鉄道ホビダス

小坂に残る雨宮たち。

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昨秋の連載「北東北を巡る」のなかでは触れませんでしたが、道中、小坂にも足をのばしてみました。当然ながら休日とあって小坂精錬小坂鉄道の貨物列車はお休みですが、終点・小坂の町立総合博物館に保存されている2フィート6インチ時代の車輌たちを訪ねてみようというわけです。
▲木製のラッチの向こうにたたずむ雨宮の11号機。こうして当時のストラクチャーとともに保存展示されていると、往年の情景が目に浮かぶようだ。'06.11.23

kosaka2n.jpg19世紀から銀山・銅山として知られた小坂鉱山は、1908(明治41)年にははやくも2フィート6インチ軌間の専用鉄道を敷設しており、考えてみると来年でちょうど鉄道開設以来百年を迎えることになります。1962(昭和37)年に3フィート6インチ軌間に改軌され今日にいたっているわけですが、ナロー時代はボールドウィン製のサイドタンク機やロッキーナローを彷彿させるオープンデッキの客車群など、ほかのいわゆる“味噌汁軽便”とは一線を画す独特の雰囲気のナローとして多くのファンに愛されていました。さすがに大鉱山の専用鉄道的色合いの濃い線だけに設備投資も半端ではなく、はやくも1959(昭和34)年にはDLの増備によって無煙化を達成、最後に残された雨宮製の11号機を予備機として残すのみとなってしまいますが、その後の改軌時にもこの11号機は解体されることなく、残された貴賓客車とともに保存される幸運を掴みます。
▲旅客営業廃止から12年を経ても当時の姿のままで残る小坂駅駅舎。'06.11.23

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▲小坂町立総合博物館の中庭に移設保存されている旧小坂駅駅舎。室内も極めて状態良く保存されている。'06.11.23

小坂町立総合博物館「郷土館」に現在保存されているナロー時代の車輌は秋田県指定有形文化財となっているこの11号機と貴賓客車ハ1の2輌ですが、屋外展示場には旧小坂駅駅舎をはじめ、木造の発電所棟、水道共用栓など、ナロー時代を語り継ぐ大小さまざまな近代化遺産が展示保存されています。冒頭の写真のように旧駅舎の軒をかすめて眺める雨宮編成はなかなかの雰囲気で、同じ保存でも時代性を考慮した周辺の整備がいかに重要かを再認識させてくれます。

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▲1926(大正15)年製の雨宮11号機はDL化後も1962(昭和37)年の改軌時まで予備機として残った最後の蒸機であった。'06.11.23

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▲ホイールベース2464㎜のC型ながら主動輪はフランジレス(左)。運転席は右側で、レギュレータ・ハンドルは火室の直上から生えている(右)。'06.11.23

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▲11号蒸機に連結されて保存されているのは1916(大正5)年日本車輌製のハ1。1921(大正10)年に室内が改造され、以後1962(昭和37)年まで貴賓車として使用されたという。'06.11.23

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▲室内は貴賓室と一般室に仕切られている。写真左は貴賓室側。右は車体側面に付く立派な社紋。'06.11.23

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▲オープンデッキの鴨居部にも凝った装飾が施されている(左)。台車はホイールベース1270㎜の典型的アーチバートラック。'06.11.23

kosakakyoudokanfig.jpgこの「郷土館」にはナローのほかにも、旅客営業最後の1994(平成6)年まで活躍したキハ2101や保線用のモーターカー、さらには鉱山軌道用のバケットローダーなども保存されており興味はつきません。また、郷土館研究報告として定期的に発行されている冊子『郷土研究』には小坂鉄道に関する地元ならではの研究発表も見受けられ、これも他の保存施設ではあまり例をみない特筆される点です。
▲小坂町立総合博物館「郷土館」案内図。
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残り少なくなってしまった私鉄のディーゼル機関車牽引の貨物列車が現役とあって、小坂鉄道を訪問される方も少なくないかと思いますが、撮影の合間にこの「郷土館」に立ち寄ってみられることをおすすめしたいと思います。
■小坂町立総合博物館郷土館
・開館:9時~17時(入館は16時30分まで。12月27日~1月3日休館)
・観覧料:一般・大学生・高校生=270円、中学生以下は無料

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