鉄道ホビダス

2007年11月30日アーカイブ

第3回:“Le Train”編集長に聞く。
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▲自社ブースの前に立つ“Le Train”のGabriel Acker編集長。会期中は来客やら商談やらで息つく暇もない忙しさ。'07.11.24
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今回の“RAIL EXPO”に出店している出版関連のブースは11。本誌と似た誌名の“La Vie du Rail Magazine”を発行している1938年創業の老舗La Vie du Railや、強烈な個性派として日本でもシンパの少なくない“Loco Revue”から、初めて実物を目にする自費出版的なブースまで実に多彩ですが、そのなかでもさながらネオンサインのようなタワーを掲げて会場中央にブースを構え、ひときわ目立っているのが“Le Train”です。

LeTrain2.jpgその“Le Train”のブースでは編集長のGabriel Acker氏にお会いし、彼の地の鉄道趣味についてさまざまな話をうかがうことができました。現在通巻236号を数える“Le Train”誌は、総ページ112ページほどのうち前半3分の1程度が最新ニュースを交えた実物記事、後半3分の2ほどが模型記事といった、創刊間もない頃のRM本誌と似た誌面構成となっています。最新号は中綴じ中央にHOスケールのストラクチャー型紙が綴じ込まれており、これを外すとセンター見開きがポスターになるような工夫もなされています。
▲“Le Train”のブース。最新刊からバックナンバーまで取り揃えて直販していた。'07.11.24
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LeTrain3.jpgAcker編集長のお話では、フランスの趣味界も高齢化が著しく、氏が予想している年代的ボリュームゾーンは50代とのこと。若年層、ことに子供は「あなたの国のニンテンドー」にやられてなかなか鉄道趣味に入ってこないと嘆いておられました。それでも次世代を担う読者の開拓に積極的な誌面展開もしているとのことで、子供がストラクチャーを組み立てる工程写真のページを開いて見せてくれました。ただ、会場内を見回すかぎり、ティーンエージャーもそこそこ見かけますし、「さながら退役軍人の集会」と自嘲されるアメリカのナローゲージ・コンベンションなどから比べれば、まだまだ“まし”のようにも見受けられます。
▲お互い自らの出版物を手に記念撮影。こんな展開になろうとは予想していなかっただけに、あまりにラフな格好で反省しきり…。'07.11.24

高齢化とともにもうひとつの懸念材料は、いわゆる工作離れだそうです。コレクションに徹し、車輌工作やレイアウト製作に興味を持たない層が次第に増加しつつあり、あくまで工作記事にこだわる同誌としては、啓発に腐心しているとのこと。アメリカでのOn30の台頭に象徴される“ready to run”志向と軌を一にして、コレクタブルな方向性は今や世界的なベクトルのようです。

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▲本誌に相当する“Le Train”12月号(左上/6.9ユーロ=約1200円)とその増刊“Le Train Special”(右上/13.55ユーロ=約2300円)。前者は通巻236号、後者は51冊目となり、今回のテーマはSNCF(フランス国鉄)の米国製ミカド141Rを特集。

ことさら優れたレイアウトを素晴らしい写真で紹介する“Les Super-Reseaux”(左下)と、RMライブラリーに相当する“Le Train archives”シリーズ(右下)。前者は15ユーロ(約2500円)、後者は16.5ユーロ(約2800円)と結構いいお値段。

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▲“Les Super-Reseaux”(左)はオールカラー100ページほど。あえてモノクロ4色分解したレイアウトシーンは実物と見まごうばかり。彼の地のデジタル技術は侮り難いものがある。右はその名のとおりアーカイブに特化した“Le Train archives”シリーズの誌面。やはりモノクロの4色分解だ。
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フランスの鉄道模型人口はどのくらいなのか、ずばりうかがってみると、25,000?30,000人という返事が返ってきました。恐らくはかなり“生”な数字と思われますが、ベルギーやスイスといった隣国仏語圏、さらには比較的同じような嗜好の英国まで含めると果たしてどのくらいの規模になるのでしょうか…。

LeTrain4.jpgAcker編集長とのやりとりのなかでことさら興味深かったのが、同社の近年の媒体展開です。本誌“Le Train”から、模型、ことにハイレベルな模型に特化した別冊(“Les Super-Reseaux”)を季刊ベースで分離、さらには歴史的アーカイブだけを1冊1テーマで纏める別冊(“Le Train archives”)を不定期で刊行し始めています。言うまでもなくこれは弊社のRM/RMM/RMLの展開方針とまったく同じです。3誌を手にしたAcker編集長も、1万キロ離れたその方向性の符合に感動さえ覚えたようで、しきりに握手を求めてきました。
▲各ブースを丹念に撮影して回る“Le Train”のカメラマン。ストロボ撮影ではなく、アシスタントが投光器スタンドを持ってついて回っている。言うなれば、フランスの青柳カメラマン。'07.11.24

LeTrain5.jpgただ、まだ“Le Train”本誌の実物記事と模型記事をきれいに二分する状況ではないようで、RM本誌から模型が分離してRMMが生まれた経緯を非常に興味をもって尋ねられておられました。余談ながら、同誌には非常に美しい実物写真も多く、鉄道写真人口も多いのだろうかとお聞きしたところ、しばらく窮しておられたものの、400人くらいという答が返ってきました。模型に興味を持たず鉄道写真だけを趣味とする層が400人と言っておられるのか、あいにくその辺のディテールは聞き漏らしましたが、何ともやたらと具体的で微妙な数字ではあります。
▲会場内の機材移動はこの“専用台車”が活躍。三脚やらなにやらもすべてこの台車に搭載する。'07.11.24

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▲会場中央にブースを構える“Le Train”は常に注目の的。3日の会期を通してかなりの売上があったように見受けられた。'07.11.24

「よいシャンパンがあります」とスタッフのパリジェンヌに取りにゆかせたAcker編集長。ブースの中に私を招き入れ、シュポーンと盛大に栓を抜き乾杯。お客さんが取り囲むブースの中で一杯…というのもフランス流なのでしょう。いずれにせよ、大きな収穫の出会いでした。

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