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レイル・マガジン編集長自らが作る編集日記。

2006年6月22日

夕張に思いを馳せる。

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国鉄蒸機終焉の地であり、夕張鉄道や大夕張鉄道をはじめとした魅力的な運炭鉄道活躍の地としても鮮烈な印象が残る北海道夕張市が大揺れに揺れています。というのも、今週火曜日、定例市議会で市長が地方財政再建促進特別法(再建法)に基づいて「財政再建団体」の申請を表明したからです。財政再建団体申請はひらたく言えば自治体の“倒産”で、もし指定されれば1992(平成4)年の福岡県赤池町(現福智町)以来、しかも市としては1977(昭和52)年の三重県上野市以来29年ぶりの“倒産”となります。
▲夕張本町付近に残る夕張鉄道の線路跡。廃止から30年あまり、市内に残された遺構も数えるほどになってしまった。'04.6.19

yuubari5.jpgyuubari4.jpg夕張に限らず、旧産炭地の地方自治体は、基幹産業の消滅に伴う地滑り的過疎化と、さらにはそれと表裏一体となった高齢化に苛まれていますが、そんな中では「夕張メロン」の成功や映画祭の認知度上昇など、夕張市は“優等生”なのだとばかり思っていました。ところが今回の発表です。
▲夕張鉄道と国鉄の接続駅で、多くのファンの瞼に焼き付いているはずの鹿ノ谷駅構内の現況。左は無人と化した本屋、右は草生した旧構内外れにぽつんと残された夕鉄の機関庫。'04.6.19

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報道によれば、3月末時点での借入金は約292億円。さらに地方債残高約130億円と第三セクター等への債務保証等が約120億円、合計550億円近くにのぼり、市の財政規模=約45億円の十倍以上の“借金”があることになります。今後は国の管理の下、徹底したコスト削減と公共料金の値上げ、さらには現在行っている事業の中止等が指示されることになります。
▲夕張石炭の文化村の中にある巨大な「SL館」。この建物の中に夕鉄の14号や大夕張の4号が入っている。'04.6.19

yubari3.jpgそうなると反射的に思い浮かぶのが「夕張石炭の歴史村」です。「炭鉱から観光へ」を合言葉に市制施行40周年を記念して1983(昭和58)年にグランドオープンした道内初の屋外型本格的アミューズメント施設で、園内には「SL館」と名づけられた蒸気機関車型の巨大な鉄道保存館があります。自社発注のコンソリとして今もって模型ファンに人気の夕張鉄道14号機をはじめ、大夕張鉄道の4号機、さらにはナハニフ151などが展示されており、車輌のみならず、ギースル・イジェクタの実物など貴重な展示品が多いのも特筆されます。
▲「SL館」館内の14号。ボランティアの皆さんの弛まぬ努力もあって状態はきわめて良いが、路盤が緩んで全体が傾いてきてしまっているという。'04.6.19

グランドオープンから20年あまり、「郷愁の丘ミュージアム」をはじめとする新施設建設やリニューアルを積極的に行ってきているこの歴史村ですが、今回の財政再建団体“転落”で大きな岐路に立たされるのは間違いありません。私たちファンにとっては特別な意味を持つ「夕張」の地だけに、その行く末がことのほか気になります。