鉄道ホビダス

いよいよ始まる“DMV時代”。

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3年ほど前からJR北海道が開発してきたデュアル・モード・ビークル(DMV)が、いよいよ今年度から営業運転に入る…と毎日新聞が報じています。本誌1月号(No.268)でJR北海道の全面的な協力のもと、椎橋俊之さんと広田尚敬さんによる試乗ルポ「新時代を拓くか…北海道が生んだDMVのポテンシャル」を掲載しておりますので、すでに充分ご存知のことと思いますが、DMVは従来のレールバスとはまったく逆の発想で開発された、いわば“軌陸車”です。
▲緋牛内に到着したDMV911+DMV912。駆動軸に対して前輪ゴムタイヤがかなり浮いているのがわかる。'05.10.14 P:広田尚敬(RM268号より)

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市販のバスをベースにすることでコストを抑え、バス部品を利用した鉄道車輌ではなく、バスそのものが軌道上も走るという発想はまさにコロンブスの卵。第一試作車のDMV901で好感触を得たJR北海道は、次いで第二試作車U?DMV(DMV911+DMV912)を開発、北見?(鉄道)?西女満別?(道路)?女満別空港のルートで走行試験を繰り返してきました。積雪期の安定走行などの課題もクリアし、充分実用レベルに達したと判断しての営業運転投入なのでしょう。

しかし、営業運転に漕ぎつけるまでには大きな障壁が立ちはだかっていました。それは法整備の問題です。DMVは自動車なのか鉄道車輌なのか…。もし鉄道車輌であるとすれば、不燃化対策など現行の「普通鉄道構造規則」に則る必要に迫られ、当然のことながら抜本的な構造・仕様変更を迫られます。ただ、それでは新規の鉄道車輌を開発するのと変わらぬこととなり、メリットが相殺されてしまいます。今回、自動車と鉄道車輌の中間に位置する新たな法整備に国土交通省が乗り出した背景には、JR北海道の情熱に賛同して名乗りを挙げた多くの自治体・鉄道事業者の応援があったからにほかなりません。
▲レールに載せる際にはこのリレーラーを使う。'05.10.14  北見 P:広田尚敬(RM268号より)

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JR北海道ではまず日高本線での営業運転を検討していますが、ラベンダーで有名な富良野地区などでもそのポテンシャルが大いに発揮できると期待されています。何輌(何台?)かが連結状態で軌道上を走行し、到着駅で1輌(1台?)ずつに分割、それぞれが別の目的地に向かうという画期的な運用が出来るのもこのDMVならではです。すでに各地の第三セクター鉄道などからも引き合いがきており、静岡県富士市は東海道新幹線新富士駅と東海道本線富士駅を路上で結び、岳南鉄道を加えて環状線化する構想を描いているそうで、すでに市長も試乗済みとのこと。このほかにも千葉県が小湊鐵道といすみ鉄道を結ぶシステムとして、岐阜市は昨年廃止となった名鉄岐阜市内線等の線路を利用してDMVを導入できないかと検討していると報じられています。
▲道路上を快走するDMV911。遠からずこの姿が“営業列車”として見られるようになるはず。'05.10.14 P:広田尚敬

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ところで、脚光を浴びるDMVのニュースを聞くと反射的に思い出すのが、はるか44年も前に国鉄が開発しながら、うたかたの夢と消えた「043形」アンヒビアン・バスのことです。アンヒビアン(amphibian)とは英語で両生類のこと。国鉄自動車局は当時西ドイツで実用化されていたアンヒビアン・バスを地方閑散線の切り札として投入することを計画、三菱ふそう製R?480形シャーシを用いて試作車「043形」を完成させたのです。計画にあたっては、バス本体に軌道走行用の台車を内蔵させる方式と、別途用意された台車にバス本体を載せる方式とが検討されましたが、前者の方式では改造内容が複雑になるうえに製作コストもかさみ、かつ道路上を走行する際には車重の半分にも相当する死重を背負わねばならないデメリットもあって、結局、アッセンブリで用意された台車を着脱させる方式が採用されることになったといいます。DMVのようにゴムタイヤのアドヒージョンで走行させようという発想にまで至らなかったのが、なんとも不運でした。結局この「043形」は軌道に載るために専用ジャッキを必要とし、しかも補助変速機からのプロペラシャフトやらブレーキラインやらをいちいち接続せねばならないはめとなってしまいました。アンヒビアン=両生類とは名ばかり、類を変えるに“外科手術”を必要とする「043形」は、いつしか歴史の狭間へと消えていってしまったのです。
▲はるか44年前にうたかたの夢の如く消えた国鉄のアンヒビアン・バス「043形」。写真は1962(昭和37)年6月に晴海で行われた鉄道90年展に出品された様子を故・豊永泰太郎さんが記録していたもの。(本誌1989年6月号=No.67より)

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