鉄道ホビダス

2006年4月17日アーカイブ

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かれこれ十年ほど前、本誌の連載企画「模“景”を歩く」の取材で品川運転所(現在の田町車両センター)にうかがった際、客車検修庫の中で奇妙な機関車(?)を発見しました。円筒形のボンネットとその上部につけられた巨大な円形ハンドルはそう、あの築地市場などで見かける「ターレット」そのものではないですか。それにしても何でこんなところにターレット、しかも機関車と化したターレットがいるのでしょう。
▲検修庫の中に“ひそむ”ターレット機関車。こちらは2輌あるうちの“きれいな方”。'95.9.13 品川運転所(現・田町車両センター)

sinagawaBL163.jpg客車検修庫の入場線に並行するかたちで軌間762㎜の軌道が敷設されており、聞けば、かつては客車床下の蓄電池を引き出してこの軌道で充電室まで運んでいたのだそうです。蓄電池交換の用途が少なくなってしまってからは、検修用工具等を積載したいわば工具車を牽引して検修庫の中を走り回っているというわけです。
▲よく見ると運転所のそこここに762㎜ゲージの軌道跡が見られる。後ろは東海道新幹線の高架。'95.9.13

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この訪問時点では2輌のターレット改造機関車がいました。1輌には「昭和46年3月 品川機械区」との標記がありますから、おそらく隣接する機械区が品川客車区用に手作りで誂えたものなのでしょう。両者ともにいわゆる「重要機械番号」のプレートがつけられており、きれいな(?)方が「06‐27‐03?600S」、もう1輌の汚れている方が「06‐27‐03‐601S」とあります。
▲種車のターレットに座席はないが、こちらはきちんとシートが備わっている。右はもう一台の“きたない方”。'95.9.13

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この“ターレット”(TURRET TRUCK=ターレット・トラック)とは実は朝霞製作所というメーカーの商標名だそうで、エンジン、ミッション等の駆動系からステアリング、そして駆動輪である前輪がすべて円筒形の前頭部にユニット化されているのが特徴の運搬車です。このため実に小回りが利き、前輪のステアリングはほとんど90度横を向くほど。まさに旋回自在のこのターレット(市場では“ターレ”と通称されているようです)は、水産市場や青果市場などの迷路のような通路では、今でもなくてはならない輸送手段のひとつです。
▲ターレット機関車が牽引する工具列車。台車にはパーツケースやらなにやらが所狭しと載せられている。'95.9.13

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ただ、このターレット機関車は、“種車”の最大無二の長所であった“旋回(ターレット)性能”をいっさい封印し、当然ながらステアリングはロックされたまま。円形のハンドルとともにただの手すりと化してしまっているのが面白いところです。かつては汐留や隅田川といった貨物駅はもとより、上野などの主要駅でもホーム上での手小荷物の運搬にこのターレットが多用されていましたから、品川運転所の2台も、もとをただせばどこかの駅で使われていたものなのかも知れません。
▲検修庫内にはポイントもある。ターレット機関車が導入される前はいったいどんな機関車がいたのだろうか。右は使われなくなった蓄電池倉庫から出てくる超狭軌の線路。1ft(304㎜)ゲージくらいだろうか。品川運転所はなかなかどうして結構なトワイライトゾ?ンだった。'95.9.13

ご承知のように「出雲」の廃止など、田町車両センターに出入りする客車もめっきり少なくなってしまいました。果たしてこの珍妙なターレット機関車が今でも元気にしているかどうかは定かではありません。

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