鉄道ホビダス

2006年5月17日アーカイブ

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14日の日曜日から始まった風間克美さんの写真展「懐かしき軽便鉄道 ?1960年代の情景?」は拝見するのを楽しみにしていたのですが、交通博物館の閉館セレモニーやら何やらで、会期半ばの今日になってようやくうかがうことができました。
▲木枠のフレームに入れられた銀塩モノクロプリントが「軽便」によくマッチしている。'06.5.17

IMGP7089n.jpgこの写真展、表題に掲げられているように、1960年代の全国の軽便鉄道の情景を“銀塩”のモノクロプリントで紹介するもので、写真展といえどもデジタルプリントが中心の昨今、会場は何かほっとする温もりに満ちています。風間さんは1962(昭和37)年頃から全国の地方鉄道を丹念に回られていますが、とりわけ当時の軽便鉄道に強いシンパシーを感じて撮り込んでおられました。タッチの差で間に合わなかった九十九里鉄道(1961年廃止)、草軽電鉄(1962年廃止)、小坂鉄道(1962年改軌)を除けば、1962年時点で残っていた「軽便」で足を向けられなかったのは日鉱佐賀関だけといいますから、たいへんな熱のいれようです。
▲場所は表参道・神宮前。ちょっと奥まった隠れ家的ギャラリーだが、ぜひ訪ねてみたいもの。'06.5.17

IMGP7082n.jpg瀟洒なカフェを思わせるギャラリーに展示されているのは、頸城、尾小屋(各5枚)、沼尻、井笠(各4枚)をはじめ12社30枚。これまで発表はおろかプリントしたこともなかったという作品ばかりだけに、どれも新鮮な驚きに満ちています。珍しさという点では特に目を引いたのが日本硫黄沼尻鉄道のガソ101の走行シーン。しかも風間さんが“どろ軌道”と表現される未舗装の併用区間を行く貴重な記録です。このガソ101、軽便ファン、とりわけ模型ファンの間では今もって高い人気を誇っていますが、晩年はほとんど動く機会がなく、走行シーンはそうそう見られるものではありませんでした。うかがえば、やはりDC121牽引の定期列車がスタックしてしまい、その救援に向かうところだとか…。オーバークールを防ぐためにフロントのラジエータ・コアに無造作に掛けられた乗務員の“上着”がいかにも軽便を感じさせます。
▲パネルでの壁面展示のほか、キャビネサイズのアルバムなども用意されていてアットホームな雰囲気が嬉しい。'06.5.17

IMGP7086n.jpg展示作品の中には何点かカラーもありますが、モノクロを含めた全展示作品のなかで一番人気なのが頸城鉄道のカラーだそうです。小さなホームの上に広げられた天日干しの筵、その周りで遊ぶ子供たち、畑にはヤギの姿があり、その彼方をホジがやってくる…。ご本人はメインの被写体が遠すぎるので、ホジがホームまでやってきている続きコマとどちらを展示しようかと悩まれたそうですが、この選択が大正解だったようです。全般に風間さんの作品は乗客をはじめ、周囲の情景を広く切り取っておられ、それが大きな魅力となっています。翻ってわが身を省みると、今もってやれ自動販売機が入ってしまうの、コンビニがうるさいのと、車輌中心にどんどんフレーミングを狭めていってしまう癖が抜けません。鉄道写真のもっとも重要な要素である“時代”を切り取る大切さを再認識させてくれる写真展でもあります。
▲頸城鉄道のコーナー。車内や駅周辺の情景などが素晴らしい。'06.5.17

写真展「懐かしき軽便鉄道 ?1960年代の情景?」は今週土曜日(20日)まで。お見逃しなく。

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▲案内はがきから1964(昭和39)年8月撮影の花巻電鉄西公園付近。東海道新幹線開業の二ヵ月ほど前の情景である。

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