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レイル・マガジン編集長自らが作る編集日記。

2007年10月18日

RMライブラリー99巻は『西濃鉄道』。

RML99_H1n.jpg今月発売のRMライブラリー第99巻は、清水 武さんによる『西濃鉄道』です。小ブログでも今春訪問記をご紹介しておりますので、先刻ご承知のことと思いますが、西濃鉄道は岐阜県の東海道線美濃赤坂駅を起点に路線を伸ばす貨物専業の地方鉄道です。その歴史は古く1928(昭和3)年に赤坂?市橋間の市橋線2.6km、赤坂?昼飯(ひるい)間の昼飯線1.9kmが開業しました。短い路線が二つ、というのはかなり独特の線路形態ですが、これは美濃赤坂の北側に位置する金生山周辺の石灰石業者の採掘場や工場と国鉄美濃赤坂駅を結んだためです。

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▲市橋線の名所=石引神社の境内を横切る踏切をゆく2109。ディーゼル機関車に変わった今日でもこのシチュエーションは基本的に変わっていない。P:清水 武(RM LIBRARY『西濃鉄道』より)

seinou102n.jpg開業当初から貨物輸送を目的とした鉄道でしたが、その一方で市橋線では1930(昭和5)年から旅客営業も始まりました。もっとも、これは自前の車輌ではなく、大垣発着の鉄道省の車輌がそのまま直通運転するものでした。ちなみにこの車輌は国鉄気動車の始祖、キハ二5000で、この大垣?市橋間での運転が鉄道省における気動車列車第一号でした。その後、車輌はキハ41000に変更されましたが、この運転も戦時下の燃料統制により1945(昭和20)年に廃止となり、以後、現在に至るまで西濃鉄道は時刻表に載ることのない、貨物専業の鉄道となったのです。
▲「大垣?市橋」のサボを下げて大垣機関区で待機中のキハニ5004。P:岐阜経済大学所蔵(RM LIBRARY『西濃鉄道』より)
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▲さながら複線のように側線が続く市橋線乙女坂?猿岩間をゆく2109。左隅に積み込み用のナローゲージの線路も見える。'64.9 P:清水 武(RM LIBRARY『西濃鉄道』より)

現在では昼飯(ひるい)線は廃止となり、市橋線も美濃赤坂?猿岩2.0kmが残るのみとなりましたが、名古屋の製鉄所へ石灰石輸送するホキ9500による専用貨物列車が毎日3往復運転されています。貨物列車を運行する私鉄が数えるほどとなった今日、臨海鉄道など公営に近い鉄道以外で貨物専業の鉄道が今なお盛業中なのは特筆に価しましょう。

seinou104n.jpgさて、本書の筆者である清水 武さん(現・北恵那交通顧問)は美濃赤坂に程近い大垣にお住まいで、特に蒸機時代の同鉄道には何度となく訪れられ、大井川に旅立つB6 2109号機の姿も見送られています。このB6は現在まで続く大井川鐵道の蒸気機関車動態保存の第1号となりましたが、のちに清水さんご自身も大井川鐵道副社長を歴任されたのは、何かの縁というものでしょうか。
▲西濃鉄道の無煙化は1964(昭和39)年からはじまり、最初にこのDD401が導入された。写真は美濃赤坂で入換え中の同機。'69.4.10 P:清水 武(RM LIBRARY『西濃鉄道』より)
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本書では清水さん秘蔵のB6時代の写真を中心に、現在のDLの姿はもちろん、貴重な西濃鉄道内を走るキハ二5000の姿も含め、数多くの写真を収録し、知られざる鉄道の歴史、車輌の全貌を明らかにしています。本書をお読みになって現地を訪ねれば、興味も一層深まるはずです。

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