鉄道ホビダス

愛しの“ギャロッピンググース”。(1)

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それは高校受験を間近に控えた中学3年の冬のことでした。どんな用事だったのか前後関係は忘れましたが、めったに行くことのできない銀座天賞堂の模型売り場で、一枚の絵葉書に目を奪われたのです。
▲6年ほど前のレールフェスタでは奇跡的にNo.1、No.2、No.5と3輌のグースが顔を合わせた。ロックウッドの側線で小休止する5番グース。手前のカウボーイハットがモーターマンを務めるギャロッピンググース・ヒストリカル・ソサエティーのウェイン・ブラウンさん。'00.8.28

gooselogon.jpg書店業界でメリーゴーランドと通称される展示台に差された輸入ポストカードは、その大半がビッグボーイなどのいわばメジャー筋でしたが、一枚だけ、何とも形容しようのない銀色のバスのような車輌が木橋を渡っている絵柄のものがありました。しかもよく見ると車体の横には何やらガチョウのような絵が描かれているではないですか。「これください!」。いったい写っている車輌がどこの何なのか、そんなことを考えるまでもなくレジの前に立っていました。
これが“ギャロッピンググース”(Galloping Goose=駆け足ガチョウ)との最初の出会いでした。
▲かつてのRGSのロゴを踏襲したドロゥレスのギャロッピンググース・ヒストリカル・ソサエティー(GGHS)のロゴ。

goose1n.jpg今さら思えば、その絵葉書は1951年に撮影されたバンス・ジャンクション付近のビルク橋を渡るNo.4グースだったのですが、当時はそんなことを知る由もありません。ましてやキャビン側面の“RIO GRANDE SOUTHERN”のヘラルドでさえ、いったい何を意味するのか知りもしなかったのですから、いまさらふり返っても実に運命的な出会いだったと思わざるをえません。あれから数十年、ギャロッピンググースを巡る旅も回数を重ね、コロラド州ドロゥレスに本拠を置く“ギャロッピンググース・ヒストリカル・ソサエティー”(GGHS)のメンバーの一人としても、グースたち(英語では複数形はgeese=ギースですが…)とのつきあいは深まるばかりです。これから不定期で何回かに分けてこのグースたちとのお話をご紹介してみようと思います。
▲アニマス渓谷に久しぶりにグースのエンジン音が響く。乗り心地は決して良くはない。'00.8.29

goose7n.jpgアメリカのモデルレールロード・シーンでも不滅の人気を誇り、今もって次から次へと新製品が登場するこの“ギャロッピンググース”という車輌、ロッキー山脈の山中に路線を展開していた3フィートゲージのRIO GRANDE SOUTHERN鉄道(RGS)の郵便・物資輸送用モーターカーです。有名なわりには実態はあまり知られていないようですが、基本的に1931年から1936年に製造された7輌が“ギャロッピンググース”の仲間とされています。ただし、その形態は実にさまざまで、No.1グースのように保線用モーターカーのようなものもまじっており、なおかつ時代によってまったくスタイルも変わってしまうため、実に複雑です。しかも名前の由来ともなった“ギャロッピンググース”のイラストも全車に描かれていたわけではなく、RGS末期に、すでに廃車となっていたNo.1と、ワークグースと通称される小型のNo.6を除いた5輌にペイントされていたものでした。
▲5番グース車内から追走準備中の1番、2番グースを見る。リッジウェーを本拠とするNo.1グースは完成したばかりのレプリカだ。'00.8.28

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現在この合計7輌のグースのうち、No.2、No.6、No.7の3輌がコロラド・レールロード・ミュージアムに、No.3がカリフォルニアのナッツベリーファームに、No.4がRGSの跡地のテララィドに、そしてNo.5が同じくドロゥレスに保存されています。1994年夏、この保存車たちを巡りましたが、その時点ではまさか数年後にNo.5が奇跡の復活を遂げ、さらには誕生後わずか2年で1933年に廃車され、たった7枚の写真しか残されていないというN0.1グースのフル・レプリカが走りだすことになろうとは夢にも思っていませんでした。
▲この年はいつになく秋の訪れが遅かった。真夏のような日差しの中、カスケードキャニオン付近のアニマス川を渡る5番グースと、追走する1番グース。'00.8.29

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