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3連接の凸電。

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EH10以来絶えて久しかった連接車体の電気機関車も、近年ではEH200やEH500の台頭ですっかりポピュラーとなってきました。しかし世界に目を向けると、さながら百足のごとき奇妙な連接電機がいるもので、今回はそんな1輌をご紹介してみましょう。

場所は中国東北部の撫順炭礦。遼寧省の省都・瀋陽の北東に位置するこの炭礦は、日本時代の1914年に開発された巨大な露天掘り炭礦で、「西露天掘坑」と通称されるそのすり鉢状の炭礦の規模は、長さ6.6km×幅2.2km、深さ300mあまりと想像を絶する大きさです。この地の底の切羽から石炭を搬出するために活躍しているのが無数のスイッチバックを持つスタンダード・ゲージの軌道です。
▲さながら百足のごとき面妖なアーティキュレーテッド(関節)式の巨大凸電は停まっているだけでも圧倒的な存在感。'91.3.23

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細かい作業線では上游形などの蒸気機関車も使われていましたが、本線に相当する部分はこの百足電機の担当です。西露天掘坑の軌道が電化されたのは1926(昭和元)年とたいへん旧く、当時はDC1200Vでの電化であったと聞きます。1937(昭和12)年にははやくも1500Vに昇圧、以後、東芝、三菱、日立といった国内メーカーのおびただしい数の電気機関車が、国策としてこの満州国の炭礦に送りこまれてきました。

残念ながら今やその姿はほとんど目にすることはできませんが、代わりに主役を務めているのがこの東欧製巨大電機たちです。写真の1511号機はチェコスロバキアの大手電機メーカー“Skoda”(シュコダ)1959年製(製番3911)で、メーカー形式37E1と呼ばれるもの。この同形機は鞍山製鉄所などでも活躍しており、中国全土に69輌もが送り込まれたとされています。
▲その関節部。牽引重量が並み大抵ではないだけに、この関節部のドローバー引張力も想像を絶するはず。

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西露天掘坑は坑外は通常の架空線式ですが、坑内、つまりはすり鉢の中はサイドに架線を張ったサイドコンタクト式となっています。このためこの機関車もサイドから集電するためのポールを備えており、ただでさえものものしい風体がさらにおどろおどろしくなっています。
▲シュコダの銘板。ロシア文字が並び詳細の解読はできない。

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ところで、この手の機関車の情報・データですが、英国のINDUSTRIAL RAILWAY SOCIETY(IRS)のリサーチが卓越しています。しばらく前になりますが、写真の“INDUSTRIAL LOCOMOTIVES OF THE PEOPLE’S REPUBLIC OF CHINA”(中華人民共和国の産業用機関車たち)というデータブックもこのIRSから発行されています。中国全土の工場、炭礦、製鉄所等々の産業用機関車を省別にまとめたデータブックで、口絵以外は無味乾燥なデータの羅列ですが、最終目撃年も明記されており、さすが英国流と唸らせるものがあります。

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中国東北部も急速に無煙化が進み、近年では足を向ける日本人ファンの数もすっかり少なくなってしまいましたが、蒸気機関車ばかりでなく、こういった電気機関車などにも目を向けると、まだまだ興味は尽きないはずです。
▲Liaoning(遼寧省)Fushun West Pit(撫順炭礦西露天掘坑)のページで1511号機の項目を見る。メーカー形式、ユーザー番号、軸配置、メーカー、製造番号、製造年、最終現認年…この本は全編にわたってこういったリストで埋め尽くされている。

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