鉄道ホビダス

2008年3月16日アーカイブ

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▲青函トンネルを越えて道内に姿を現した485系試運転列車。「海峡試運転」のヘッドマークには去りゆく青函連絡船のシルエットが浮かぶ。'88.1.15 久根別
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14時21分、新中小国信号場発車。試9727レはいよいよ津軽海峡線に乗り入れ、キャッチコピー「ゾーン539」の由来ともなった全長53.85kmの青函トンネルを目指します。

seikan822.jpgちなみに津軽海峡線は全長87.78kmのうち72kmあまり、実に82%がトンネルで占められています。最初の大平隧道に入った瞬間から車内には歓声が上がりますが、もちろんまだまだお目当ての青函トンネルではありません。続いて全長5.9kmと青函に次いで長い津軽トンネルを潜り、本州内にあるJR北海道所属の唯一の駅・津軽今別へ。この津軽今別駅は青函トンネル工事の青森側工事拠点のひとつで、当初は信号場扱いであったものを開業に合わせて正規の駅に昇格させるのだそうですが、この時点ではまだ乗降設備らしきものは見かけませんでした。
▲ついに青函トンネル。「青函」と書かれた小さな隧道標が車窓をかすめる。'88.1.15
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津軽今別を14時31分30秒定刻に発車。左右に赤い消火栓の箱が並ぶ築堤を進んでゆくと、さきほど分かれた津軽線が再び姿を見せ、あっという間に築堤を潜って右手へと消えてゆきます。

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この辺りから大川平、第一今別、第二今別、第一浜名、第二浜名…と短いトンネルが連続します。そのたびに車内には歓声が上がりますが、次第に“狼が来た”状態となって子どもたちも飽きてしまったようです。第三浜名、第四浜名と潜り、中小国側から数えてちょうど10番目がいよいよ青函トンネルです。
▲青函トンネル内を高速で走り抜ける50系5000番代による試乗列車車内。かなり湿度が高く感じられる。'88.1.15

全長140mと極端に短い第四浜名隧道を出たと思うや、試9727レは鋭いホイッスルを響かせて青函隧道に飛び込みます。トンネルポータル上部には「青函隧道」の立派な扁額が掲げられているはずですが、当然車窓から確認することはできません。

seikan824.jpgトンネルに入ってから8分ほど、左右に細いホームと非常口灯が見えてきます。「竜飛定点」です。この青函トンネルには本州側に「竜飛」、北海道側に「吉岡」と2つの防災拠点である「定点火災対策設備」が設けられています。ちなみにこの2つの定点、3月13日からは施設を整備のうえ、「竜飛海底駅」、「吉岡海底駅」と命名されて開業予定とのことです。
▲「吉岡定点」に3分ほど停車。“ホーム”は人一人がようやく立てるほどの狭さ。'88.1.15
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試9727レは14時43分30秒に竜飛定点を通過、12‰の下り勾配を滑るように“海底”目指して加速してゆきます。竜飛定点通過後8分ほどで海峡中央部に達するはずですが、残念ながら車窓の光景は一向に変化することなく、ひたすら周期的に蛍光灯の光だけが後方へと流れてゆきます。

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▲青函トンネルを抜け列車は新湯の里信号場へ(左)。木古内駅(右)からは在来線に入る。'88.1.15
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14時59分、吉岡定点着。ここは3分ほどの停車時間があり、幅60センチほどの“ホーム”に降り立つことができました。さすがに開業にあたってこのままでは“駅化”できないため、あと20センチほどホーム幅を拡幅する予定とか…。いずれにせよ、この吉岡定点の常温は20℃とあってまったく寒さは感じないものの、かなりの湿度で、なおかつ心なしか潮っぽい空気が充満しています。50系客車の側窓もびっしょりと汗をかいたような有り様。試運転開始当初は屋根上の積雪や結氷がこの付近で溶け出して、ベンチレーターから室内に流れ込むトラブルが続出したと聞きますが、西の関門とともに、海底トンネルの苦労は時代を超えて絶えることがないようです。

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▲黄昏迫る渡島当別付近をゆく試9727レ。車窓には津軽海峡の水平線がいっぱいにひろがる。'88.1.15
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青函トンネルに入ってから45分あまり、進行方向の闇がかすかに明るくなりはじめ、15時20分、試9727レは雪原の高架橋に踊り出ました。ついに津軽海峡の海底を潜り抜けたのです。新湯の里信号場で2分停車。彼方の袴腰岳や蛇行する知内川の風情は、つい1時間ほど前まで目にしていた津軽の風景とは明らかに異なり、列車が北海道の大地に足を踏み入れたことを実感します。

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新湯の里(信)から10分ほど高架橋を走ると左から江差線、右からは松前線が現れ、列車は木古内の町に入ります。ちなみに松前線は1月いっぱい、つまりあと2週間ほどで廃止されることとなっており、江差・海峡・松前の3線が並ぶ光景も今限りということになります。
▲渡島当別ではキハ22形3連の725Dと交換。うしろ2輌は木古内止まりだが、先頭の1輌は松前行き。松前線も1月いっぱいで過去のものとなってしまうだけに、まさに名残りの交換シーン。'88.1.15
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15時34分30秒、木古内を発車。試9727レは江差線を五稜郭へと向かいます。釜谷付近から車窓右手には西日に輝く津軽海峡が広がり、遥か洋上には函館を目指す青函連絡船3便の船影も望まれます。

seikan828.jpg黄昏の函館湾と別れを告げた列車は上磯へ。日本セメント上磯工場を大きく迂回するように築堤を登ると、眼下にはアンダーパスしている上磯工場専用鉄道の電気機関車たちの姿が見えます。16時10分15秒上磯通過。この調子だと函館ももうすぐ…と思いきや、試乗列車はここからが究極の鈍足ぶりとなってしまうのです。久根別で29分、七重浜で19分…よくわからない運転停車が設定されており、函館駅4番線に到着したのはすっかり暗くなった17時16分。換算すれば木古内~函館間41.2kmを1時間40分、実に25km/h程度で走ったことになります。さらに、この試9727列車に限って言えば青森~函館間の所要時間は3時間44分、奇しくも青函連絡船と寸分違わないものでした。
▲JR貨物五稜郭機関区に隣接した「五稜郭準備運転区」入口。0番代21輌、100番代13輌のED79が配置されている。'88.1.15
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