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レイル・マガジン編集長自らが作る編集日記。

2007年11月12日

蒲原のモハ1を見る。

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▲さすがに木部の傷みは見られるものの、しっかりとした状態で保存展示されている蒲原鉄道の「モハ1」。村松車庫の詰所代用として長年にわたっていわゆる“だるま”状態だっただけに、当時の状況を知る者にとっては感無量。'07.11.4
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かねてより機会があれば見てみたいと思っていた蒲原鉄道モハ1の復元車をようやく目にすることができました。場所はかつての蒲原鉄道冬鳥越駅跡。現在は冬鳥越スキーガーデンとなっていますが、現役時代は冬鳥越駅を俯瞰しようと雪中行軍した思い出の場所だけに、その意味でも感慨深いものがあります。

kanbaramoha1syanai.jpgもちろんこの季節はスキー場は営業していませんが、芝生が綺麗に生え揃ったゲレンデは家族連れの格好の遊び場となっており、訪れた日も草スキーに興じる子供たちで結構な賑わいでした。お目当てのモハ1はモハ61とともにゲレンデ入口に保存されていますが、これがなかなか粋なはからいで、木製の架線柱にカテナリーも張られ、両車ともにパンタグラフを上げた状態で展示されています。電気車の場合、パンタグラフが上がっているか否かで印象が大きく左右されるだけに、この凝った演出には頭が下がる思いです。
▲モニタールーフもきちんと修復された車内。管理事務所に申し出れば車内を見学することも可能。'07.11.4
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ガーデンの営業時間中は管理事務所の許可を得れば車内の見学も可能で、木製の重たい側引戸を開けると、モニタールーフから外光が差し込む独特の車内を味わうことができます。
▲二重屋根に取り付けられた特徴的なトルペードベンチレータを見る(左)。村松時代にはなくなっていた台車(ブリル76E)もしっかりと復元されているが、さすがに電動機は入っていない(右)。'07.11.4
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このモハ1、1923(大正12)年蒲田車輌製の11m級木造ボギー車で、蒲原鉄道が開業に際して準備した車輌です。形態的には同年製の目黒蒲田電鉄(のちの東京急行電鉄)デハ1形と同形で、車体両端に寄った大きな引戸の間に10個の窓がきれいに並ぶサイドビューは、二重屋根とあいまってモデラーにも人気のスタイルです。

kanbara981019.jpgところでこのモハ1、蒲原鉄道現役時代はなんと村松車庫の一隅で足回りを外されて作業所兼詰所として使われていました。いわゆるニセスチール化されていたとはいえ、地面に接している車体裾部は腐食が進んでほとんど土に同化してしまったような状態で、まさかあの“廃車体”がこれほど見事に復元されようとは思ってもみませんでした。現在は新潟県内最古の木造電車として加茂市の指定文化財にもなっているとのことです。
▲村松車庫で詰所代用となっていた当時の姿。建造物の屋根のようなものが載せられていて本来の二重屋根の状態はわからない。'98.10.19(『模「景」を歩く』より)
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▲冬鳥越スキーガーデンにはモハ1と一緒にモハ61も保存されている。模擬架線が張られてきちんとパンタグラフが上げられているのは嬉しい限り。'07.11.4

このモハ1、復元されたのはもう5年も前のことだそうで、さすがに経年劣化は隠せませんが、冬季はすっぽりとシートに包まれて“越冬”するなど実に手厚いケアがなされているそうです。今後も末長い保存を期待したいものです。