鉄道ホビダス

日立水戸の奇妙な列車。(上)

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かつて、常磐線を臨時の「十和田」で上ってくると、勝田駅の山側に誂えられたホームに奇妙なプッシュプルの“旅客列車”が停まっているのを見かけることがありました。2輌のB凸に挟まれた客車らしきものは、まるでプレハブのような造作で、窓枠のアルミサッシが折からの朝日に反射してまばゆい光を放っていたのを鮮明に覚えています。
▲バテロコだけにプッシュプル列車はほとんど無音で近づいてくる。並行する道路はマイカー通勤の車がひっきりなしに工場へと向かい、列車はそのあとを追うように朝日の中を進む。'79.2.16

この奇妙な列車が日立製作所水戸工場専用鉄道の従業員輸送列車だと知ったのは、それからしばらく経ってからのことでした。一度訪ねてみたいものと思いつつ、何しろ平日朝の通勤時間帯に勝田にたどり着くのは上野5時09分発の常磐線初電451Mに乗らねばならず、物理的に困難です。そんな時、たまたま北海道からの帰路に「十和田」を利用することになり、思い切って早朝の勝田に下車してみることにしました。
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▲現在の国土地理院1:25000地形図に見る日立製作所水戸工場。まだ勝田駅から北西方向にのびる専用鉄道の表記が残っているのが判る。画面右下には茨城交通湊線が分岐している。

勝田駅ホームに降りると、長い跨線橋が本屋口と山側出口を結んでいるのが見えます。山側へは勝田電車区へと続く何本もの電留線を跨いでいるため、結構な長さがありました。ただ、ホームから見る限りは一面の松林が広がるばかりで、とても人家や商店があるようには見えません。それもそのはず、この西口はほとんど日立製作所の専用ともいえる出口なのです。そしてその正面にあるのが片面ホームの専用鉄道乗り場でした。

ホーム上に無造作に立てられた時刻表によれば、この勝田ホーム発は7時25分、7時45分の朝2本と夜19時20分発、工場発は17時22分と18時55分、それに19時28分の合計3往復となっています。いずれも日曜日は運休と注意書きがありますが、ホーム上で見ていてもとりたててセキュリティー・チェックがあるわけでなく、OL風の通勤者も三々五々集まって来てはプレハブ小屋のような客車へと吸い込まれてゆくのでした。

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