鉄道ホビダス

香港トラムを借り切る。

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鉄道に興味のあるなしに関わらず、多くの方が香港というと思い浮かべるのが二階建のトラムではないでしょうか。ところがこのトラム、その知名度のわりには、意外とその実体は知られていません。

5年ほど前になりますが、学生時代の仲間と2泊3日の香港旅行をすることになりました。といっても別に鉄道とは関係なく、奥方同伴やら、いまだ独身の女性やらのメンバーですから、まぁどこにでもある観光旅行といったところでしょうか。ただ、普通の観光旅行と違うのは、パック旅行ではなくフリープランである点。せっかくだから何か他にはないものを…ということで、私の提案で香港島のトラムを借り切って特別運行をしてもらうことにしました。

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なぜかどのガイドブックにも記載されていないのですが、この香港島のトラム、実は極めて簡単にチャーターすることができるのです。しかもその料金たるや恐ろしくリーズナブルで、改めて今日現在の料金をホームページで再確認したところ、1800HK$、つまり現在の為替レートに換算すると25,000円ほどです。これで最大定員29人のトラムを約2時間チャーター運転できるのですから安いものです。極端な話、25人のグループであればお一人様わずか1000円程度で済むことになります。
▲HONGKONG TRAMWAYS LIMITED社の石塘咀車庫で顔を揃えた28号(右)と128号(左)。28号の屋根高さは実に4580㎜もある。

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このチャーター運転に使用される車輌ですが、28号と128号の2輌の“アンティークトラム”と呼ばれる電車で、28号の方は2階部分の前後、128号の方は前方がオープンデッキになっており、ここから展望を楽しめるというわけです。また、車内もその名のとおりアンティーク調の磨き込まれたインテリアとなっています。
▲128号の2階より車庫全景を見渡す。ここのほかにも東端の西湾河にもうひとつ車庫がある。

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28号は1906(明治39)年製で1952年に大掛かりな更新改造を施されています。また、128号は1954(昭和29)年“Taikoo Dockyard
& Engineering Co,”の製造とされていますが、両車ともに現在の“アンティークトラム”に改造されたのは比較的近年のようです。ちなみに、通常運行用の現役最古参は120号で、この車はニス塗りの窓枠、籐製のイス、白熱電球…となかなかの趣きです。

さてこのチャーター運行ですが、展望のみならず、もうひとつの楽しみは持ち込みはもとよりケータリングなども可能なこと。1階にはミニバー風のラウンジもあり、走る宴会も楽しめるというわけです。
▲車庫内で洗車風景をキャッチ。なにしろこれだけ背が高いと手洗いもかなりたいへんそうだ。

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運行区間はオーダー次第のようで、通常はどこかの“電停”から乗り込むらしいのですが、そこは発案者の鶴の一声、石塘咀(Shek Tong Tsui)の車庫から乗り込ませてもらうことにしました。何しろ通常この車庫は入れませんから、チャーターを出汁に車庫内を見学してしまおうという腹です。さらに行く先は北角(ペイカク=North Point)を指定、香港トラムきっての“混沌”北角市場の中を分け入ってゆく通称“北角ループ”に突っ込んでもらうことにしました。
▲磨き込まれた、というよりも過剰にテカっている128号のコントローラー。デッカーの文字が眩しい。

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とにかくこのトラムのチャーター企画は大成功、鉄道に興味のない皆さんからも絶賛をいただき、面目躍如といったところでした。何度目かの香港でしたが、実は香港にはまだまだ面白いポイント、もちろん鉄道がらみのポイントがいくつもあります。九広鉄道はもとより、観光客はまず行かない、ニュー・テリトリーと呼ばれる九龍半島西部を走る「輕鐵」(Light Rail)、これまた閑古鳥が鳴いている鉄道博物館(ここにはバグナルのフォーニーが保存されている)等々…その辺のお話はまた別の機会にアップしたいと思います。
▲バザールが両脇を埋めつくした北角ループを2階の展望台(?)から見下ろす。夜のチャーターであれば、眼前にはまた別の幻想的な世界が広がるはずだ。(いずれも'00.6.4撮影)

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