鉄道ホビダス

ナローゲージ・コンベンションの旅 (第8回)

ギャッロピンググースとの再会
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▲456マイルポスト付近のストレートを走る5番グース。鈍重な姿からは想像できないくらいのスピードで駆け抜けていった。'06.8.24 Home Ranch

なにしろこの小さな町に2000人からのナローゲージャーが集結しているのですから、動態復活後の5番グースにとってもまさに千載一遇の晴れ舞台でしょう。実際のところ彼の地のファンにして、今回初めてグースの実物を目にしたという人も多く、連日沿線にもたくさんのファンの姿が見受けられました。

gooseb3.jpg興味深いことに、ギャロッピンググース・ヒストリカル・ソサエティー(GGHS)のブラウン会長のお話では、蒸機ファンとグースファン(?)は明らかに違うのだそうです。いったいどこがどう違うのか肝心なところは聞きもらしましたが、何か頷ける話ではありました。たしかに蒸機列車の“追っかけ”をしているファンの中には、続行でグースが来るにも関わらず、にべもなく次の撮影地へと去っていってしまう人さえ見受けられました。
▲5年ぶりに再会したブラウン会長と。ここから乗ってゆけばと誘ってくれたがそうもいかない。手にしているのはブラウンさんからもらった新作のソサエティー謹製マグカップ。'06.8.23 Rockwood

ところで、ナローゲージ・コンベンション名物の「クリニック」は今回も多数のプログラムが用意されていましたが、その中のひとつにGGHS主催のクリニック「帰ってきた5番グース」がありました。会場はヘッドクォーターホテルの小バンケットルーム、その名も「シルバートン」。これは逃すわけにはゆくまいと勇んで参加したのですが、なかなかどうして、ちょっと考えさせられるクリニックでした。

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▲シャロナ湖(画面左下)を見下ろすシーニック・ポイントをゆく5番グース。体験乗車ではこういった景勝地でのフォトランも行われる。'06.8.23 Rockwood

クリニックの一般的スタイルは、演台の講師役が最初にDVDやパワーポイントを使って演目の概要を解説、次に最も伝えたい部分を詳述したのち、最後に質疑応答に移るというもので、トータル約90分。もちろん全部英語で、しかもローカルなジョークが連発されますから、正直ほとんどわからないのが実情です。それでも毎回結構楽しく聴講していたのですが、今回はちょっと雲行きが違いました。それというのも概要説明が終わったあたりから、50人ほどの会場後方に陣取った人物から頻繁に発言がさしはさまれるのです。講師役が「ナッツベリー・ファームの3番はGMCエンジンを搭載しており…」と言えば、「違う!あれは最近カミンズ製に喚装された」とか、やたらと話の腰を折ってきます。講師役を務めていたGGHS副会長さんはそのたびに「いやぁ、よくご存知で…」などとかわしていましたが、日本国内では同様の状況を当事者体験したことが数知れぬだけに、洋の東西を問わずの展開に暗澹たる思いでした。

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さらに話はこれにとどまりません。GGHSの今後の活動として積極的なドーネーション集めが行われている、ドロゥレス近郊の旧リオグランデ・サザン(RGS)鉄道線復活計画に話が及ぶと、今度は“まっとうな”一般参加者から「高速道との交差部の許認可申請をどうするのか」といったシビアな質問があいつぎました。10月に日本鉄道保存協会の総会を控えている私としては、これまた身につまされる展開で、“カウンターの内側”の厳しさをここまで来て再確認しようとは思ってもみませんでした。
▲今回初めて“発見”したウェイン・バスボディーの銘板(左)。もともとはスクールバスのボディーメーカーだそうだ。右はボンネットリッドを全開にしたエンジン部。'06.8.23 Durango

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と、グースとの再会の数日間はあっという間に過ぎていったのですが、帰路の飛行機の中で水沼さんが評した言葉が強く印象に残っています。曰く「グースって“脱力系”の魅力だよね」。そう、割れんばかりのブラスト音を響かせて力走するK-36の後から、あの何ともいえないタイフォンを響かせてグースがやってくると、そのあまりの格差に腰が砕けてしまう思いです。そんなまさに“脱力系”の魅力こそが、私を含め多くのファンの心をつなぎ止めているのかもしれません。
▲ホームランチのサイディングで退避する5番グースの横を、“バンブルビー”の牽くコンベンション・スペシャルのミキストが通過してゆく。とても2006年の今とは思えない光景。'06.8.24 Home Ranch

本邦初!(?)グース動画第二弾は下記をクリック!
動画:ハーモサをめざして460マイルポスト付近を快走(?)する5番グース
デュランゴを出て15キロほど、ずっと直線で走り抜いてきた5番グースはここで初めて右に大きくカーブをきって、給水塔のあるハーモサ構内へと入ってゆく。このように正面から見るとキャブと後部客室部がゆさゆさとバラバラに揺れているのがわかる。通り過ぎたのち「パパパパッ」とタイフォンが鳴るのは、撮影している私に気づいたブラウンさんが挨拶してくれたもの。

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