鉄道ホビダス

『レイル・マガジン』の作り方。(6)

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最初にお話ししたように、DTP化・CTP化によって旧来の編集作業のフローは根本から変わってしまいました。よくドラマで見るような、ゲラ=校正刷りに校正記号を赤ペンで書き込んでゆく、いかにも“編集部”といった風景も過去のものとなり、全員がPCのモニターに向かって作業をする光景が日常となっています。
▲校正紙も今ではDDCP(ダイレクト・デジタル・カラー・プルーフ)と呼ばれる出力紙になっている。DDCP校正(左)と出来上がった誌面(右)。

ただ、作業フローこそ変われども、鉄道誌にとってとりわけ重要なのは今もって校正作業です。6回にわたってお届けした「『レイル・マガジン』の作り方」の締めくくりとして、この校正作業に関わるあれやこれやをお話してみましょう。

IMGP6539.jpgいわゆる“てにをは”や用字・用語の間違いは、どんなジャンルであれ、出版物の校正作業の基本中の基本ですが、鉄道誌の場合、他ジャンルと比べて圧倒的に多いのが記号や数字です。形式番号、サフィックス、時刻、年号…等々、毎号の誌面に出てくる記号・数字は並大抵の数ではありません。それだけにそのすべてを一人がチェックしたのでは危険極まりなく、校正作業は校正紙(プルーフ)を回覧する形で複数の編集部員が確認する二重三重のチェック体制をとっています。
▲すべてのページの進行状態は「台割」と呼ばれるこの表で管理されている。これも現在では「エディプランナー」と呼ばれる専用ソフトによって製作される。

ただ専門誌ゆえ、この校正も表面を撫でるがごとき作業では済まないことがままあります。現状の疑問点の確認であれば、編集部に直通している「鉄道電話」で直接担当部署に確認することもできますが、歴史的な事象の裏づけとなるとそう容易くはありません。各種の資料をひっくり返して、それこそ引っかかった箇所の確認作業だけで何時間も費やしてしまうことさえあります。本来であれば一次資料に遡って検証できればベストなのでしょうが、それも出来ぬ相談です。複数の二次資料をひも解いて裏づけをとるわけですが、それでも結果としては往々にして齟齬をきたす事例が発生します。

遠からず顛末を誌面でご紹介できると思いますが、最後に興味深い例をひとつご紹介してみましょう。ご好評いただいている浅原信彦さんの連載「ガイドブック 最盛期の国鉄車輌」の73系解説の中で「桜木町事故」に触れた箇所があり、「先頭車モハ63756全焼、2輌目サハ78144半焼…」と記述されています。これに対して本誌の「Let’s Enjoy」でもお馴染みの梅原 淳さんから「2輌目はサハ78188では?」というご指摘を頂戴しました。梅原さんによると一次資料にあたる「事故報告書」にサハ78188の記述があるとのこと。さっそく浅原さんに連絡を取り、多くの皆さんの協力を得て検証し、ようやく結論(それも意外な!)に達しつつありますが、これなどは校正作業の範疇を超えて、専門誌編集の難しさを痛感する出来事でした。

駆け足で『レイル・マガジン』編集作業のバックヤードをお話してきましたが、いかがだったでしょうか。出来上がった誌面からは見えてこない部分が、多少なりともご理解いただけたとすれば幸いです。

レイル・マガジン

2006年5月   

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