レイル・マガジン編集長自らが作る編集日記。

2006年4月 7日

この週末、注目の展覧会ふたつ。

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今日はこの週末お薦めの展覧会をふたつご紹介してみましょう。最初は、予告でご紹介したことのある「東京ステーションギャラリー」の企画展・東京駅所蔵の品々と写真で辿る「東京駅の歴史展」です。従来は有料だったこの「東京ステーションギャラリー」最後の企画展示とあって、なんと入場無料。4室に分かれた展示室には、鉄道院総裁だった後藤新平直筆の額や、戦災を憂いた横山大観が東京駅長に贈った「富士に雲」など、これまで非公開だった東京駅秘蔵の美術品が数多く展示されており、ちょっとした美術館のようです。
▲丸の内中央口の東京ステーションギャラリーのエントランスと「東京駅ルネッサンス」のパンフレット。'06.4.7

tokyostna.jpgまた、中央停車場としての計画時から、辰野金吾による設計、開業、震災、戦災、復興といった90年あまりにわたる歩みを振り返る展示では、貴重な写真や図面の数々が、時代を追って実に見やすく展示されています。さらに、中央展示ケースにずらっと並べられた時代を物語る絵葉書も圧巻です。本誌でもお馴染みの関田克孝さんが提供されたもので、関田さんご自身がお書きになった懇切丁寧な解説と合わせて拝見していると、たちまち時間が経ってしまうほどです。
残念ながらギャラリー内は全面撮影禁止ですので、展示の様子をここでお伝えすることはできませんが、2011年の復原完成・再オープンまでクローズされるこのギャラリーに足を踏み入れられる最後のチャンスでもあります。ぜひともこの土日にお出でになることをお薦めします。
4月9日(日曜日)まで。10:00?20:00 入場無料
▲2011年復原完成時の丸の内駅舎完成予想図。(JR東日本提供)

oer1.jpgそしてもうひとつ、こちらも大注目の展覧会が新宿で行われています。オーナーご自身も高名なファンである「ギャルリー トラン・デュ・モンド」で行われているのは、小田急電鉄OBの皆さんを中心にした写真展「昭和30年代の小田急線写真展」です。赤石定次さん、生方良雄さん、川島常雄さん、隅野成一さん、滝川精一さん、山岸庸次郎さん、山崎和栄さん、山下和幸さん、吉原 実さん、渡邊淳一さんに特別出展の荻原二郎さんを加えた11名のベテランファンによるこの写真展は、高度成長下でめまぐるしい変貌を遂げる昭和30年代の小田急電鉄の姿を、新宿から片瀬江ノ島まで駅順を追って紹介するもので、小田急ファンならずとも共感を呼ぶことうけ合いの素晴らしい写真展です。
▲ご自身の作品を前にした川島常雄さん(右)と隅野成一さん(左)。'06.4.7

oer2.jpgとかく車輌中心になりがちな作品の選定も、あえて周囲の“時代”が写り込んだものを優先するなど、全体を通して昭和30年代の小田急の姿が浮き彫りになる構成は秀逸です。さらに、メンバーの多くが車輌部門をはじめとした要職に就いておられただけに、いちファンには伺いしれないエピソードがキャプションとして数多く添えられているのも目を引きます。
▲生方良雄さん(右)と山岸庸次郎さん(左)。バックの絵画は画才もあったSE車の生みの親の故山本利三郎さんが描いた戦前の成城学園駅。'06.4.7

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大秦野、現在の秦野駅場内信号のちょっと先あたりの小山にある天神様からは、夜な夜な白い布を被ったようなおばけが降りてきて線路を横切るので運転士たちから恐れられていた(川島常雄さんのお話)とか、狐が電車に化ける話、沿線の農夫があまりに乗客が少ないので心配してやってきた話…等々、高架化が進み、VSEが行き交う現在の小田急からは想像さえできないような牧歌的エピソードの数々も披露されています。
▲左から1910形就役当時のロマンスカー・ポスター、生方良雄さん撮影の帝都電鉄(井の頭線)からきた1500形2扉時代、江ノ島海水浴列車「かもめ」の写真・資料。

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この写真展、みどころは写真ばかりではありません。ポスターや歴代形式の公式パンフレットの実物など、なかなか目にすることのできない貴重な資料も多数展示されています。さらには、さりげなくケースに収められた模型もタダモノではありません。Oスケールの2100形は1956(昭和31)年に京王帝都電鉄(当時)の合葉博治さんが車体を作って小田急の山岸庸次郎さんに贈ったもので、電装と足回りは滝川精一さんの手によるものだそうです。このモデル、すごいのはDC2線式とAC3線式の2電源に対応する機能を備えている点で、しかもトレーラー車にはジャンパ連結器を使って補助電源を供給していることです。さらに、山岸さん曰く「今では1色塗りにしてしまいましたが、良く見ると車体に塗り分け線の跡が見えるでしょう」。確かに腰板部にうっすらとかつての塗り分け跡が…。なんとこれは実車の塗り分け案を検討する際にお使いになっていた名残なのだそうです。
▲「O.E.R. 2100型 昭和31年」と合葉さん手書きの文字がある箱も逸品。DC2線式とAC3線式は床下のスイッチで切り替える(左)。トレーラー車にはジャンパ線で補助電源を供給する実車さながらの機構(右)。'06.4.7
「昭和30年代の小田急線写真展」
4月12日(水曜日)まで。10:00?17:00 入場無料
「ギャルリー トラン・デュ・モンド」:新宿区歌舞伎町2?46?5 KM新宿ビル9F 西武新宿駅北口正面 ℡ 03?5273?4557