鉄道ホビダス

2006年9月 3日アーカイブ

D&RGWふたつの残像・C&TSとD&SNG
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さて、クンブレス&トルテック・シーニック(C&TS)鉄道と実に対照的なのが、今回のコンベンション開催地でもあるコロラド州デュランゴを起点としたデュランゴ&シルバートン・ナローゲージ(D&SNG)鉄道です。アニマス渓谷沿いに鉱山の町・シルバートンまでの72キロを走るこの路線は、もとはデンバー&リオグランデ・ウエスタン(D&RGW)鉄道のシルバートン支線と呼ばれた枝線で、1970年代まで観光用としてD&RGW鉄道自らの手で運行されてきた由緒ある線区です。
▲ハーモサ(Hermosa)を通過、いよいよアニマス渓谷沿いの本格的勾配区間にかかろうとするレギュラートレイン。この地点ですでに標高は2025mある。'06.8.23

dsng2そのD&RGW鉄道最後のナロー路線を篤志家が買い取ったのが1981年、以後デュランゴ&シルバートン・ナローゲージ(D&SNG)鉄道として堅実な成長を遂げてきました。先述のクンブレス&トルテック・シーニック(C&TS)鉄道と比べて大きく異なるのは、終点シルバートンの町が一大観光地である点でしょう。今回ひさしぶりにシルバートンの町を再訪しましたが、以前にも増して賑わっており、ひとことで言えば「軽井沢」的活況を呈しています。なんでも“老後を過ごしたい町”全米ベスト幾つかにノミネートされているそうで、この一大観光地とうまく共存共栄していったところがD&SNG鉄道の大きな勝因だったに違いありません。
▲終点シルバートンは標高2836m。空気の薄さが実感として感じられる。レギュラートレインが到着するや、静かだった駅前は一気に賑わいを増す。'06.8.22

dsng3デュランゴのデポ(駅)もC&TS鉄道のチャマとは実に好対照で、出札窓口をはさんで両翼には大きなスーベニアショップが設けられ、ありとあらゆるお土産品が売られています。また、各種のパンフレット類も所狭しと備えられており、3つ折りのフライヤーしかないC&TS鉄道とこれまた大きな差を見せています。コンピュータ発券となっている出札窓口の上方には液晶モニターで各車輌のアコモデーション紹介画像が流され、文化財に指定されているという駅舎の外観からは想像できない“近代化”もなされています。
▲レギュラートレインの最後部に連結されたパーラーカー“ALAMOSA”。一般車の2倍近い料金設定である。'06.8.22

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レギュラートレインの車輌も一般のコーチやゴンドラ(59ドル)、パーラーカー(109ドル)、「ビスタクラス」と称される“シルバー・ビスタ”(119ドル)、さらには特別のプライベートカーに乗車できるプレジデントクラス(129ドル)と細かく分けられており、その点でも実に商売上手(?)な印象を受けます。
▲パーラーカー“ALAMOSA”(左)とガラス張りの屋根を持つオープンエアーの展望車“Silver Vista”。'06.8.25

dsng6その上驚くのは、機関車はおろか“スピーダー”と愛称される保線用モーターカーの「添乗」まで売りに出していることでしょう。“Locomotive Cab Ride”と名乗る機関車添乗はインフォメーションによると3時間半のエクスペリエンスで、レギュレーターこそ握れないものの、投炭やらなにやらを本格的に体験できると言います。ナッパ服ならぬ専用ツナギとエンジニア・キャップ、専用グローブ等々、支給される“衣装”一式もお土産について実に1000ドル(現在のレートで11万円くらいか…)。お見事というしかない、ファン心理をついた絶妙の金額設定ではあります。
▲デュランゴ駅の構内入口にはマクドナルドもある。この線路側ボックス席で食べる“朝マック”は格別のものがある。入換えに励むのはGE製DLの7号。'06.8.23

dsng7終点・シルバートンのデポはもともと町外れにありましたが、それでは観光客に不便とばかり側線を町の中心部まで延長、現在では併用軌道のような形で列車が町のメインストリート手前まで乗り入れてくる格好となっています。この一日2~3本のレギュラートレインの到着こそ、観光で生きるこの町の人々にとっては逃すべからざるチャンス! 列車が停車するのももどかしく、どこぞの温泉街の駅頭のごとく客引きが駆け寄り「ランチはこちらですよ~」「お土産もの安いよ~」と勧誘が始まります。う~ん、リオグランデの残り香を嗅ぎにきた者にとっては実に複雑な光景ですが、それゆえにこのD&SNG鉄道が順調に発展し、逆に拘りを捨てきれないC&TS鉄道が存続の危機に直面してしまっているのかもしれません。今回初めて両鉄道を目にしたJAM初代会長の水沼さんが「チャマとデュランゴでは同じ形式の機関車なのに全然別モノに見えるね」と評されていたのが実に印象的でした。
▲定期列車の機関車添乗1000ドル也から果ては保線用モーターカー添乗まで何でもあり…? デュランゴ駅待合室で見かけた「体験乗車」の勧誘ポスター。'06.8.25

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