鉄道ホビダス

2007年7月16日アーカイブ

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▲パビリオン15から空車を引き出すAEG製1号機。限られた時間内に全棟を回るには、線形を考慮した“配膳順”が極めて重要。'03.9.29
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現地の状況がまったくわからずに訪れた初日は、その敷地のあまりの広さに呆気にとられ、ようやく発見したお目当ての列車は想像をはるかに超えるスピードであっという間に消えていってしまうといった有様で、まさに垣間見た程度の知見しか得られませんでした。

lainz22n.jpgそれでも構内の最奥にある機関庫兼運転事務室を訪ね、何とか運転時間を聞き出すことに成功しました。なにしろ英語がまったく通じないだけに、あらかじめノートに“Fruhstuck”(朝食)、“Mittagessen”(昼食)、“Abendessen”(夕食)と3食分のドイツ語を書き記しておき、身ぶり手ぶりで聞き出そうというのです。幸い運行主任らしき年配の人はこちらの意図をわかってくれたようで、それぞれ6:00、10:40、15:10と「出区」時間を書き記してくれました。
▲清々しい朝日に照らされてパビリオン7を取り巻くように巡る500mmの軌道。'03.9.27
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▲広大な敷地内は驚くほど緑が多い。教会前の公園(右)をはじめ、いたるところに花壇もあり、うらやましいほどの環境の良さだ。'03.9.29
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lainz32n.jpgこうなればしめたもの…とばかり翌朝は余裕綽々で撮影に臨んだのですが、そう容易いものではありませんでした。と言うのも、まるでコマネズミのごとくちょこまかと走り回る「据え膳」列車が、網の目のように敷き巡らされた軌道のどこへ行ってしまうかがわからないのです。気の毒に思ったのか、運転士さんはキャブの中から次に行く方向を指差してくれはしますが、とにかく想像以上のスピードだけにまともに追いかけることは困難です。見失ったかと思うと、予想もしなかった方向から単機で厨房棟に戻ってきて、食事を満載したコンテナを連結するや、あっという間に今度は逆方向へ出ていってしまう…まるでモグラ叩きのような状況です。
▲敷地の最奥に軌道の運転を司る事務所と機関庫がある。画面左側の平屋が運転事務室。'03.9.27
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▲パビリオン7から厨房棟方向をのぞむ。敷地の背後には広大なウィーンの森が控えている。'03.9.27

これではいつまで経ってもまともに撮影することはできません。そこでふと気づいたのが“配膳順”です。2657人分もの食事を14棟のパビリオンに届けるには必ず決まった順番があるはずです。それを知るにはまず構内の見取り図と線路配置が必要と、2日目は何時間かを費やして全構内を見て回って平面図をメモすることにしました。

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▲構内をつぶさに見て回って書き写した配線図。厨房棟と各パビリオンの位置関係、それに線路配置がわからないことには“追っかけ”がきかない。ちなみに3日目にしてようやくわかった“配膳順”は、パビリオン4→1→5→7→6→8→10→14→13→9→12→16→15→11の順。

3日目の朝、書き写したノートを持って再び運転事務室へ。何か忘れ物でもしたのか…と怪訝な面持ちの主任は、差し出されたノートを見て驚いた様子で矢継ぎ早に話し掛けてきますが、残念ながら何を言っているのかはさっぱりわかりません。こちらが例によって身ぶり手ぶりで“配膳順”が知りたい旨を伝えると、ありがたいことに差し出したペンでさらさらとパビリオン番号を列記してくれました。これさえわかれば完璧です。パビリオン間の通路を抜ければ、どんどん列車の先回りをすることが可能です。かくして、ようやく「給食列車」をじっくりと撮影できる環境が整ったのです。

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