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レイル・マガジン編集長自らが作る編集日記。

2007年6月12日

「アジア鉄道首脳者会議」(ARC)のパンフレット。(上)

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▲「はつかり」での営業開始を前にARC招待客専用列車として東京駅?国立?鉄道技研専用線と運転されたキハ81系。'60.10.13 鉄道技術研究所 P:三谷烈弌

今日は手元にあるA4判のパンフレットをご紹介してみましょう。「RAILWAY EXHIBITION 1960」と題された40ページのこのパンフレットは、1960(昭和35)年10月14日から20日にかけて東京国立の鉄道技術研究所を舞台に行われた第2回アジア鉄道首脳者会議 (ARC = Asian Railways Conference) の海外来賓向けに作られた英文のものです。

arc3nn.jpgARCと略称されるアジア鉄道首脳者会議は、当時まさに破竹の勢いで技術力・生産力を伸ばしつつあった日本の鉄道産業をアジア各国の鉄道首脳を集めて知ってもらい、ひいては鉄道車輌・部品の輸出促進を図ろうと計画されたものです。十河信二国鉄総裁の肝いりで第1回が開催されたのが1958(昭和33)年。この時は国鉄大井工場を会場にさまざまな実物車輌展示が行われ、わが国の鉄道技術を広くアピールするものとなりました。もちろん趣味的にも101系量産車やクモヤ93000、DF41などが初お目見えし、大きな話題となったと聞きます。この時の展示車輌の様子は三谷烈弌さんのRMライブラリーNo.50『昭和の記憶』でも伺い知ることができますが、よくぞこれだけの試作車・試験車を集めたものと今さらながら驚きを禁じえません。
▲巻頭には島 秀雄国鉄技師長による「In Opening the Railway Exhibition 1960」(鉄道博1960開催にあたって)が掲げられている。
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▲『Railway Exhibition 1960』の表紙(左)と裏表紙(右)。表紙は川越線でのキハ81系試運転の状況がカラーで収録されている。それにしても全編を通してのデザインセンスの良さは特筆される。
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arc5nn.jpg第1回の成功を受けて第2回目の「アジア鉄道首脳者会議」が開催されたのは1960(昭和35)年10月のことです。第2回は会場を東京・国立の鉄道技術研究所に移し、屋外の実物展示車輌も70輌あまり(第1回は35輌)と飛躍的に規模の大きなものとなりました。そしてその展示車輌のなかでもひときわ注目されたのがデビュー前のキハ81系でした。一説にはこの第2回ARCに間に合わせるために開発を急いだとも伝えられる国鉄初のディーゼル特急車は、会場展示のみならず、招待客輸送特別列車として東京駅から鉄道技研専用線まで実際に運転され、電化率が決して高くはないアジア諸国の鉄道首脳者に大きなアピールをしたと伝えられます。
▲館内展示案内の1ページ。まだ東海道新幹線は開発途上で、新東海道本線の“multiple-unit electric train”として完成予想図が紹介されている。項目2に掲げられた4M6T30輌編成の新幹線貨物電車にもご注目。
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ところでこのA4判パンフレットですが、英文ということを差し引いてもそのエディトリアル・デザインの秀逸さに驚かされます。かつてこのブログでも、かの日本工房が一時期国鉄パンフレットの制作に関わっていたことはご紹介しましたが、時期的に日本工房の仕事ではないものの、このARCパンフレットもその辺の流れをくむと思われます。中綴じの中央部に浜名湖をゆく「こだま」を大胆な見開きで挿入したり、巻頭に別紙の画用紙で日本画調の水彩画を配したり、まさに贅を尽くした体裁は、一方ではまだまだ勢いのあった国鉄を象徴していたとも言えましょう。

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▲色上質紙に刷られた別紙の会場案内図。1号館には東海道新幹線の模型・図面展示とある。
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