鉄道ホビダス

紀州鉄道は今…。(中)

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▲紀州鉄道沿線は意外なほど宅地化が進んでおり、キハ603はその間を縫うようにゆっくりと走る。'08.7.20 市役所前-紀伊御坊
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紀州鉄道に在籍している車輌は3輌。北条鉄道からやってきた富士重工業製レールバス、キテツ1と大分交通耶馬渓線の生き残りキハ603、604です。キテツ1の方は広告ラッピングが施されたりして趣味的には少々興ざめな感がありますが、1960(昭和35)年製のキハ603は、DMH17形のエンジン音とともに古き佳き非電化私鉄を彷彿させてくれる貴重な存在です。

080728n2.jpgこのキハ603、全長18m、正面2枚窓のいわゆる“湘南顔”に懐かしい“金太郎”塗り分けが時代を感じさせます。大分交通時代は先に廃止された国東線用の2輌(602、604)とあわせて4輌の仲間がおり、1975(昭和50)年秋の耶馬溪線廃止時には全車が中津に集結していました。601は「やまびこ」、604は「なぎさ」と愛称が付けられて主力として活躍していましたが、廃止後は603と604がここ紀州鉄道へ、601と602が地元・中津市内のレストランに静態保存され、幸運なことに全車が今もってその姿を留めています。
▲キハ603の面構え。いわゆる“湘南顔”に、まるで眉毛のようにルーバーが誂えられている。'08.7.20 西御坊
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▲未だに白熱灯の客室内。もちろん冷房装置などなく、夏場はバス窓の下の一段上昇の側窓を全開にして走る。10系気動車譲りの座面の低いクロスシートも泣かせる。'08.7.20 西御坊
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080728n4.jpg紀州鉄道にやってきてからも大きな改造を施されることなく、車号もそのままに活躍していましたが、1984(昭和59)年に自動扉化、1989(平成元)年にワンマン化改造を施されています。なおかつHゴム支持だった全面窓がサッシ押さえに変更され、オリジナルの尾灯位置に前照灯が増設されたため、正面の印象は多少異なるものとなってしまっています。とはいうものの、今や超貴重となった白熱灯の客室内や、DMH17形機関に定番のTC2形変速機、さらには独特の偏心台車などはまったく変わっていません。鹿島鉄道なき今となっては、現役残存随一の貴重な気動車と言っても過言ではないでしょう。
▲開放式の運転台。ワンマン機器が追加されているが、概ね大分交通時代と変わってはいない。機関車と同様の右ノッチ、左ブレーキ弁の機器配置に注意。'08.7.20 西御坊
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▲紀伊御坊の側線で休車中の僚車キハ604。予備車と言っても、今や残念ながら部品取り用となってしまっているようで、再起する可能性はなさそう…。'08.7.20 紀伊御坊
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ただ、かつて国東線所属だった僚車キハ604は紀伊御坊の側線で写真のように荒廃した姿を晒しているのが残念ではあります。車籍は残っているものの、再び走る日は訪れそうもなく、今後もキテツ1とキハ603が入れ代わりで運用に就く状態が続くものと思われます。

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▲DMH17のエンジン音を響かせて紀伊御坊付近の市街を行くキハ603。さりげないこんな情景も紀州鉄道の魅力のひとつ。'08.7.20
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わずか2.7㎞とはいえ、保存鉄道ではない現役の営業鉄道でこのキハ603に乗れるのは感動的でさえあります。今では珍しい床下排気のエキゾーストの熱気を感じながら、全開にした側窓に身を委ねていると、所要8分・全線180円の旅が至上のものに思えてくるから不思議です。

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