鉄道ホビダス

2006年9月 2日アーカイブ

D&RGWふたつの残像・C&TSとD&SNG
chama3a
コロラド州で開催されるコンベンション最大の美点は、北米屈指のナローゲージ保存鉄道が間近に見られることにあります。開催地・デュランゴを起点にしたデュランゴ&シルバートン・ナローゲージ(D&SNG)鉄道と、デュランゴから車で3時間ほどの距離にあるニューメキシコ州のチャマを起点としたクンブレス&トルテック・シーニック(C&TS)鉄道です。
▲有名なロスピノス・カーブ手前の326マイルポスト付近をゆくコンベンション・スペシャルのミキスト。テンダーのヘラルドこそC&TSのままながら、この角度から見るとD&RGW時代の貨物列車そのもの。'06.8.21

chama2今回の旅の目的のひとつはこの両保存鉄道を堪能することにもあり、まずはクンブレス&トルテック・シーニック(C&TS)鉄道へと向かいます。ただこの保存鉄道、とんでもなく足の便が悪く、最寄のニューメキシコ州アルバカーキ空港からでも車で4時間ほど走らねばなりません。しかもそのほとんどがメキシコそのものの風景の中をゆく一般道とあって気が抜けません。
成田からロサンゼルス乗換えでアルバカーキ空港へ、そこでベルギーはブリュッセルからやってきた同期の岡山英明君と合流し、C&TS鉄道の起点・チャマに到着した時にはとっぷりと日が暮れてしまっていました。成田を離陸してから実に19時間あまり、改めてその“遠さ”を実感しました。
▲起点のチャマには数多の模型ともなった有名なコールタワーをはじめ、数々のストラクチャーが現役当時の姿で“実用”されている。給水を終えてスチームに包まれる487。'06.8.20

coloradomap2nさて、ロッキーナローの“ご本尊”ともいえるデンバー&リオグランデ・ウエスタン(D&RGW)鉄道の路線そのものを継承して保存鉄道として運営されているのがD&SNGとC&TSの両鉄道です。もともとデュランゴとチャマの間はパゴサ・ジャンクション経由で結ばれており、両鉄道は姉妹鉄道の関係にあります。ただ、今となってはその運営方法や保存方針に大きな違いが生じてきています。ひとことで言えば、ボランティアを中心とした力で可能な限りD&RGW鉄道時代の姿を残そうとしているのがクンブレス&トルテック・シーニック(C&TS)鉄道、積極的な観光誘致で磐石な経営基盤を築いて車輌や施設の整備にも万全を期そうというのがデュランゴ&シルバートン・ナローゲージ(D&SNG)鉄道と言えましょうか。前者は機関区構内の立ち入りも自由なのに対し、後者はフェンスに覆われて厳しくセキュリティー・チェックがされているのも象徴的です。私たちファンにとってはC&TSのおおらかさ、そして車輌や施設も可能な限り現役時代の形態を護り抜こうとする姿勢に共感を覚えますが、現実は極めて厳しく、行政からの財政援助打ち切り等の影響もあって、C&TS鉄道はいま存亡の危機にたたされていると聞きます。

chamastnchama1a
機関車も次々と不具合をきたし、ついに今回の訪問時に有火状態にあったのはK-36クラスばかり3輌のみ。実際の在籍数がK-36クラス5輌、K-37クラス4輌、K-27クラス1輌、合計10輌にのぼることを思うと、現状がいかに疲弊してきてしまっているかが伺い知れます。特にロッキーナロー・ファンには絶大な人気を持つK-27クラス(No.463)は、1994年に奇跡の復活を遂げた機関車で、わずか十年ほどで再び稼動不能に陥ってしまったことになります。1998年当時、このK-27を先頭にした3重連を撮影したこともあり、アントニートの庫で冷たい骸と化してしまったその姿には胸打たれるものがありました。
▲チャマの駅舎も現役時代のものがそのまま使われている。右は構内に留置されているD&RGWの除雪用ジョルダン車“OU”。シカゴのジョルダン社製番252の銘板もしっかりと残されている。'06.8.21

photorun鉄道名に“scenic”(風光明媚な…)を名乗っているだけあって、ここC&TS鉄道は実に素晴らしいロケーションの中を走っています。チャマ(デンバー起点344マイル)から途中のロスピノス(325マイル)までは並行道路があるものの、そこから先、終点のアントニート(281マイル)まで44マイル(約70キロ)ほどはまったく並行道路のない大渓谷の中を進みます。それだけにさぞや観光需要も…と思いますがさにあらず。両端のチャマもアントニートも飲食店さえ数件しかない田舎町で、わざわざこの鉄道に乗ろうという強い意志がない限り、一般のお客さんはとても足を向けそうにありません。そのあたりがこの保存鉄道にとって大きなウィークポイントになっているのでしょう。
▲洋の東西を問わず、スペシャルトレインの走る日の沿道は“追っかけ”で賑わう。あれっ、アメリカは右側通行ではなかったですかね? '06.8.21

k37k27
▲チャマの庫で火を落としたままになってしまっているK-37(左)と、一時は奇跡の復活を遂げたものの、再び休車となってしまったK-27(右)。'06.8.21

現在、ボランティア組織の“Friends of the Cumbres & Toltec Scenic Railroad”が中止となって、存続に向けての様々な取り組みが行われていますが、先行きは決して楽観できないのが実情のようです。今回チャマで合流してコンベンションをご一緒したJAM(日本鉄道模型の会)新会長の古川 享さんもこの鉄道のサポーターのお一人で、やはり将来が気になって仕方ないようでした。デンバー&リオグランデ・ウエスタン(D&RGW)鉄道の残像をストレートに感じることのできるこのC&TS鉄道だけに、何とか生き残ってほしいと願わずにはいられません。

動画:クンブレス峠をゆくK-36(No.487)の牽くC&TS鉄道定期列車
※上をクリックすると動画がご覧になれます。音声付ですので周囲の状況をあらかじめお確かめください。なお、Macでは再生できない場合がございます。

レイル・マガジン

2006年9月   

          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
「編集長敬白」が携帯電話でもご覧になれます。下記アドレスもしくはQRコードを読み取ってアクセスしてください。
http://rail.hobidas.com/blog/
natori/m/

ホビダス・マーケット新着MORE

  • 俺がイル
ネコ・パブリッシングCopyright © 2005-2018 NEKO PUBLISHING CO.,LTD. All right reserved.