鉄道ホビダス

均一周遊券の時代。(上)

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1960?1970年代、まさに「国鉄時代」ど真ん中を旅してきた者にとって、撮影行といえばまず「周遊券」でした。10月1日から翌年5月31日まで2割引となる「北海道周遊券」をはじめ、いったいどれほど多くの周遊券のお世話になったことでしょう。
▲手もとにあった「日本国有鉄道」名の均一周遊券12種類の表紙の北半分(未使用)。コロボックルやら赤べこやら、郷土民芸品の表紙がまだ見ぬ土地への旅情をかき立ててくれた。

私たちが「周遊券」と通称してきたこの乗車券、正確には「周遊割引乗車券発売規則第3条」に基づく「一般用均一周遊乗車券」というのだそうで、辻阪昭浩さんの労作『国鉄乗車券類歴史事典』(1980年刊)によれば、戦前「遊覧券」の名称で親しまれていた周遊割引制度を1955(昭和30)年に復活、同年7月1日に「北海道周遊券」(一年後に「北海道均一周遊券」)を発売したのが最初だそうです。以後、1957(昭和32)年10月1日に「九州均一周遊券」、1958(昭和33)年5月1日に「四国均一周遊券」、1959(昭和34)年6月1日から「東北均一周遊券」、1961(昭和36)年2月1日から「山陰均一周遊券」、1970(昭和45)年に「信州均一周遊券」、そして1972(昭和47)年10月に「北近畿均一周遊券」が発売されるにいたって全12種類のラインナップが出揃いました。さらに北海道および九州については往路か復路に航空機を利用できる「立体周遊券」が設定され、1970(昭和45)年10月からは周遊区域をさらに細分した「ミニ周遊券」がデビュー、こちらも翌1971(昭和46)年10月までに均一周遊券にはない東京エリア(「東京ミニ周遊券」)も含めた全32種が出揃ったのです。

その後この均一周遊券は「ワイド周遊券」と愛称されるようになり、最終的にはJR化後の1998(平成10)年に「周遊きっぷ」にその任を譲って廃止となります。「北海道周遊券」の誕生から実に43年、均一周遊券は日本の高度経済成長とともにわが国の旅行熱をささえ続けてきたのです。

ちなみに、1972(昭和47)年10月時点での東京発の主な均一周遊券の料金は、北海道周遊券=7440円(16日間有効・閑散期2割引き適用)、東北周遊券=5700円(10日間有効)、信州周遊券=2800円(7日間有効)、北陸周遊券=3600円(8日間有効)、山陰周遊券=6600円(12日間有効)、四国周遊券=7200円(12日間有効)、九州周遊券=8100円(16日間有効)で、これに学割を適用すればさらに2割引きとなりますから、いまさら思えば夢のような価格です。しかも自由席であれば急行も乗り放題。もちろん全国主要路線には夜行急行が走りまくっていましたから、その使い勝手の良さは計り知れません。まさに周遊券こそが私たちの趣味を育んでくれた陰の功労者といってもあながち過言ではないでしょう。

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