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古典ガソリン機関車救出作戦!

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▲クレーンで吊り上げられる“渡辺おじさん”。クレーンに備えられたデジタル計量計によれば重量は2.5tほどとかなり軽い。自重もさほどなく、なおかつフリクション・ドライブときているから、たいした牽引力は発揮できなかったはず。'06.9.24

爽やかな秋晴れとなった今日は、朝からある古典ガソリン機関車の救出作戦が行われましたので、さっそくその状況をご覧にいれましょう。

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▲搬出前の状況。実測によるスペックは全長(バンパー間)3160×全幅1230×全高2125㎜。エンジンは米国ライカミング社製の4気筒サイドバルブ式ガソリン機関がのっている。'06.9.24

watanabemeiban.jpgある古典ガソリン機関車とは、『トワイライトゾ~ン・マニュアル5』でご紹介した横浜の建設会社・加藤組さんの「渡邊與助商店」(現在の渡辺機械工業)製GL、通称“渡辺おじさん”です。この機関車、詳しい製造年はわからないものの、1932(昭和7)年頃の金沢八景の埋め立て工事に使用されたと伝えられますから、生まれはそれ以前と推察されます。DB10の製造初年がちょうど1932(昭和7)年ですから、日本製の内燃機関車としては“超”のつく古典機関車ということになります。
▲「東京京橋 株式会社 渡邊與助商店 製造」と漢字の銘が鋳込まれた立派な製造銘板。大事にされていたようで、アクリル板で保護してある。'06.9.24

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▲これが機械式変速以前の超原始的変速装置=フリクション変速機。エンジンの出力軸に直結して回転する巨大なフライホイールに直角にドライブホイールを押し当てる方式。写真右に見られるように、ドライブホイール・シャフトにはスプラインが切ってあり、このホイールを左右に移動させることにより変速・逆転を行う。'06.9.24

その加藤組さんから編集部にお電話をいただいたのは今月初旬のことでした。なんでも、かつて本で紹介していただいた機関車を移転のため手放したいのだが…というではないですか。そこで近年この手の車輌のレスキューに積極的に活動しているけいてつ協会の岡本憲之さんに連絡、とんとん拍子に話が進んで今日の搬出となったものです。なにはともあれ、めったに見られないこの手の機関車の搬出作業の模様をご覧ください。

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▲心配された台風による風もなく、絶好の搬出日和となった。まずはクレーンとトラックが到着。'06.9.24
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▲現場がかなり手狭で、なおかつ電線があるため吊り上げ作業には慎重な準備が行われる。'06.9.24
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▲そろりそろりとクレーンのワイヤーが巻き上げられ、ゆっくりと車体が浮きはじめる。'06.9.24
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▲そして吊り上げ。70年以上前のガソリン機関車が軽々と天を舞う。'06.9.24
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▲トラックの荷台に載せられた“渡辺じんさん”。4tトラックの荷台が広く見えるほど小さい。'06.9.24

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▲作業開始から2時間ほど、トラックに載せられた機関車は関係者に見送られて長年の保存場所を出てゆく。'06.9.24

IMGP8986.jpgこの機関車の「古典」たる最大の所以は「フリクション・ドライブ」というその原始的変速方式にあります。機械式変速機・逆転機が一般化する以前にこのような小型内燃機関車やモーターカーによく用いられた方式で、ふたつの直交する円板によって、いっさいギアを用いずに変速・逆転を行います。簡単に原理をご紹介すると、エンジンの出力軸に取り付けられた円板(フライホイール=エンジンの回転数に比例して回転する)に、もうひとつの円板(ドライブホイール)を押し付けます。ドライブホイールはスプラインを切ってあるシャフトに入っているため左右に動くことが可能です。つまりフライホイールの中心近くに押し当てれば低速、外周に近くなるほど高速、さらにはセンターから逆側に移動させれば逆転が可能なわけです。米国製のガソリン機関車でも極めて初期にこの変速方式が製品化されましたが、現存するものは極めて少なく、変速機・逆転機の歴史を語るうえでも実に貴重な存在といえます。
▲戦前からの住処であった横浜をあとに、新たな保存地・那須高原へと向う。

この“渡辺おじさん”を譲り受けたけいてつ協会では、活動の拠点である栃木県の“風の高原鉄道”で同機を保存、いずれは動態復元も…と夢をふくらませています。

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