鉄道ホビダス

アイルランドに欧州最大のナローゲージ網を訪ねる。(11)

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第十一回:ミッドランド・アイリッシュ・ピートへの道。
ブラックウォーター、ブーラ、レンズボーラァと、数あるボード・ナ・モナの拠点のうち3箇所を駆け足で巡ってきましたが、アイルランド中部にはもう一箇所、ぜひとも訪れておきたい民間のピート軌道があります。ミッドランド・アイリッシュ・ピート(Midland Irish Peat)で、同社はレンズボーラァ発電所から40キロほどダブリン方に戻ったラスゥエン(Rathowen)という小さな町にあるはずです(8日付け第5回の地図参照)。ボード・ナ・モナの軌道網とは比較にならない小規模な2フィート軌道ですが、ひと昔前までアイルランドやスコットランドに星の数ほどあったプリミティブなピート・モス・レールウェー本来の姿を留める数少ない現役軌道のひとつです。
▲荒涼としたバックヤードでぽつんと待機するアラン・キーフ製7号機。辺りにはひとっこひとりおらず、同じピート・レールウェーとはいえ、ボード・ナ・モナのヤードの賑わいとは別世界。'02.10.22

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とはいうものの、肝心の情報は“Narrow Gauge News”に出ていたわずかな写真とMidland Irish Peatという社名、そしてRathowenという町の名前だけです。それでも日本的感覚で、町の名前と社名がわかるのだからそれほど苦労せずにたどり着けるだろうと考えたのが実は大間違い、ナビも交番もない海外での会社訪問はそれほど甘くはありませんでした。
▲ミッドランド・アイリッシュ・ピートへと続くいかにもアイルランドらしい田舎道。クルマはレンタカーの三菱カリスマ1.6。'02.10.22

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果たして国道N4号線沿いのラスゥエンの町は何の変哲もないただの田舎町でした。これならば話は早いと、さっそくガソリンスタンドでミッドランド・アイリッシュ・ピートへの道を尋ねたのですが、知らないの一点張り。それからが苦難の道のりでした。とにかく街道沿いの商店やら通行人やら、手当たり次第に尋ねるのですが、誰も知りません。かれこれ一時間近くも探しあぐね、これはもしや地名自体が誤植なのではないかと諦めかけた時、畑で作業している農夫が「あぁ、ミッドランドさんね、あそこは遠いよ」と道を教えてくれました。
▲ようやくたどり着いたミッドランド・アイリッシュ・ピートの正門。門扉の右側には例によって“WARNING”の文字が! '02.10.22

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教えられた道を進んでゆくと、舗装路は途中からぬかるんだダートにかわり、そのうちにすれ違いもできないほどの隘路となります。辺りは“moor”と呼ばれる荒れ地がひたすら続き、人家さえありません。国道からはかれこれ10キロ近く走ったでしょうか。これでは町で尋ねても誰も知らないわけです。
▲主力機ディーマ製1号機。1963年製のタイプDS30(製番2639)で自重5t、42ps。'02.10.22

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ようやく道端に目指すミッドランド・アイリッシュ・ピートの小さな道標を発見。やった、とばかりハンドルを切り進むこと暫し、対向から大型トラックがやってきました。擦れ違えるほどの道幅はありませんから、やむなく多少余地があるところまでこちらがバックしてやり過ごすことにしたのですが、擦れ違いざまこのトラックが停まり、運転手がなにやらえらい剣幕で怒鳴っています。一方通行だったのか、はたまたトラック専用道だったのか、あの時何がまずかったのか今もって本当の理由はわかりませんが、とにかく目的地を目の前にして悶着に巻き込まれている暇はありません。まだ怒鳴り続けているトラックをすり抜けるようにクルマを発進させて先を急ぐことにしました。
実はこのトラブルがしばらく後に再燃することとなるのですが、この時はそんなことは想像さえしていませんでした。
▲アラン・キーフの7号機はまるで自由型のようなスタイル。左側面にさながら竹槍のように抱えたマフラーとエキゾースト・パイプがチャームポイント? '02.10.22

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