鉄道ホビダス

2006年1月24日アーカイブ

生まれかわる富山港線。

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富山?岩瀬浜間を結ぶJR西日本の富山港線が来月2月末日をもって廃止となります。といっても、線路自体が消滅してしまうわけではなく、「公設民営方式」によって新会社第3セクター「富山ライトレール株式会社」に運営が引き継がれ、今春からLRVによる路面電車として再スタートをきる運びとなっています。
▲かれこれ31年前、岩瀬浜に到着した4連の155M。先頭は全金属試作トップナンバーのクハ79920。この時点では車体標記は「大アカ」のままであった。この後にはクモハ40076+クハ79220+クモハ73195が続く。所属は富山第一機関区で、機関区配置の電車という奇妙な扱い。'75.9.3

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営業キロわずか8kmの盲腸線ながら、富山港線の歩んできた80余年の歳月は実に波乱に富んだものでした。1924(大正13)年7月23日に富岩鉄道の貨物線として開業した富山口?岩瀬港間は、もともと神通川河口の岩瀬港周辺に発達した工場群の貨物輸送を目論んだものだったといいます。水力発電による電力供給が豊富な富山平野だけに、当初から直流600Vによる電気鉄道としてのスタートでした。4年後の1928(昭和3)年には省線富山駅からの旅客営業を開始、1941(昭和16)年には富山電気鉄道に譲渡され、さらに戦時統合で1943(昭和18)年には富山地方鉄道に合併、その半年後の同年6月には国策により鉄道省に買収されて、以後国鉄線としての歴史を刻むこととなります。
▲この時点で富山港線唯一のクモハ40だったクモハ47076。1980(昭和55)年10月に廃車され、以後富山港線は73系のみとなってしまった。'75.9.3

戦後しばらくは富岩鉄道時代の遺産、12?14m級の木造ボギー車ボ1形と半鋼製ボギー車セミボ20形(セミスチール・ボギーからセミボ)が「私鉄買収国電」として働いていたようですが、1967(昭和42)年に600Vから直流1500Vへ昇圧、以後、七尾線が直流電化されるまでは北陸唯一の直流電化国鉄線として数々の旧型国電が投入され、旧国ファンにとっては気になる路線のひとつとなります。ただ、通勤・通学が主体の地方交通線ゆえ、日中閑散時間帯の合理化の必要性に迫られ、2001(平成13)年からは高山線と共通運用のキハ120形を導入、朝夕は457・471・475系などの電車、日中は気動車という変則的な運転方式で今日に至っています。

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富山市がインフラの整備・改良等を、新会社・富山ライトレール株式会社が運行管理を受け持つ、いわゆる「公設民営方式」で新スタートを切る富山?岩瀬浜間には、新駅を含めて13駅が設けられ、新潟トランシスの2車体連接超低床LRVが15分間隔でフリークェント・サービスを行う予定だそうです。現在の富山駅から富山口?下奥井間の奥田中学校踏切までの約1キロ区間は転換されず、この奥田中学校踏切からインテック本社前を通って富山駅北口までは路面軌道が新設されることになります。つまり富岩鉄道開業時の起点であった富山口駅は来月末をもってその歴史を閉じることとなるわけです。

将来的には北陸本線富山駅の高架化に合わせて、駅南側の富山地方鉄道軌道線とも接続し、富山駅を核とした南北の面の公共交通網を完成させる構想だそうですが、こうなると今やなき射水線(新富山?新湊間19.9㎞・越ノ潟?新湊=六渡寺間は万葉線として現存)や笹津線(南富山?地鉄笹津間12.4㎞)が残っていれば…とかなわぬ夢を見てしまいます。もしこれらが残っていれば、加越能鉄道軌道線(現・万葉線)と合わせて、高岡?新湊?富山?岩瀬浜なり、岩瀬浜?富山?笹津なりの一大路面電車網が出現していたはずです。
▲30年前の富山車掌区発行の富山港線車内補充券。

新生・富山ライトレールは、路面電車としては東急世田谷線などで実用されているICカードシステムを導入するなど、新時代の公共路面交通のあるべき姿を見せてくれるはずです。7色のカラーに塗り分けられたLRVの愛称も“ポートラム”に決まり、雪解けとともに鮮やかなその姿を見せてくれる日も間もなくです。
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▲“ポートラム”のカラーラインナップ。(富山ライトレール株式会社ホームページより)

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