鉄道ホビダス

夕張SL館に厳しい冬が…。

081116n011%2Cjpg.jpg
▲10月末をもって指定管理返上となってしまった石炭の歴史村・SL館に厳しい冬が迫っている。D51を模した巨大なモニュメントがエントランス、画面左側が展示棟となっている。P:奥山道紀

これまでにも何回かご紹介してきた夕張「石炭の歴史村・SL館」の窮状ですが、去る10月末をもって指定管理者として受託・運営に当ってきたリゾート会社が、老朽化や採算性を理由にSL館の指定管理を返上し、再び大きな危機に瀕しています。先日は三菱大夕張鉄道保存会と日本鉄道保存協会の代表が夕張市長と面会し、保存の意義を訴えるなど活動が続いていますが、その前途は決して予断を許しません。今日は三菱大夕張鉄道保存会の奥山道紀さんから頂戴したお手紙をご紹介してみることにしましょう。

081116n003.jpg「編集長敬白」でも幾度となく取り上げられた(アーカイブ「ついに…夕張「SL館」廃止」参照)北海道夕張市の石炭の歴史村・SL館ですが、再度危機に瀕しています。
夕張では炭礦の開発と共に鉄道が延び、町並みが形成されました。北海道炭礦鉄道(後の北海道炭礦汽船)により北炭夕張炭礦の前身となる夕張採炭所が設置されたのが明治22(1889)年、早速石炭輸送のための鉄道建設が進められ、追分~夕張間の夕張線は明治25(1892)年に開通しています。周辺でも炭礦の開発が進むと明治40(1907)年には紅葉山から楓への支線が、明治44(1911)年には清水沢から二股間に大夕張炭礦専用鉄道(後の三菱大夕張鉄道/RMライブラリー47巻『三菱鉱業大夕張鉄道』参照)が開通、さらに大正2(1913)年には北炭真谷地専用鉄道も開通し、夕張川の本支流に沿い線路が延びて街並みが形成されました。また、大正15(1926)年には札幌・小樽方面への短絡線として夕張鉄道も開通しました。
▲財政破綻前の石炭の歴史村・SL館。隣接していた遊園地はすでにない。'04.6.19 P:名取紀之
クリックするとポップアップします。

081116n001.jpg
▲SL館館内の現状。左の夕張鉄道14号機はこの写真でもわかるように大きく傾きはじめてしまっている。うしろの客車はナハニフ151、右奥に見えるのは大夕張鉄道4号機。P:奥山道紀
クリックするとポップアップします。

しかし炭礦の合理化・閉山により夕張市内の鉄路の多くは廃止され、現在残るのは旧国鉄夕張線を吸収し道東方面への短絡線として昭和56(1981)年に開業した石勝線と、その支線だけです。古くは三菱大夕張鉄道の9200形や、真谷地専用鉄道の8100形、4110形と多くのファンの人気を集めましたが、国鉄蒸機の終焉を飾ったのも昭和50(1975)年12月24日のD51 241号機牽引による石炭列車でした。

081116n004石炭の歴史村・SL館は夕張市石炭博物館の付属施設として昭和55(1980)年に開館し、石炭輸送や市民の足となった夕張鉄道14号機・客車ナハニフ151、三菱大夕張鉄道4号機、保線車輌のほか、国鉄夕張線や北炭真谷地専用鉄道の関連資料も含め、車輌部品、駅備品、模型、映像など550点の資料を収蔵・展示しています。特に夕鉄14号機は今もって人気の高いスタイリッシュな自社発注機で、地方鉄道が独自設計でテンダ機を製造した数少ない事例の車輌でもあります。
▲「SL館」館内には夕張地方に存在した数々の地方鉄道・専用鉄道の史料も保存されている。'04.6.19 P:名取紀之
クリックするとポップアップします。

081116002.jpg
▲新夕張駅(旧紅葉山)に到着したC11 207の牽く「夕張応援号」。さまざまなかたちで夕張応援の輪は広がりつつあるのだが…。P:奥山道紀
クリックするとポップアップします。

平成18(2006)年に夕張市の破綻が明らかになり、その後昨年4月よりリゾート会社が指定管理者として受託・運営に当ってきましたが、10月末に老朽化や採算性を理由にSL館の指定管理が返上され、現在、保存車輌や収蔵資料が解体や散逸の危機に瀕しています。

081116n012.jpg夕張市内で鉄道文化財の保存・活用に取り組んでいる私たち三菱大夕張鉄道保存会では、日本鉄道保存協会と共に、11月10日に夕張市長に対して、これら鉄道車輌・関連資料は夕張市石炭博物館と一体となった石炭とともに歩んだ夕張の鉄道文化財であり、それらの保全・活用を要望するとともに、今後の協議・協力も申し出ました。同席した夕張鉄道の元機関士で、最後に14号に乗務した柴原新平氏(『SL甲組の肖像3』所収「日産4200トン! 黒ダイヤとともに半世紀/夕張鉄道」参照)は「14号は自分の分身のようなもの」と保存を訴えましたが、今後も幅広い支援が必要となります。
▲三菱大夕張鉄道保存会と日本鉄道保存協会による夕張市長への要望書提出。夕張鉄道OBも列席した。'08.11.10 P:毎日新聞社提供
クリックするとポップアップします。

081116n021.jpg
▲ボランティアによるSL館の雪下ろし作業。間もなく夕張の地に厳しい冬が訪れようとしている。P:奥山道紀

地下に坑道が多い地盤の関係からか、現在、14号機は「SL館」壁面に持たれかかるようなかたちで次第に傾きはじめており、このままだと危険な状態にもなりかねないそうです。次号の本誌でも屋鋪 要さんがご自身の連載中でこの14号機の危機的状況に触れておられますが、これからの夕張市の対応が懸念されてなりません。

sketchletter_ptn2a.jpg

レイル・マガジン

2008年11月   

            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            
「編集長敬白」が携帯電話でもご覧になれます。下記アドレスもしくはQRコードを読み取ってアクセスしてください。
http://rail.hobidas.com/blog/
natori/m/

ホビダス・マーケット新着MORE

  • 俺がイル
ネコ・パブリッシングCopyright © 2005-2018 NEKO PUBLISHING CO.,LTD. All right reserved.