鉄道ホビダス

細倉の“ABC”。

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舌の根の乾かないうちに、という言葉がありますが、昨日のビッグボーイからうって変わって、またしても話は小さい機関車です。しかも並の小ささではなく、恐らくわが国に現存する中では最小の部類に属すると思われる小ささです。

現在はくりはら田園鉄道の終点・細倉マインパーク前駅にほど近い、鴬沢町鉱山資料館の屋外展示場に保存されているこの機関車の存在を知ったのは、今から23年ほど前のことでした。栗原電鉄の撮影と合わせてまだ盛業中だった細倉鉱山を訪ねたのですが、おめあての専用軌道の方はガードが堅くてなかなか近づけそうもありませんでした。これは空振りかと諦めかけた時に目に入ったのが、駐車場のエントランスにちょこんと置かれたこの小さな機関車でした。

近寄って子細に見てみると、その小ささはもとより、ガソリンエンジンと変速機・逆転機をこれ以上考えられないほどコンパクトに収納したメカニズムに脱帽。しかも搭載しているエンジンはストリップシリンダーの「フォードA」タイプです。
▲23 年前の“ABC”。とにかく驚くほど小さい。Aフォードのエンジンがわかるようにサイドカバーを外させてもらい、日中シンクロでストロボの補助光を入れて撮影。'82.3.21

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細倉鉱山の坑内軌道で使用されていたと説明書きがありますが、防爆装置を持たないこのガソリン機関車が、いったいいつ頃まで実用されていたのかは不明です。さらに、どこで製造されたものなのかも定かではありません。現在では塗り重ねられてしまって判読できませんが、23年前はラジエータシェルにかすかに残る「ASANO BUSAN CO. TOKYO JAPAN」の文字を透視法で読み取ることができました。浅野物産(ABC)は浅野セメント系の商社で、戦前はホイットコムなどの内燃機関車を数多く輸入しており、この機関車も輸入品なのかもしれません。

なお、実測による主要寸法は全長1950×全幅850×全高1230mm、ホイールベース609mm、車輪径304mm、軌間は1ft8in(508mm)でした。ひと口に“機関車”といっても、ビッグボーイからこの“ABC”まで、その意味するところはとてつもなく広く、深いのです。
▲鴬沢町鉱山資料館の屋外展示場での現状。狭くてなかなか撮影しづらい位置にあり、この写真は本格的な建築用の脚立を立ててその上から撮影。'05.5.15

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2005年9月   

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