鉄道ホビダス

“リリプット”の森。(上)

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▲晩秋の日差しを浴びて500㎜の軌道が森へと続く。わかりにくいが右側の草の中にはクレイピットを目指す600㎜の軌道が寄り添うように並走してゆく。'07.11.22
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十年ほど前まではフランス各地に残っていたインダストリアル・ナローも急激にその姿を消し、今では指折り数えるほどになってしまいました。そんな中で一度訪ねてみたいと思っていたのが、ノルマンディー地方にある欧州最古の現役内燃機関車とされるユンクを使っている煉瓦工場と、今回ご紹介する北部フランスのシモ煉瓦製造(Briqueterie Chimot)でした。

liliput110.jpg北部フランスは煉瓦製造に適した土壌もあってか、古くから煉瓦の製造が盛んで、かつてはその多くがクレイピットから工場への原料運搬用軌道を擁していました。クレイピット周辺の地盤が極端に軟弱なことからゴムタイヤのトラックが使えず、昔ながらの軌匡(移設式軌道)が愛用されてきたものですが、近年では小型軽量の重機の開発も進み、あえて原始的な軌匡を使う必要もなくなったようです。
▲バランシエンヌの街外れの立つシモ煉瓦工場の案内標識。これでは見つけられないはず…。'07.11.22
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▲SNCF(フランス国鉄)のバランシエンヌ駅は由緒ありそうな歴史的建築。ここでもLRTが活躍している。'07.11.22
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13年ほど前にベルギー国境周辺に点在する3ヶ所の煉瓦工場を巡ったことがありますが、そのいずれの軌道も今はなく、判明している限りでは北部フランスに残る唯一の軌道利用の煉瓦工場がここシモ煉瓦製造です。

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▲いったいいつ頃のものなのだろうか、1基しかない原始的なキルンを取り囲むように500㎜ゲージの軌道が敷設されている。手前に見えるのが500㎜軌道唯一の動力車“LILIPUT”。'07.11.22
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▲森の中を続く軌道。こちらはプリムスが働く600㎜軌道の方で、リリプットの500㎜軌道は画面右側に並行している。'07.11.22
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パリ市内から北東へ約200キロ。バランシエンヌという町にその工場はあると聞いてパリからレンタカーを飛ばしてきたものの、これが一筋縄ではゆきませんでした。バランシエンヌの町は歴史あるかなり古い町らしく、街路が複雑に入り組んでおり、おまけにやたらと一方通行が多いときています。高速のサービスエリアで買った市内図を手がかりに…と思うものの、なにせ一人旅ゆえナビゲーター役もおらず、逐一クルマを停めて地図を確かめる有り様です。

liliput106.jpg気が付くと同じ場所に戻ってしまったり、どうにもお手上げ状態に陥り、やむをえず沿道の車庫からクルマを出そうとしているオバサンに訊いてみることにしました。もちろんフランス語などできませんから(大学時代の第2外国語はフランス語を履修しましたが…)、ノートを見せながらせめて道順だけでも教えてもらおうという腹です。ところがこのオバサン、えらく親切な人で、私が先導してあげるからついてきなさいとジェスチャーしてくれるではないですか。
▲乾いた排気音を響かせて森へと入ってゆくリリプット。気持ち良い風が白樺の木立を揺らす。'07.11.22
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▲乾燥場脇をクレイピットへと続く600㎜軌道。線路はこの先で左へと分岐し、恐ろしいほどの軟弱地盤をピットへと進む。'07.11.22
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これはありがたいとオバサンのクルマについて走り始めたものの、これが速いのなんの。後ろを慮るどころか、まるで振り切ろうとしているかのごとき飛ばしようです。まさに地元民しか知らない裏道をバンバン飛ばすのですから、ついてゆく異邦人としては冷や汗ものでした。まぁ、なにはともあれこのオバサンのおかげもあってお目当ての煉瓦工場入口までたどり着くことができたのですが、入口といっても肝心の工場は遥か彼方で見えず、農道のような未舗装路の入口に小さな矢印看板があるだけ。これでは自力では日が暮れるまで探しても見つけられなかったに違いありません。

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