趣味の総合サイト ホビダス
 
 

レイル・マガジン編集長自らが作る編集日記。

2007年10月10日

大石和太郎さんが試す「D51シミュレータ」。 動画付

ooishisan11n.jpg
▲いったん加減弁ハンドルを握って前方注視すればこれがシミュレータだということさえ忘れてしまうほどリアル…と大絶賛の大石さん。

日曜日にオープンする「鉄道博物館」の大きな目玉である「D51シミュレータ」についてはこれまでにもたびたびお伝えしてまいりましたが、先日、日本工業大学でB6(2109)の動態保存に尽力され、蒸気機関車の構造と運転に関してはまさに先生とお呼びするに相応しい大石和太郎さんに挑戦していただきましたので、その模様の一部をご覧にいれましょう。

ooishisan12n.jpg大石和太郎さんは鉄道博物館の地元・大宮機関区を振り出しに、田町電車区乗務員、さらに新幹線東京運転所で1964(昭和39)年の東海道新幹線開業初列車(上り)の運転士を務められたことでつとに有名です。ちなみに小型飛行機の免許もお持ちというから驚きです。もちろん古くからの蒸気機関車ファンとしても知られ、各誌に写真を発表されるとともに、お仲間とまとめられている数々のムービーはまさに珠玉の完成度として知られています。
大宮機関区時代は半年庫内手を務めたあと、中央鉄道教習所機関助士科で蒸気機関車の構造や理論を学び、卒業後は機関助士として4年間乗務。最後の2年は憧れの本線甲組で東北本線は宇都宮までと小山から水戸線経由で水戸までに乗務されていたそうです。もちろん大宮区の東北本線だけに乗務機関車はD51。シミュレータとはいえ、まさに青春時代を過ごした大宮の地での半世紀ぶりの邂逅というわけです。
▲宮守の25‰を登る。機関助士役の向谷さんが連続投炭するが、罐圧はじわじわと落ちてゆく。なお、火床のセンサーは“かえしスコップ”さえも認識するというから、そのプログラムのこだわりようは尋常ではない。
クリックするとポップアップします。

ooishisan14n.jpg
▲罐水を作るのも機関助士の役目。給気運転中は給水ポンプが使えるが、絶気時はインゼクタを操作することになり、これがまた難しい。ただ無闇に給水すると罐温度を下げることになりかねない。

当日は開発にあたった向谷 実さんも駆けつけてくだいました。驚いたのはお願いしたわけでもないのに、お二人ともに申し合わせたように自前のナッパ服を用意されての“乗務”です。
■釜石線花巻?青笹 運転開始駅別難易度
花巻=☆☆、似内=☆☆、新花巻=☆☆、小山田=☆☆、土沢=☆☆☆、晴山=☆☆、岩根橋=☆☆☆、宮守=☆☆☆☆、柏木平=☆☆☆、鱒沢=☆☆、荒谷前=☆、岩手二日市=☆、綾織=☆☆☆、遠野=☆☆☆、青笹=☆☆☆

ooishisan15n.jpgさすがにいわゆる「線見」(勾配・曲線・信号・隧道等の線区情報を予め下見すること)もしていない釜石線だけに、最初は戸惑いもあったようですが、そこはまさに昔とった杵柄。最難関の宮守?柏木平間も2回目にして見事のりきり、なおかつ柏木平到着時のボイラ圧力もそれほど減圧していなかったのは流石というほかありません。それにしても、大石さんの目から見てこのD51シミュレータはどう映ったのでしょうか。詳しくは本誌次号で語っていただきますが、今回はその一部をご紹介してみましょう。
▲インゼクタに手を掛け助士席で前方確認中の向谷さん。まさに本物さながらの臨場感。
クリックするとポップアップします。

ooishisan13n.jpgまずその感想を先に言ってしまえば、ここまでやるとは…というのが率直な気持ちです。もうひとつの驚きは鉄道と直接関係のない音楽館の向谷 実氏をリーダーとする若いスタッフが開発して作り上げたものだという点。蒸気機関車は忘れられかけた過去のものと思っていただけに、このような若い人たちがいることに何よりも感動しました。
このシミュレータで唯一手を加えてあるのは、自動弁のユルメ込め位置にハンドルが行かないようストッパーが取り付けてある点です。それは誤ってこの位置にハンドルを置くと、給気弁の一時的過上昇で列車のブレーキが不緩解になるからで、苦肉の策というか、当然の処置であると思います。このように限りなく本物に近いシミュレータの完成は、海外、特にヨーロッパあたりでは日本国内以上に称賛されるに違いありません。
▲「いや、まいりました」と向谷さんに語りかける大石さん。機関士・機関助士としても絶妙のコンビを見せてくれた。
クリックするとポップアップします。

大石さんは帰りに立ち寄った大宮駅の喫茶店でも興奮さめやらぬ様子で、「まさかあそこまでやるとは…」と何度も何度もその感動を噛み締めておられました。向谷さんも「大石さんに評価されればお墨付きを得たようなもの、なにより励みです」と実に嬉しそうな一日でした。
それでは「大石機関士」の乗務の様子を動画でご覧いただきましょう。

ooishisan16n.jpg
上の画像をクリックすると動画(約5分)の再生が始まります。
※音声付きですので、クリックする前に周囲の環境にご配慮ください。なお、Macでは再生できない場合があります。

※明日より日本鉄道保存協会の年次総会出席のため、お楽しみいただいている「編集長敬白」は2日間お休みとさせていただきます。あしからずご了承ください。