鉄道ホビダス

2006年10月30日アーカイブ

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さて開催地団体の上松町ですが、赤沢自然休養林内に軌道を敷設して運行を開始してから、早いもので来年で20周年を向かえようとしています。運行区間は1.1kmと短いものの、現在では年間10万人が赤沢美林を訪問し、そのうち5万5千人余りがこの軌道に体験乗車するそうです。
▲赤沢自然休養林は紅葉真っ盛り。北陸重機工業(HKW)製DLに牽かれて丸山渡を目指す。エキゾーストパイプに取り付けられたマフラー状のものは極限まで浮遊粒子状物質を低減する装置。ちなみに北陸重機も日本鉄道保存協会の賛助会員である。'06.10.20

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ただこの実績をもってしても、保守管理費などもあって軌道自体の直接収支は成り立ってはいないそうです。しかし、今や赤沢森林鉄道は木曽・上松町の“顔”ともなっており、その間接的経済波及効果は計り知れないものがあります。初期の段階から旅行会社と組んだ自然体験「トムソーヤクラブ」で積極的にツアー客誘致を図ってきたプロモーション戦略も、参加したほかの加盟団体にはまたとない参考となったようです。
▲終点・丸山渡でしばし森林浴(左)。日本ならではの鮮やかな紅葉に台湾からのゲストの皆さんも感嘆の声を上げていた。'06.10.20

akazawanhk.jpgそんな順風満帆に見えるこの赤沢森林鉄道ですが、まだまだ悩みは尽きないようです。パネルディスカッションのなかでも産業観光課・商工観光課からさまざまな問題点が提示されました。その最たるものはインフラ(軌道・敷地)が林野庁の所有で、町はそのインフラを借用して列車を運行しているという現在の形態にあります。保線は町の負担で行なっているものの、現在の終点・丸山渡(まるやまど)から先への運行は林野庁が認めず、軌道はすでに敷設されているにも関わらずわずか1.1kmの運行に留まっているのが実情なのだそうです。
▲NHK松本放送局のインタビューを受ける阿里山鉄道の張CEO。一般メディアの注目も予想以上だった。'06.10.20

ogawasenato1.jpgさらに、これは他の保存鉄道でもたびたび問題となる点ですが、この手のいわゆる“遊園地鉄道”の法整備が充分になされていないのも悩みの種のようです。実際この赤沢森林鉄道は、運転開始当時、起点の森林鉄道記念館から終点の丸山渡までの片道乗車をさせ、所管の新潟運輸局から指導を受けてしまった経緯があります。A点からB点への移動によって料金を収受することは運輸行為に当たり、鉄道事業法によらねばなりません。一方、いわゆる“遊園地鉄道”は乗車する行為そのもので料金をとるのが絶対条件のため、A点から乗車したお客さんは必ずA点に戻ってこなければならないのです。これは「お猿の電車」のようにエンドレスであっても、赤沢のようなエンド・トゥ・エンドであっても同様です。このためせっかく森林浴の拠点として終点・丸山渡を整備したにも関わらず、5分ほどの下車で全乗客が再びとって返さねばならず、その辺も今後の課題となっています。
▲上松から赤沢までの道中には旧小川森林鉄道の遺構がそこここに見られる。'06.10.20

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▲赤沢森林鉄道記念館前で参加者全員で記念撮影。ひさしぶりに個人賛助会員の種村直樹さんの姿(前列右から3人目)も。“'06.10.20
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▲もちろん“お宝”ボールドウィンも記念館から外に出てお披露目。サイドロッドを下ろして紅葉をバックに晴れ姿を披露してくれた。'06.10.20

パネルディスカッションの締めくくりとして、顧問の小池 滋先生が「本音の悩みや失敗談を語り合ってこそこの会の意義がある」とおっしゃっておられましたが、まさにその通り、今年の総会は市町村合併による影響から「特定目的鉄道」にいたるまで議論は多岐にわたり、たいへん意義深いものでした。新たに交通文化振興財団を代表幹事団体としたこの日本鉄道保存協会の今後に、改めて期待したいと思います。

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