鉄道ホビダス

2006年5月24日アーカイブ

奇妙なセミクロスシート。

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6月発売の『国鉄時代』第6号の準備作業で、久しぶりに1970年代の飯田線のネガを引っ張り出して見ていると、奇妙なセミクロスシートの車内に目が止まりました。ロザ格下げのサハ75の100番代車です。そういえば、豊橋発の飯田線の初電にこの車が組み込まれていて、窮屈な大垣夜行から乗り換えると、えらく得をした気分になったのを鮮明に覚えています。
▲中央に増設された幅1000㎜(既設の両端扉は700㎜)の引戸を囲むように発生品を流用したロングシートが並ぶ。何とも奇妙な車内空間で、ロングシートに向き合ってしまうクロスシート部は居心地が悪そう。木製の日除けや灰皿が時代を物語る。'78.11.2 豊橋

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▲サハ75 106〔静トヨ〕の車内。壁面の扇風機スイッチも懐かしい。'78.11.2 牛久保
t75015n.jpgこのサハ75形100番代、浅原信彦さんの『ガイドブック最盛期の国鉄車輌』(第2巻)によれば、横須賀線モハ70系用優等車サロ75を格下げし、さらに1970(昭和45)年に3扉化改造を施されて100番代となった車だそうで、その室内は“旧国”の概念とは一線を画すルーミーなものでした。サロ75(当初はサロ46)は1951(昭和26)年から合計18輌誕生しスカ線の花形として活躍してきましたが、111系の登場によって1965(昭和40)年から用途変更が開始されました。18輌のうち5輌は先頭車化改造されてクハ75形に、残る13輌はそのまま格下げ使用されることになりサハ75を名乗ることになりました。そしてさらにその13輌中、長岡運転所所属の4輌を除く9輌が3扉化改造されたのだそうです。
▲「流電」編成に組み込まれたサハ75 106〔静トヨ〕。サロ75013(サロ46014)が種車。この写真の翌年1979(昭和54)年8月に廃車された。'78.11.2 牛久保

t75a017n.jpg3扉化にあたっては、新設される中央扉付近のシート配置を変更せねばならず、そこにもともとのラグジュアリー(?)なモケット地のシートをレイアウトしたために、ご覧のような奇妙な室内空間が出来上がってしまったというわけです。同様の3扉化改造は80系のサロ85格下げ先頭車化改造車クハ77でも見られ、こちらはロングシート部の片方の座席下にドアエンジンを設置したため、新設ドアの左右の座面高さが異なるというさらに奇妙な体裁となってしまっています。

←後位側便洗室付近から車内を見通す。左側の洗面所の円形の明り取り窓も優等車だった歴史を物語る。'78.11.2 牛久保

この当時の飯田線豊橋機関区には4輌のサハ75形100番代(101、102、103、106)が在籍しており、一部は「流電」編成にも組み込まれて活躍していました。やたらとぶわぶわしたモケットシートとTR48台車のゆらゆらとした揺れが、貧乏旅行にちょっとリッチな彩りを添えてくれるありがたい車輌でした。

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