鉄道ホビダス

2006年10月29日アーカイブ

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いろいろと先行すべき話題が多く、一週間遅れの報告となりますが、今日は10月19日?20日にかけて長野県上松町を会場に行われた日本鉄道保存協会の年次総会の様子をご紹介しましょう。日本鉄道保存協会は歴史的鉄道車輌を動態および静態保存している団体が集い、相互に情報を交換し、将来にわたる保存・活用を推進することを目的に発足した任意団体で、正式にスタートしてから今年で15年目を迎えます。
▲上松町ねざめホテルの会議室で行われた年次総会と講演会にはオブザーバーも含めて70人ほどが詰め掛けた。'06.10.19

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現在、正加盟団体28団体、弊社を含めた賛助団体9団体で構成される日本鉄道保存協会ですが、今回の総会では極めて大きな“動き”がありました。創立以来中心となってきた財団法人日本ナショナルトラストが諸般の事情から代表幹事団体を続けられなくなり、急遽、財団法人交通文化振興財団が代表幹事団体を引き継ぐことになったのです。交通文化振興財団は東京の交通博物館、大阪の交通科学博物館、梅小路蒸気機関車館、それに青梅鉄道公園を運営する由緒ある組織ですから、日本ナショナルトラストからバトンを受け継ぐに相応しいのは論を待ちませんが、トラストトレインはじめ日本の鉄道保存、いや茅葺き民家から鳴き砂まで、わが国の保存活動の文字通り中心となってきた日本ナショナルトラストが弱体化しつつあるのは、総会参加者にとっても大きな衝撃でした。
▲「森林と鉄道」と題した基調講演をされる青木栄一先生(左)。総会・講演の司会進行は私が務めさせていただいた(右)。'06.10.19

さて今回の総会では3団体が新たな加盟団体として承認されました。「三菱大夕張鉄道保存会」と「加悦鐵道保存会」、それに「碓氷峠鉄道文化むら」です。逆に財政難による市の再編計画によって閉鎖中の「小樽交通記念館」の退会が報告されましたが、小樽は昨年の年次総会開催地でもあるだけに、これまた残念でなりません。

arisanchohsan.jpg事業報告、会計報告などののち、開催地団体の取り組みとして木曽・赤沢森林鉄道を擁する上松町の現状が報告され、次いで青木栄一先生による基調講演「森林と鉄道」、ゲストとしてお招きした阿里山鉄道の張社長による特別講演、そして「鉄道遺産の保存と地域活性化」と題するパネルディスカッションに移りました。パネラーは新加盟団体の加悦鐵道保存会の篠崎理事、碓氷峠鉄道文化むらの櫻井理事長、オブザーバー参加の北恵那交通清水社長(もと大井川鐵道専務)、それに開催地・上松町の曽我助役の皆さん。碓氷峠鉄道文化むらの櫻井理事長は、わが国初の「特定目的鉄道」の申請を前提に、10月14日に横川?軽井沢間のモーターカーによる試運転を予定しながらも延期せざるをえなかった経緯を報告、「平成の大合併」が地方市町村にもたらしたさまざまな弊害にまで議論がおよびました。碓氷峠鉄道文化むらのある旧松井田町はこの春に安中市と合併、パネラーの加悦鐵道保存会も現在は与謝野町となっており、加盟団体のなかにも遠軽町となった旧丸瀬布町や、大井川を挟んで対岸の島田市となってしまった大井川鐵道の旧金谷町など、行政区域の拡大にともなう諸々の問題は、鉄道保存にとって新たな悩みの種となりつつあるようです。
▲DVDや各種映像を駆使して「阿里山鉄道について」の特別講演をされる宏都阿里山国際開発張 耀仁社長(CEO)。右は通訳を務められた交通文化振興財団菅理事長(交通博物館館長)。'06.10.19

shinanomainichi.jpgさて、ゲストとしてお招きした台湾・阿里山鉄道の張 耀仁社長(CEO)は、同鉄道の現状と今後の展望を各種ビジュアルを駆使して熱く語られました。台湾の林務局が管理運営している阿里山鉄道は現在たいへんな財政難で、2008年に完全民間移管が決定しています。その受け皿となるのが張社長の「宏都阿里山国際開発」です。同社は嘉義市の大手ゼネコン「宏都建設」の関連会社で、張社長は阿里山鉄道を核とした総合的な地域開発を計画しているのだそうです。徹底したリサーチに基づいた現状分析、シミュレーション、さらには開業100年(2012年)時点での「世界遺産」登録プロジェクトまで、語られるプロセスはまさに「企業戦略」そのもので、一時は廃止も取りざたされた阿里山鉄道は張社長のもとで大きく変貌してゆくに違いありません。
▲翌日の『信濃毎日新聞』は、ご覧のようにカラー紙面で日本鉄道保存協会総会の様子を報じてくれた。
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▲阿里山鉄道再生計画をアピールする宏都阿里山国際開発公司の英文パンフレット類。
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