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レイル・マガジン編集長自らが作る編集日記。

2006年12月 1日

小宅さんの新作『常磐地方の鉱山鉄道』。

IMGP0699n.jpgいわき市の小宅幸一(おやけ こういち)さんから、新刊『常磐地方の鉱山鉄道 ?歴史の鉱石(いし)を運んだ車輪の響き?』(12月21日刊)が送られてきました。小宅さんといえば1987(昭和62)年に『常磐地方の鉄道 ?民営鉄道の盛衰をたどって?』を上梓されて以来、地元・福島県浜通り地方の鉄道に徹底的に拘って研究を続けられている方としてつとに知られていますが、今回の新刊はこれまでのご努力の集大成のような大作です。A4判正寸228ページ(うちカラー2ページ)に凝縮された常磐地方(本書では北は双葉地区=常磐線竜田駅周辺から南は多賀地区=川尻駅周辺まで)の鉱山鉄道の記録は、352点という圧倒的な資料写真の枚数とともに、決定版と呼ぶに相応しいものとなっています。
▲このたび上梓された『常磐地方の鉱山鉄道 ?歴史の鉱石(いし)を運んだ車輪の響き?』表紙。

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本書で圧巻なのは、未発表の写真・図版の数々はもとよりのこと、巻末に添えられた22ページにわたる「主要炭鉱における炭鉱施設配置図」でしょう。「地図は見る人の想像を刺激するだけでなく、現代と比較することにより、鉄道の果たした役割や時代の変遷をみることができるから」(後書きより)と、現況地図の上に重ねられた極めて詳細な線路配線、施設配置図はまさにミクロの世界で、この巻末を見るだけでもその尋常ならざるご努力が伺い知れます。
▲勿来駅に隣接する大日本炭礦専用軌道のヤードにて。手前の機関車は旧鉄道聯隊のK2。(『常磐地方の鉱山鉄道』より)

IMGP0704n.jpg先述のように小宅さんは『常磐地方の鉄道 ?民営鉄道の盛衰をたどって?』(1987年)以後、いわき小名浜地区を中心とする鉄道を『小名浜・鉄道往来記』(1994年)に、いわき市南部の炭礦鉄道の消長を『黒ダイヤの記憶 ?常磐炭田石城南部地区の炭鉱?』(1997年)にと、3冊を自費出版としておまとめになり、まとまった著作としては今回が4作目となります。私も最初の『常磐地方の鉄道 ?民営鉄道の盛衰をたどって?』の際から資料や写真の提供など微力ながらお手伝いをしてまいりましたが、3冊目の『黒ダイヤの記憶』以後、かれこれ十年近くも“新刊”の声を聞いていなかっただけに、突然送られてきた『常磐地方の鉱山鉄道』は大きな驚きであり、また喜びでもありました。
▲圧倒的な細密さで再現された炭礦施設配置図。これをもって常磐地方の鉱山鉄道の路線網はほぼ解明されたといっても過言ではなかろう。(『常磐地方の鉱山鉄道』より)

IMGP0696n.jpg小宅さんは1951(昭和26)年のお生まれ。地元市役所勤務の傍ら地道な研究を続けられておられます。それにしても、既刊『黒ダイヤの記憶』の後書きで「筆者は炭鉱とは縁がない。石炭産業が隆盛を極めた頃、子供の筆者は炭鉱のあった時代の最後の何年かを、記憶の奥でかすかに見たような気がしているだけだ。」と書かれておりますが、それではいったい何がこれほどの情熱を傾けさせているのでしょうか。やはり同書後書きのなかで「筆者はできるだけ多くの先人に会ったつもりだった。しかし、取材の間に双方が思ったのは、“あの時代が見えなくなってしまったこと”への苛立ちと諦めであったかもしれない。」とも記されておられます。少なからず同じような経験を経てきている私にとって、この言葉は実に重みがあり、ひとり頷くことしきりでした。そう、小宅さんを突き動かしているのは、時代を記録しておかねばならないという焦燥感にほかならないのかもしれません。
▲3作目の『黒ダイヤの記憶 ?常磐炭田石城南部地区の炭鉱?』(1997年)

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▲『小名浜・鉄道往来記』(1994年)と処女作の『常磐地方の鉄道 ?民営鉄道の盛衰をたどって?』(1987年)。

さて、この小宅さんの新刊『常磐地方の鉱山鉄道 ?歴史の鉱石(いし)を運んだ車輪の響き?』(3,500円・税込み)ですが、東京では書泉グランデで取り扱いがあるものの、一般書店には並ばず、購入は下記ご自宅へ直接申し込む形となります。
〒974?8232 福島県いわき市錦町大島81 小宅幸一(おやけ こういち)
(書籍代金3,500円のほかに送料340円が必要。申し込みは送り先を明記のうえ、簡易書留または郵便小為替にて)