鉄道ホビダス

断末魔の「ランケンハイマー」。

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昨日ご紹介したカリフォルニアの“C.P.HUNTINGTON”をお送り下さった村松 功さんからは、実はもう一枚たいへん珍しい写真もお送りいただいています。あの「ランケンハイマー」断末魔の姿です。お便りとともにこの貴重な写真もお目に掛けたいと思います。
▲すでにキャブ屋根も失われて哀れな姿となった磯分内工場 1号機(現車は無番号)。キャブ側面に「ランケンハイマー」とカタカナ表記された奇妙な銘板が見える。ちなみに既に汽笛は失われていたようだ。'62.8.20 日本甜菜製糖磯分内 P:村松 功
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豊島園の“C.P.HUNTINGTON”で貴兄が発見された“LUNKENHEIMER”の文字についてもいささか気になるところです。小生も大昔(1962年)に日本甜菜糖磯分内工場を訪れたことがありますが、この時は既に「ランケンハイマー」は廃車後でキャブも取り払われ、工場の一隅に放置されていました。しかしこの時見たその奇怪な姿の印象は今でも忘れられません。ついでながらその時に撮影した写真もご覧に入れます。

ご存じかとは思いますが、この機関車についてはかつて小熊米雄氏が『科学朝日』1962年10月号でその出自の謎解きを試みておられますが、19世紀末にアメリカで製造された機関車で、スクラップとして輸入されたものを日本で再生したものではないか?と推測されるに留まっています。この機関車の不思議な点は現車に取り付けられた製造銘板の表記が日本語で、片カナと漢字で「ランケンハイマー製 米国」と記されていることです。小熊氏は1914年発行のアメリカの機械製造会社のリストに「Lunkenheimer & Co.」という名前があり、バルブとその付属品のメーカーであることまでは調査されていますが、この会社と磯分内の機関車を結びつける手がかりは無く、関係は不明とされていました。

今回、貴兄が発見された「模型列車」の汽笛が、Lunkenheimer社製のものだとすれば、このメーカーは汽笛のメーカーで、その製品はアメリカから輸入された他の機関車にも取付けられていたことも考えられます。磯分内の1号にも当初はLunkenheimer製の汽笛が付いていたことも考えられ、日本で整備改造する段階で、機関車の製造銘板が失われている中、唯一判読できた汽笛に記された文字を機関車のメーカー名と誤認し「ランケンハイマー製」と決めつけたのではないか…という推理も成り立ちます。小熊氏がご存命であれば、謎解きに大きな前進があったと喜ばれたのではないでしょうか。

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▲ランケンハイマーのライセンスによるオハイオ州シンシナチ・バルブ・カンパニーの現行カタログ。ランケンハイマーブランドの汽笛はもとより、水面計なども取り揃えられている。
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近年、模型化もされ(アーカイブ「“ランケンハイマー”のお砂糖」参照)、いまさらながら“メジャー”になった感のある「ランケンハイマー」ですが、同機を実際にご覧になった方は少なく、なおかつ廃車後のこんな姿には初めてお目に掛かりました。村松さんには重ねてお礼申し上げたいと思います。ところで、その“Lunkenheimer”ですが、ネットで検索してみると、各種バルブのライセンスホルダーとして健在のようです。やはり村松さんの推理のように、汽笛やバルブ類にあった刻印を機関車本体のメーカー名と誤認、もしくは届出書類の方便として使った可能性が高いようです。
としまえんの園内鉄道で見かけた汽笛の刻印を発端として、意外な展開となりましたが、これまた鉄道趣味の醍醐味に違いありません。

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