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2008年3月15日アーカイブ

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3月13日は青函連絡船が廃止されてからちょうど20年目で、それは同時に青函トンネル開業20周年をも意味します。今回は、そのバトンタッチを目前にした1988(昭和63)年1月、津軽海峡線の試運転列車で青函トンネルを潜り、函館からは廃止を目前にした青函連絡船で青森に戻るという、まさに最初で最後のラウンドトリップの体験を、本誌52号(1988年4月号)掲載記事をもとにふりかえってみようと思います。
▲函館湾の航路標識をかすめ津軽海峡へと向かう青函連絡船「十和田丸」。'88.1.16
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▲まるで記念乗車券のような凝ったデザインの津軽海峡線試乗券。「ゾーン539」は当時のキャッチコピーで、539は青函トンネルの延長(53.85km)に由来する。
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9時08分、上野から12時間近くをかけて、ED75 708〔福〕に牽かれた急行「八甲田」は青森駅2番ホームに定時に到着しました。山側の3番線には昨夜この「八甲田」より30分ほど前に同じ上野駅15番線を発車していった奥羽本線経由の「あけぼの1号」が停まっており、海側の1番線には9時33分発盛岡行き「はつかり12号」の583系が並んでいます。「あけぼの1号」を牽引してきたED75 750〔秋〕の機回しを見送りつつ第2岸壁に目を転じると、オレンジと乳白色に塗り分けられた青函連絡船「十和田丸」の鮮やかな船体が見えます。10時10分出航の25便です。その隣の第1岸壁には9時50分出航の貨物便153便の「檜山丸」の姿が目に入ります。

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▲青森駅跨線橋には残りわずかとなった「青函連絡船のりば」の案内表示が…。'88.1.15

seikan814.jpg13時14分、青森駅6番線にマリンブルーの車体に太い白線がひときわ鮮やかな50系5000番代10連による試9726列車が入線してきました。この列車が折り返して試乗する試9727列車となります。先頭に立つのはED79 3。青函トンネル開業のその日まで総勢34輌のED79はすべて五稜郭準備運転区という奇妙な名称の車輌基地所属で、そのためか区名札は入れられていません。開業までに車体塗色を青函特別色に変更する…との観測もあったのですが、結局「赤2号」のままの見慣れた交流電機のコスチュームです。
▲青森駅5番線で発車を待つ試9727レ。先頭に立つED79 3はこの時点では「五稜郭準備運転区」の所属だった。'88.1.15
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ところでこの青函トンネル一般試乗会は前年(1987年)の12月14日より始まっており、すでに一ヶ月あまりが経過しているためか、青森駅の一番山側に入っている列車が「函館行き」であるにも関わらず周囲はあっけないほどに閑散としています。

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▲青森駅をあとにすると試9727レの車窓進行左側には青森運転所の構内が広がる。583系をはじめもちろん国鉄色全盛。'88.1.15

seikan816.jpg13時30分、甲高いホイッスルとともに試9727レは青森駅を発車しました。しばらくは奥羽本線と並走しつつ次第に速度を上げ、左手に青森運転所の構内が広がる頃にはすでにかなりのスピードとなってきました。青森駅から4キロあまり、新設された新油川信号場を過ぎるあたりで市街地を抜け、防雪林に囲まれたいかにも津軽らしい民家を左右に見ながら奥内(おくない)、左堰(ひだりせき)、後潟(うしろがた)と相次いで難読駅を通過し、13時50分、青森を出てからちょうど20分で郷沢駅に到着、対向列車交換待ちのため6分ほどの停車となります。
▲郷沢で三厩発青森行きの932Dと交換。先頭は急行色のキハ58、最後部はお買い物列車“うとう号”の5連。'88.1.15
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郷沢駅に姿を現した対向列車932Dはキハ58を先頭にした5連。在来色のキハ55、ホワイトに赤帯のキハ22、タラコ色に暫定の白帯とJRマークのキハ22、それに“うとう号”と青森地区のローカルDCオンパレードの愉快な編成です。

seikan817.jpg郷沢を発車した列車は無人駅の瀬辺地を通過、右手に並走する国道280号線とともに一気に陸奥湾沿いへと踊り出ます。50系5000番代は窓が開かないため、撮影のために特別に入れてもらっているオハフ50の乗務員窓から覗かせた顔には、身を切るような寒風が容赦なく打ち付けてきます。
▲道床に雪の残る蟹田駅を発車。駅設備はまだ非電化時の津軽線のまま。'88.1.15
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14時06分蟹田着。ここから列車は陸奥湾と離れて北西に針路を変えますが、この付近は開業時には100km/hで運転される区間だけに、試乗列車もかつての津軽線のイメージとはかけ離れた高速で走り抜けてゆきます。

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▲平原に突如として現れる新中小国信号場。ここから列車は新線区間に入る。左端は三厩へと続く津軽線の線路。'88.1.15
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seikan819.jpg中小国駅を通過、平野に出た線路はさながらヤードを思わせる複雑な配線の構内へと進んでゆきます。新中小国信号場です。ここでいよいよ列車は津軽線と分かれ新設された海峡線へと乗り入れてゆきます。ちなみに線路の戸籍自体もここからJR北海道へと変わります。
▲荒涼とした風景の中、津軽今別を通過。彼方に保線基地が見える。'88.1.15
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▲高速で高架線を飛ばす試9727レ。前方に青森を出てから初めてのトンネルである太平隧道が見えてくる。'88.1.15
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14時19分、新中小国(信)着。青森から33.7kmを49分かけて走破したことになりますが、途中の停車時間を除外すれば、この試乗列車も平均速度52km/hとまずまずの俊足ぶりだったことになります。
2分停車ののち鋭いホイッスルとともにゆっくりと動き出した車窓を「無線切替」の標識が過ぎります。いよいよATC区間の海峡線です。左手を、現金にも今までとはうってかわって木製枕木のままとなった津軽線が三厩へと去ってゆき、試9727レは複線となった線路を力強く加速してゆきます。目を見張る壮大なコンクリート高架橋の20‰勾配を大きく右にカーブしながら上りきり、列車は青函トンネルまで断続的に続くトンネル群の先陣をきる太平トンネルへと突っ込んでゆきます。

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