鉄道ホビダス

2006年4月26日アーカイブ

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CTPって?
“CTP”という言葉をご存知でしょうか。「DTPなら聞いたことがある」とおっしゃる方はおられると思いますが、出版や印刷に携わっていない限りまずご存知ない言葉です。CTPとは“Computer To Plate”の略で、従来の製版工程を飛び越えて、デジタル編集データを直接印刷用の「はんこ」である刷版(Plate)に焼き付ける方式のことを言います。“DTP”(Desk Top Publishing)はコンピュータを用いて机上で行う誌面デザインをさしますが、CTPはこれをさらに進化させて印刷に直接結びつけた革命的な印刷方式です。
▲撮影用銀塩フィルムと同じく次第に過去のものとなりつつある製版フィルム。4色に分解されたこの画像をそれぞれの刷版に焼き付けるのが従来の方式。

なんだ印刷の話か…と思うなかれ。実はこのCTP化が『レイル・マガジン』の作業フローを劇的に変え、ひいては銀塩フィルムを歴史の向こうに押しやってしまうこととなるのですが、その話はのちほど。

IMGP6491n.jpgご存知のようにグーテンベルクに端を発する印刷の基本は「はんこ」です。今ではすっかり“伝統工芸”の範疇になってしまった感がありますが、つい30年ほど前まではまだまだ「活版」が主流でした。活版印刷は鉛を主にした合金でできた活字の頭にインクをつけて紙に押し当てて印刷する方式で、写真や図版は銅版や亜鉛凸版に絵柄をエッチングしたものを使います。次に登場したのがオフセット印刷と呼ばれる平版印刷で、水と油の反発性を利用して「刷版」のインクを用紙に移してゆく方式です。刷版が活版印刷で言うところの活字に相当するわけで、高速輪転機での印刷が可能なことから、現在では世界中の多くの印刷物がこのオフセット印刷に頼っています。ところがこの刷版を焼くためには、従来は製版フィルムと呼ばれるフィルムを作ることが不可欠でした。つまり製版→刷版→印刷→製本という工程となるわけです。カラー印刷の場合は4色(CMYK)に分色した4版の製版フィルムを作ることになりますが、その前工程としては写植で文字を印字し、銀塩フィルムは1億円もする巨大な製版スキャナーで色分解し、それぞれを誌面レイアウトどおりに並べて“集版”する作業が欠かせません。実は印刷物はこの“集版”までが一番大変で手間が掛かったのです。
▲これが今や“絶版モノ”の活字。昔はこれを1本1本植字(ちょくじ)して印刷用のはんこを作っていた。

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その製版工程を見事に解消してしまったのですから、CTPがいかに革命的だったかお分かりいただけると思います。作業フローとしてはこのブログのようなウェッブ製作と大差なく、デジタルデータ化した画像を専用のデザインソフトに落とし込み、文字はテキストデータを流し込めば出来上がりです。もちろん実際にはこまごました大変なデザイン作業があるのですが、基本的にはコンピュータ上で完成させたデジタルデータを、そのままプレートセッタと呼ばれる機械で刷版に焼き付けれるだけです。
▲製版フィルムを用いた従来の作業フローチャートとDTPによるデータ化のフローの違い。(凸版印刷提供)

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弊社では3年ほど前に一大プロジェクトを組んで一気に全社CTP化を達成しました。産みの苦しみと言いましょうか、それは大変な作業フローの変更でした。ただその結果、〆切をのばして最新の情報を誌面に反映させたり、在来工程でたまに発生していた版ズレがなくなったり、過去の誌面データをアーカイブ管理しやすくなったりするなど多くのメリットが生じました。
ところがここからが問題です。完全デジタルデータを作るのに一番楽なのは画像データもデジタルデータであることです。つまり川の上流から下流までが一貫してデジタルデータなのが理想で、となるとその最上流に位置する「カメラ」は当然デジタルカメラが必須です。実際に全社的CTP化を契機に、一部の例外(大判カメラでの撮影など)を除いて自社取材はすべてデジタルカメラ化したのですが、問題は、撮りおろしではなく皆さんの投稿写真や旧い銀塩写真の扱いが圧倒的に多い本誌『レイル・マガジン』です。結局、いったん色分解してCMYK化した画像をCTPデータに落とし込むという先祖がえり的フローとなっているのが実情です。姉妹誌『RM MODELS』は被写体が模型なのでほとんどが撮りおろしですから、結局RM本誌だけがちょっと取り残されてしまった感じになってしまいました。
▲誌面デザイン用のマッキントッシュがずらりと並んだ弊社デザイン室の一部(左)。右はモニター上で行われる誌面デザインの実例。

印刷の世界にもフィルムレスの波は怒涛のごとく押し寄せてきており、世の中全体のCTP化の進捗とともに、先ほどお話した製版フィルムそのものの需要も激減してきています。さらに衝撃的なのは、この製版フィルムを訂正する際の必需品であった“ストリップフィルム”が、先ごろ生産中止になってしまったことです。デジタル化によって急速に需要がなくなったとはいえ、この訂正用ストリップフィルムなしには過去の書籍を再版することも容易ではありません。印刷工程のデジタル化は、実は確実に本作りそのものを変えつつあるのです。

レイル・マガジン

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