鉄道ホビダス

2006年7月24日アーカイブ

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■5番グースとの出会い
12年前の夏の終わり、5番グースが保存されていると聞いてやってきたユタ州境にほど近いコロラド州ドロゥレス(Dolores)の町は、およそ鉄道とは縁のないただの田舎町でした。ただ、ロッキーナローのヒストリーに多少なりとも興味を持つ者にとって、今もってここドロゥレスは、数々の名シーンを生んだ「聖地」のひとつにかわりありません。
▲ドロゥレスの駅跡地に静態保存されていた頃の5番グース。状態はさほど悪くはないが、とても動態復活できそうには見えなかった。右後方がもとの駅本屋建物。'94.8.31

goosefig2.jpg街中をレンタカーで徘徊するまでもなく、保存されている5番グースはすぐに見つかりました。そっくりそのまま残されて町のヘリテージセンターとなっているデポの少し先に、わずかばかりの線路が残され、5番はその上に所在なげに鎮座していました。“Tin Feathers”(ブリキの羽根)と通称されるシルバーの車体は、かなりやつれてはいるものの、それでもグースのヘラルドはしっかりとリペイントされており、全体的に状態は悪くはありません。どうやらこの5番は、町の人々からそれなりの敬意を払われた歳月を過ごしてきたようです。

5goosen1n.jpgそんなことを思いながら一緒にグース巡りを続けている岡山英明君とデポの中に入ってみると、驚いたことに元の待合室内はグースの写真やら模型やらでいっぱいではないですか。にこやかな笑顔で迎えてくれた多少(?)太めのおばさんが語るには、いま有志でRGS(リオ・グランデ・サザン)鉄道を復活させる活動をしているとのこと。その第一弾として5番グースを動態復活させようと現在ドーネーション(募金)を集めているそうで、カウンターには小さなガラスの募金箱が置かれていました。ずいぶんと悠長な話だなぁ…と思いながらも、その夢に“一口”のったつもりで20ドルをガラス瓶に入れてきました。
▲5番グースとのはじめての出会い。この時は大学鉄研同期でケンタッキー州に赴任中の岡山英明君(左)と保存グースを巡った。'94.8.31

GGRSn.jpgそれから6年、信じられないことに5番グースは本当に動態復活を遂げてしまいます。1998年9月21日、デュランゴ&シルバートン(D&SNG)鉄道の線路を借りてテストランを行った5番グースは、ロッキーの山に西日がさすころ、ようやく終点シルバートンにその姿を現しました。偶然にもその場に居合わせたのは私たちを含めて数人のファンだけ。デポ横に停まったグースから降りてきた何人かの中にはあの時のおばさんの姿もあるではないですか。そうだ、私もドーネーションをしたんだ、ひょっとするとリベットの何本かくらいには役立ったのかもしれない…そう思うと思わず熱いものがこみ上げてくるのでした。
▲先週届いたギャロッピンググース・ヒストリカル・ソサエティー(GGHS)の最新会報。トップはこの6月にニュー・メキシコ州の保存鉄道=クンブレス&トルテック・シーニック(C&TS)鉄道で出張運転した時のレポート。

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さらに驚いたことに、あのおばさん(ブラウンさん)は6年前にささやかな募金をした私たちのことを覚えていてくれたのです。たしかにロッキーの山奥の町にギャロッピンググースを訪ねて、ドーネーションを置いてゆく日本人などまずいないでしょうから、それなりの印象には残ったのでしょう。それでもこの一日は、恐らく生涯忘れえぬ最良の一日となったのでした。
▲奇跡の動態復活直後の“ご真影”。この時のテストランではじめてシルバートンの地を踏んだ。'98.9.21 Silverton

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