鉄道ホビダス

一勝地駅にて。

issyouji2n.jpg
先般の肥薩線視察の際、球磨村産業振興課のご案内で一勝地(いっしょうち)駅を訪ねる機会を得ました。一勝地駅は人吉から八代方に4つ目の、いわゆる“川線”側の駅です。
▲本屋改札部から八代方をのぞむ。島式ホームの本屋方1線は撤去(もう1本は交換用に使用)されており、この位置から見るとやけに構内が広々と見える。'07.3.8 一勝地

issyouji3n.jpg1908(明治41)年の開駅以来の木造駅舎が今でも現役で使われており、特筆すべきはその状態の良さです。ご多分に漏れず国鉄末期に無人化され、一時は荒廃しかけていたとのことですが、その後地元農協のJA球磨が駅舎内に支所を設け、駅務委託を請け負って観光案内所の役割も担うようになり、今では素晴らしく綺麗に整備されています。
▲本屋正面。ちょうど人吉球磨地方で盛んなひな祭りシーズンとあって、かつての駅務室内では観光協会によるひな祭り展示が行われていた。'07.3.8 一勝地

issouji4n.jpgissyouji7n.jpg
せっかく歴史的建造物としての駅舎が残っていても、無人化されてしまうと急速に荒廃が進み、訪れる者にとっても決して良い印象がなく、ひいてはその地域自体の負のイメージを植え付けかねません。それだけに球磨村は村内にある肥薩線8駅の整備に積極的に取り組んでおり、訪問時には隣の球泉洞駅でもリニューアル工事がたけなわでした。
▲木造の本屋をとりまく回廊状の軒が残っている(右)。木製の柵も今となっては貴重。'07.3.8 一勝地

issyouji6n.jpgところでこの一勝地地区はブランドとなっている「一勝地梨」をはじめ、苺などフルーツの産地としても知られ、また棚田の景観も見事です。それだけに球磨村としては肥薩線100周年をひとつの契機として一勝地駅への旅客誘致を図りたいところでしょうが、期せずして近年この「一勝地」という駅名そのものが脚光を浴びつつあります。“一勝”するという語呂合わせから、受験生やスポーツ選手に必勝祈願のお守りとして入場券が売れはじめているのです。村ではJRと共同でお守り風の特製入場券を製作、JA一勝地駅支所で販売しています。
▲待合室内には使い込まれた腰掛が…。ともすると荒れ果ててしまいがちな待合室内も、委託を受けたJAの管理で清清しく保たれている。'07.3.8 一勝地

issyouji1n.jpg
わずかな時間の訪問でしたが、来年で築100年を迎えようという木造駅舎が、こういった地元の地道な取り組みによって残ってゆくのは嬉しい限りです。最近、同じ肥薩線の鹿児島県側の大隅横川駅は国の登録有形文化財に指定されており、肥薩線沿線では歴史的建造物に対する見直しの気運がいっそう盛り上がってきているようです。
▲一勝地に到着した人吉行1231D。ホームは気動車に合わせて本屋付近のみ嵩上げされているのがわかる。2年後にはこのシチュエーションの中で58654の姿を見ることができるはず。'07.3.8 一勝地

レイル・マガジン

2007年4月   

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          
「編集長敬白」が携帯電話でもご覧になれます。下記アドレスもしくはQRコードを読み取ってアクセスしてください。
http://rail.hobidas.com/blog/
natori/m/

ネコ・パブリッシングCopyright © 2005-2016 NEKO PUBLISHING CO.,LTD. All right reserved.