鉄道ホビダス

「北海道の鉄道と連絡船を保存するシンポジウム」から。

kushiroeki1n.jpg
北海道内で鉄道や連絡船の保存活動または現在運行をしている鉄道の支援活動を展開している団体が一同に集まり情報交換を行なおうと、去る1月20日(土曜日)に釧路で開催された「北海道の鉄道と連絡船を保存するシンポジウム」の模様を改めてお伝えいたしましょう。
▲巨大な雪ダルマが迎えてくれるJR釧路駅。晴れ渡り例年になく暖かいとはいうものの、日中でも気温は零下だ。'07.1.20

kushiroeki4n.jpg2003(平成15)年7月の設立以後、地元釧路で精力的に活動を続けている「釧路臨港鉄道の会」の呼びかけでスタートしたこのシンポジウム実施計画、最終的には「北海道の鉄道と連絡船を保存するシンポジウム実行委員会」を主催団体として立ち上げ、JR北海道、太平洋石炭販売輸送が協力、北海道釧路支庁、釧路市、NHK釧路放送局、朝日新聞社釧路支局、読売新聞釧路支局、毎日新聞報道部釧路、北海道新聞社釧路支社、釧路新聞社、FMくしろが後援と、文字どおり地域をあげてのシンポジウムとなりました。
▲朝の釧路駅を発車してゆく釧網本線網走行き3238D快速「しれとこ」。'07.1.21

kushiroeki2n.jpg
参加団体はJR北海道、三菱大夕張鉄道保存会、NPO法人語りつぐ青函連絡船の会、札幌LRTの会、NPO法人ひがし大雪アーチ橋友の会、小樽交通記念館ボランティアおそうじ会、釧路臨港鉄道の会の7団体。オブザーバーとして日本鉄道保存協会(RPSJ)から2名の顧問(私と米山淳一顧問)が参加いたしました。
▲川湯温泉からの一番列車4723Dが釧路駅に到着する。釧路の市街地も近年では残念ながら駅ではなく国道を核として発展してしまっている。'07.1.21

kushiroeki3n.jpgシンポジウムは釧路市立博物館の石川孝織さんの司会で始まりましたが、開会の挨拶にたった釧路臨港鉄道の会代表の星 匠さんから思いもかけぬ呼びかけがありました。釧路臨港鉄道の会の皆さんがひとかたならぬお世話になり、太平洋石炭販売輸送を訪ねる多くのファンに親しまれた春採駅の黒木和海駅長(55歳)がつい先日、1月8日に職場で倒れられ亡くなられたというのです。このシンポジウムも楽しみにされていた由。まずは参加者全員が起立しての黙祷が行われました。
▲夜の釧路駅ホームで見かけたC11 171のイルミネーション。こうしたささやかなホスピタリティーがリピーターを生む。'07.1.20

私の基調講演「日本の鉄道保存活動の現状と問題点 ~2006年の話題から~」に続いて各団体からの活動報告が行われました。JR北海道は改めてご紹介するまでもないでしょうから割愛させていただきますが、「SL冬の湿原号」の体験乗車など、今回のシンポジウムを多方面からバックアップしていただきました。では発表順に各団体を簡単にご紹介してみましょう。

kushiroeki5n.jpg
▲釧路東急インのバンケットルームで行われたシンポジウムはほぼ満席の賑わい。熱のこもった参加団体の事例報告が続く。'07.1.20

NPO法人語りつぐ青函連絡船の会:函館港に係留・保存されている青函連絡船「摩周丸」を産業遺産として再評価し、青函連絡船の歴史・文化を後世に伝える活動を行うべく1999(平成11)年9月に結成され、2002(平成14)年3月にNPO(特定非営利活動法人)化。函館ほか各地で「写真展」「産業遺産セミナー」等を開催。2003(平成15)年7月より函館駅2階で「船と鉄道の図書館・いるか文庫」を運営している(下記画像参照)。
札幌LRTの会:1996(平成8)年に設立された市民団体で、札幌市電の将来的な有効活用を唱えて活動を行っている。2003(平成15)年には札幌市による都市の交通・連続フォーラムに「市電とLRT」のテーマで参加、昨年はパネル展「札幌の路面電車・想い出と未来を乗せて」も開催。
三菱大夕張鉄道保存会:1999(平成11)年に発足。旧南大夕張駅跡に残された三菱大夕張鉄道の車輌の保存を夕張市に求めるとともに修復活動を開始し、以後積極的な活動およびアピールを行っている。南大夕張の保存車輌を含む空知管内の炭鉱遺産は2001(平成13)年に「北海道遺産」に認定されている。
NPO法人ひがし大雪アーチ橋友の会:旧国鉄士幌線跡地及びその周辺地域に残存するコンクリートアーチ橋梁群、線路跡その他の近代化遺産の保存・利用・活用に取り組んでいるNPO法人。昨年はその地域活性化に対する貢献が認められ「北海道新聞北のみらい奨励賞」を受賞(下記画像参照)。
・小樽交通記念館ボランティアおそうじ会:現在休館中の小樽交通記念館で車輌整備などに取り組んでいるボランティア団体。小樽市は交通記念館を含む総合的な市立博物館再建を計画しているが、保存車輌や貴重な収蔵資料の行く末が案じられている。
・釧路臨港鉄道の会:2003(平成15)年7月に設立。太平洋石炭販売輸送(旧釧路臨港鉄道)を愛するメンバーにより、国内で最後に残されたコールトレインを暖かく見守り地域の活性化にもつなげようと活動を続けている。2005(平成17)年には同鉄道の80周年記念列車を企画するとともに、DVDも制作。ほかにもJR東海の須田 寛・元会長を招いての講演会なども実施している。

meganebashi002n.jpgirukabunko003n.jpg
▲NPO法人「ひがし大雪アーチ橋友の会」発行の「めがね橋だより」(左)と同じくNPO法人「語り継ぐ青函連絡船の会」会報(右)。
クリックするとポップアップします。

財政再建団体に転落した夕張市で活動を続ける三菱大夕張鉄道保存会はもとより、先行きが不透明な小樽交通記念館など、今回参加した道内の団体は少なからず“苦悩”を抱えています。それでも、これだけの人々が釧路の地に集まり、苦労を語り、夢を語れたのは計り知れないほど大きな第一歩だったといえましょう。シンポジウムを終えて、NPO法人ひがし大雪アーチ橋友の会の那須襄太郎会長が語っておられた「昔の地域振興は素材が7で取り組み方が3だったが、今は素材が3で取り組み方が7」という言葉が強く印象に残っています。懇親会で実行委員会の星代表が第2回はぜひ釧路以外で…と呼びかけておられましたが、この「北海道の鉄道と連絡船を保存するシンポジウム」、必ずや大きなウェーブとなってゆくに違いありません。

2007年1月   

  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31