鉄道ホビダス

「エンドレス」続々報。

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4月19日付けでご紹介した「エンドレス続報」にさらに興味深いお便りを頂戴しました。お送りくださったのは『国鉄時代』第4号の付録DVDで「蒸機急客1211レ・宮崎?都城「日南3号」の記録」をご発表くださった根本幸男さんで、30年も前に現地で買い求めて大事になさっている本もお送りいただきました。まずはお手紙をご紹介してみましょう。
▲写真に残された寺岡さんが紹介された銅版画と逆の編成。右側がグリップ機構を持つ車輌でダミー(“Dummy”)と称されている。(“THE CABLE CARS of SAN FRANCISCO”より。以下同様)

SF5050n.jpgSF4049nnn.jpgいつも「編集長敬白」楽しみに欠かさず拝読させていただいております。さて、「エンドレス」は三峰石灰から始まってサンフランシスコのケーブルに至るまで、これも面白く読ませていただきました。ことに寺岡氏出自のシスコの図版は貴重で、有意義なものがあったかと思います。
▲グリップ部のアップ(左)と“THE CABLE CARS of SAN FRANCISCO”表紙。

SFn2014n.jpgたまたま手元に、私が1975(昭和50)年2月、サンフランシスコを訪問してケーブルを乗り歩いたときに買い求めた一冊の本があります。今回の記事と関連する写真もあり、何かお役に立てればと送らせていただきました。
▲直径14フィートのワイヤーホイールが回転を続けるパワーハウス内部。背後には見学コースが備わっていると解説にあり、確かに見学者らしき姿が見える。

SF3048n.jpgこんなお手紙とともにお送りいただいたのはその名も“THE CABLE CARS of SAN FRANCISCO”(Phil and Mike Palmer著)と題する中綴じ64ページの本です。先般寺岡さんが送ってくださった“A TREATISE UPON CABLE OR ROPE TRACTION AS APPIED TO THE WORKING OF STREET AND OTHER RAILWAYS”が学術書ゆえ、まったく写真がなかったのに対し、こちらは写真で見るピクトリアルとなっています。もちろんメカニズムに関する貴重な写真も多く、この本でさらにはっきりと「エンドレス」の全容が見えてきました。
▲分岐部のアップ。この下がどうなっているのかが気になる。

SF4049nnnn.jpgSF4049n.jpgこの本の冒頭ではサンフランシスコのケーブルカー誕生にいたるちょっとした逸話が紹介されています。それによれば、そもそもの発端は1869年のある冬の夜、過積載の馬車が急勾配で滑落する事故が起こり、そこに当時33歳だったイングランド出身のAndrew Hallidieさんが居合わせたことに遡ります。幸い人的被害はなかったものの、4頭だての馬は全滅してしまう惨事でした。この事故を目の当たりにしたHallidieさんは偶然にも吊り橋用のワイヤーロープ会社のご子息で、このような惨事を繰り返すまいと考案したのがサンフランシスコ・ケーブルカーのシステムなのだそうです。
▲グリップマンと呼ばれる“運転士”の操作風景。操作しているのは緊急ブレーキで、単体写真(右)の左側が緊急ブレーキハンドル、右側が通常のトラックブレーキハンドル。

SFn1013n.jpg1871(明治4)年には試作モデルを完成したとありますから、実にわが国の官設鉄道開業の前年にはこのキャッチ&リリース式のエンドレスはシステムとして出来上がっていたことになります。ちなみにわが国のケーブルカーの大半は「交走式」と呼ばれる“つるべ式”、つまり一方の車輌を引き上げるともう一方の車輌が降りてくる方式で、サンフランシスコのような「循環式」、つまりはエンドレスは現在の鉄道事業免許路線の中にはありません。
三峰石灰に端を発したエンドレスのお話は、読者の皆さんのサポートもあって19世紀のサンフランシスコにまで行き着くことができました。根本さんには改めて御礼申し上げたいと思います。
▲これは面白いひとコマ。一見非貫通のように見える正面には“special door”が仕込まれており、グリップ機構のメンテナンスの際にはこうやって正面からアセンブリーごと取り出す。
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▲初期のサンフランシスコ・ケーブルカーでポーズをとる文豪マーク・トゥエィンら。グリップ車はオープンエアである。

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