鉄道ホビダス

魚梁瀬森林鉄道の保存機たち。(下)

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▲酒井工作所製のメーカー形式C‐16形3.5t機は今もってガソリンエンジンを搭載する「ガソリン機関車」だ。1998(平成10)年に馬路村に引き取られて以来、最近まで安田川沿いの軌道跡に保存展示されていたが、風雨で傷んできたため現在は魚梁瀬の庫内で保存されている。'07.7.20
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魚梁瀬には野村組工作所製DLのほかにも酒井工作所製3.5tガソリン機関車、それにこれまた珍しい岩手富士産業製“特殊軽量機関車”が動態保存されています。野村に引き続いて今日は残りの2輌をご紹介してみましょう。

c16n3.jpgまずは酒井工作所製の3.5t機です。こちらは東京営林局の水窪営林署(静岡県)で使用されていたもので、水窪森林鉄道廃止後は天竜林業高校の校庭で保存されていました。「けいてつ協会」の仲介でこの馬路村入りしたのが1998(平成10)年。最近まで安田川沿いの軌道跡に、さながら現役の列車のようにも木材を載せた運材台車を牽いた姿で展示されていましたが、露天のため傷んできてしまい、現在は魚梁瀬に戻されています。この機関車、酒井工作所の納入台帳によると1959(昭和34)年7月に東京営林局に納入されたC‐16形製番6099で、新製時の搭載エンジンはTH4、もちろんガソリンエンジンです。今回は清岡さん自らがエンジンを掛けて庫外に引き出してくれましたが、久しぶりに耳にする“ガソリン機関車”のエンジン音はちょっと感動ものでした。
▲酒井のキャブ内。A型と呼ばれる鋳鉄台枠タイプと比べて板台枠のC型の運転室は意外なほどルーミーだ。'07.7.20
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▲一見モーターカーのような「特殊軽量機関車」。自重1.9tと恐ろしく軽量で、なおかつ本線と接続していない上部軌道にも人力で担ぎ上げられるように容易く分解できるのも特徴。'07.7.20
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iwafuji103n.jpgそしてもう1輌、これまた極めて珍しい保存機が岩手富士産業製の「特殊軽量機関車」です。特殊軽量機関車とは、本線と接続していない山の上の伐採地に敷設された作業軌道での使用を前提とした機関車で、何が“特殊”かというと、人力で背負って担ぎ上げられるように、エンジン以外すべてのパーツが50kg以内に分解できる構造になっている点です。しかも最低限の工具と多少の技術さえあれば再び組み立てて“機関車”として運行できるように設計されています(『木曽谷の森林鉄道』参照)。この岩手富士産業と協三工業の2社がこのような特殊軽量機関車を製造し、各地の森林鉄道に納入してきました。ちなみにこの個体は鳥取営林署で使用されていたもので、荒廃しきった廃車体を引き取ってここまでレスレーションした熱意と技術には改めて頭が下がる思いです。
▲特殊軽量機関車はこう見えても「両運」構造。クラッチはスクーターのような自動遠心クラッチが用いられていた。'07.7.20
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▲魚梁瀬の木造庫横で待機する特殊軽量機関車。こうやって見ると何とも和める表情をしている。レストアは高知の機械メーカー㈱垣内が心血を注いで行ったという。'07.7.20
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これら3輌の動態保存機と、新製された「谷村式」レプリカの合計4輌によって運営される魚梁瀬地区の保存運転ですが、「魚梁瀬森林鉄道跡をゆく」の最終回でもご紹介したように、今後、かつての沿線町村が一丸となって取り組んでゆこうとしている産業遺産としての顕彰の取り組みのなかで、より一層その存在が光り輝いてくるに違いありません。いつの日か、あの“赤鉄橋”を野村の機関車が再び渡る日を夢見つつ、お世話になった馬路村をあとにしたのでした。

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