鉄道ホビダス

2007年10月26日アーカイブ

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▲11月からは札幌での試験が予定される「Hi-tram」(ハイ!トラム)。この愛称は架線とバッテリーのHybrid走行による架線区間と無架線区間、軌道線と鉄道線といった相互直通運用(Interoperable)を行うトラム、の頭文字をとり、あわせて高い加減速度による元気な走行を期して命名されたもの。ちなみに形式名の「2」は元豊橋鉄道3300形の実験車に続く2番目という意味である。'07.10.25 鉄道総研 P:RM(高橋一嘉)
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鉄道総合技術研究所(鉄道総研)が開発した新しい架線・バッテリーハイブリッドLRV「Hi-tram」(形式LH02)が完成、昨日報道公開されました。これまでにも鉄道総研では元豊橋鉄道モ3300形を使用してリチウムイオン二次電池搭載による架線レス車輌やハイブリッド車輌の開発を続けてきましたが、今回は鉄道車輌のハイブリッド化を進めるにあたり実用化に必要な各種技術を開発するため、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの委託を受けて新造車輌が製作されました。

souken12n.jpg改めて架線・バッテリーハイブリッド車輌について紹介すると、従来のようなパンタグラフを介した架線集電による走行と、自車搭載のリチウムイオン二次電池によるバッテリー走行の双方を可能とした電車です。つまり、充電さえできれば架線がなくても走行可能というわけで、例えば従来の電化区間から延長する形で新線を建設する場合は、電化区間でパンタグラフから充電、新線区間ではバッテリー走行ということが可能になります。また、完全な新線建設の場合なら、必要に応じて停留場などに急速充電用の設備を設置すれば、そこに停車中にパンタグラフから充電、走行中はやはりパンタグラフを下げてバッテリー走行ということも可能になります。これにより新線建設に際しての架線設備の設置が不要になり、都市景観の向上にも寄与できるというわけです。もちろん、制動時の回生電力はバッテリーに充電され、再利用されるのも大きな特徴で、回生ブレーキに不向きな列車密度の小さい線区にも有効です。
▲運転室背後に設置されたリチウムイオン二次電池(カバーを外した状態)。運転席直後に縦長に見えるのも同じくバッテリーである。'07.10.25 鉄道総研 P:RM(高橋一嘉)
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▲ロングシートが配置された超低床構造の客室部分。先代の実験車のような客室部分への制御器やバッテリーなどの設置はなくなり、客室を見る限りは営業車とほとんど相違ない。窓上に見えるのはバッテリーやパンタグラフの状況を表示するディスプレイ。'07.10.25 鉄道総研 P:RM(高橋一嘉)
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今回新造されたLH02はLRVながら鉄道線への直通運転も想定して開発されたもので、架線電圧は直流1500Vおよび600Vの複電圧仕様、最高速度は70km/hとなっています。製造は東急車輛・アルナ車両で、車体は客室部分を超低床構造とした伊予鉄道2100形に近いレイアウトのボギー車となっています。車内は実験車輌ながら客室部分は完全に確保されており、リチウムイオン二次電池は運転席前方および背後床面にコンパクトに搭載されました。客室窓上にはバッテリーなどの状況やGPS情報を表示するディスプレイが設置されているものの、それ以外は営業車とほとんど変わらない仕上がりとなっており、降車知らせボタンまで設置されています。

souken13n.jpg注目されるバッテリー走行ですが、鉄道総研内での実験では1回の充電で30km程度の走行が可能で、回生電力は加速時に使用した電力の70%程度が制動時にバッテリーに回収されているとのことです。また、急速充電中はバッテリーの温度が上昇しますが、これが65℃を超えないようにするためセルの配置や冷却方法などが検討された結果、直流1500Vの剛体架線から1000アンペア-40秒以上および500アンペア-3分以上の充電でも所定の範囲内に抑えられているとのことです。
▲運転席前方窓下、黒い部分もリチウムイオン二次電池の列。'07.10.25 鉄道総研 P:RM(高橋一嘉)
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▲総研内の実験線をバッテリー走行中のLH02。走行中にパンタグラフ集電とバッテリー走行を切り替え、パンタグラフを昇降することも可能である(昇降時はもちろんバッテリー走行)。ちなみに台車はカバーで隠れて見えないが、住友金属製のコイルばね台車で、形式はFS601である。'07.10.25 鉄道総研 P:RM(高橋一嘉)
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▲車内に貼られた東急車輛とアルナ車両の銘板(左)。右は車体裾部にペイントされた検査標記。'07.10.25 鉄道総研 P:RM(高橋一嘉)
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■LH02形主要諸元表
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さらに注目されるのは、このLH02が実際に営業路線を借りての試験運転に供されることです。場所は札幌市電で、期間は11月から来年3月まで。札幌では主に省エネ効果(従来車輌との消費電力の比較)や、冬季の機器・バッテリーの耐久性が試験されるとのことで、残念ながら営業運転は行わないとのことですが、冬の札幌の街を行くLRVはファンのみならず多くの市民の注目の的となることでしょう。

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▲急速充電するLH02をアニメーションでご覧あれ。ちょっと判りにくいが、急速充電の設備はパンタグラフ1個分程度の短い剛体架線。車内のモニターで見ていると、あっという間にバッテリーが充電されていく。なお、札幌には急速充電の設備は設置されず、1時間程度かけて充電が行われる予定。'07.10.25 鉄道総研 P:RM(高橋一嘉)

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