鉄道ホビダス

2007年7月 1日アーカイブ

DB10の制動装置。

db10nn11.jpg
学生時代に貨車移動機の歴史を調べていた際、DB10形の写真を見ながらふと奇妙なことに気づきました。制動装置がないのです。もちろんブレーキが装備されていないわけがないのですが、少なくとも外見から判断するに、通常の制輪子を用いた踏面ブレーキは見当たらず、いったいどうなっているのだろうと、それ以来気にかかってなりませんでした。
▲国鉄工作局発行『車両の80年』に見るDB10。「昭和7年(1932年)貨車の手押(人力)入換代用として川崎、日本、日立の各車両会社で製作されたB形の小型ディーゼル機関車である。機関は池貝及神戸製鋼製4気筒50馬力で4段変速歯車式伝導装置を採っており、牽出時206t、20km/h、時勾配10%で33t(※ママ)の牽引力を有するから、貨車の入換としては十分であろう。車体長6m、巾2.6m、重量10.5t。両数8両」と解説されている。

db10n1n.jpgそんな疑問が氷解したのが『森製作所の機関車たち』の下調べをしていた際に見つけた『The Locomotive Engineering』誌の記事でした。DB10の誕生直後、1932(昭和7)年に書かれた「DB10形式ヂーゼル機関車の構造及作用」と題するこの解説は、残された資料が極めて少ないDB10形の実際をこと細かに伝えてくれるたいへん貴重な文献で、当然ながら長年の疑問であった制動装置に関しても構造図入りで紹介してくれています。結果は、想像通りのいわばドラムブレーキでした。以下、その構造を解説を引用しながらご覧に入れましょう。
▲DB10のディメンション。8輌のうち池貝鉄工所製の4HSD12形機関を搭載したものが7輌、神戸製鋼所製の4Z12形機関を搭載したものが1輌であった。(『The Locomotive Engineering』1932年6月号より)
クリックするとポップアップします。

db103nn.jpg
▲これが問題の制動装置。逆転機から後軸のドライブスプロケットへの伝動はシングルチェーンであることもわかる。(『The Locomotive Engineering』1932年6月号より)

「制動機は従来のものと異なり車輪を制動せず、歯車装置の中間軸の右側にドラムを固定し、このドラムの両側に制動裏張を有する制輪子を圧し、制動の目的を達する」と前置きされて掲げられた図でその作用を見てみると、運転席の制動テコを引くことによってまず制動引棒①が引かれ、制動テコ②および引棒⑤によって制輪子釣③⑥に取り付けられた制輪子④⑦が回転するドラム⑧を制動するわけです。なお、制輪子釣受⑨は台枠に取り付けられています。

db10n4n.jpgこの「DB10形式ヂーゼル機関車の構造及作用」によれば、「制動率は約50%であるが、同じ制動率でも従来のものに比すればその制動能力は遙に高い」と評価していますが、頻繁に制動をかける入換機という前提を考えると、果たしてその実態はどうだったのでしょうか。ちなみに川崎車輌はこのDB10に酷似したガソリン機関車(10t/BUDA BTU形50Hp搭載)を翌1933(昭和8)年1月に設計していますが、こちらも同様のドラムブレーキを採用する予定となっていました。
▲運転室機器配置。図番の③が制動テコ。ちなみに①が変速テコ、②が逆転レバー、④がクラッチペダル、⑤が砂撒ペダル、⑥がスロットルレバー、⑦が燃料噴射時期調整レバー、などである。(『The Locomotive Engineering』1932年6月号より)
クリックするとポップアップします。

レイル・マガジン

最近の記事

2007年7月   

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
「編集長敬白」が携帯電話でもご覧になれます。下記アドレスもしくはQRコードを読み取ってアクセスしてください。
http://rail.hobidas.com/blog/
natori/m/

ホビダス・マーケット新着MORE

  • 俺がイル
ネコ・パブリッシングCopyright © 2005-2018 NEKO PUBLISHING CO.,LTD. All right reserved.