をもちました。

090124n022改めて申し上げるまでもなく、阿部さんは1960年代初頭からホームレイアウト、とりわけストラクチャーやシーナリィの技法に驚くべき新境地を開拓され、次から次へと『鉄道模型趣味』(TMS)誌上に作品を発表されてきました。一方の片野さんはその当時、TMS誌編集部で阿部さんの記事の編集担当をされておられ、まずは“エコーモデル前夜”の話題でたいへんな盛り上がりのスタートとなりました。
▲“エコーモデル前夜”を熱く語る阿部敏幸さん。'09.1.23

090124n021先般の「エコーモデル・その世界展」のパネル展示でその片鱗を垣間見た方も少なくないと思いますが、実は阿部さん、1960年代から1970年代にかけて精力的に全国の地方鉄道を撮影に回られています。ご本人は「写真そのものにはさほど拘りはなく、あくまで模型のため…」とおっしゃられますが、なかなかどうして、マミヤプレス(のちにペンタックス67)に35㎜カメラ2台と、当時の“撮影派”顔負けの重機材を背負っての撮影行でした。しかも作品の数々は、見過ごされがちな情景を独自のカメラアイで捉えたもので、そのアーカイブの蓄積こそがエコーモデルのバックボーンとなっていることは間違いありません。
▲わが国の鉄道模型の歴史をメディアの側から見続けてこられた片野正巳さん。'09.1.23

その阿部さんが伝説のレイアウト「城新鉄道」の“創業”を宣言したのが1959(昭和34)年11月。宣言といっても、もちろんご自身の日記上でのことでした。翌1960(昭和35)年1月にはお年玉でパワーパックを購入、3月にはレールを買って、愛読していた『模型とラジオ』を手がかりに「城新鉄道」の第一歩が踏み出されたのです。ちなみに当時、TMS誌はまだまだ手の届かない憧れの世界であったといいます。

090124n031現在エコーモデルで販売しているストラクチャーや小物パーツ類のほとんどは、阿部さんがご自身の「城新鉄道」のために作ってきたものが原点で、その意味でも、すでに解体されてしまい見ることかなわない「城新鉄道」が、その後の鉄道模型界に及ぼした影響は計り知れないものがあったといえるでしょう。
▲片野さんがお持ちになったモデルでしばし大盛り上がり。おふたりともとにかく根っからのモデラーでおられる。'09.1.23

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▲最後に尼崎工場の単車をもう一度。何年たっても作風が微動だに“ぶれない”片野さんの世界に改めて脱帽。'09.1.23

塗料が手に入らず、絵具の上にニスを塗って車輌を仕上げた時代から、城新鉄道、TMS誌への投稿、そしてエコーモデル開業と話は進み、あっという間に時間切れとなってしまいましたが、初めてうかがうお話も少なくなく、実り多い週末となりました。実はこの対談、現在企画している単行本の一部として収録予定です。改めてご案内申し上げますのでご期待ください。

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